三角筋の伸張テストと圧痛好発部位

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三角筋の伸張テストの方法・圧痛部位を知りたい!

 

 

機能解剖

  • 前部線維は鎖骨外側1/3から起始する
  • 中部線維は肩峰の外側縁から起始する
  • 後部線維は肩甲棘から起始する
  • それぞれは三角筋粗面に停止する
  • 三角筋は前部線維と後部線維が紡錘筋である
  • 中部線維は多羽状筋である
  • 三角筋の機能は、上腕骨に強力な回転モーメントを作用させることである
  • 前部線維は、肩関節の屈曲・内転・内旋に作用する
  • 中部線維は、肩関節の外転に作用する
  • 後部線維は、肩関節の伸展・内転・外旋に作用する

 

臨床的特徴

  • 腱板の機能が破綻する腱板炎・腱板断裂・肩甲上神経麻痺などのケースでは、三角筋は上腕骨を肩峰へと引き上げ、骨頭は烏口肩峰アーチに衝突し、挙上が困難となる
  • 三角筋の十分な筋力の発揮には腱板筋群による支点形成の存在が不可欠である

 

圧痛好発部位

  • 三角筋粗面付近で確認できいることが多い
  • 横断面積は遠位に向かうにつれて中部線維へと集中し、後部線維はわずかとなる
  • そのため、圧痛のほとんどは前部線維と中部線維に多く認められる
  • 後部線維の圧痛はまれである

 

前部線維の評価方法

  1. 肩関節外転位で伸展方向に誘導する
  2. すると前部繊維が緊張するため圧痛を確認する

 

中部繊維の評価方法 

  1. 中部線維の前方部は肩関節伸展・内転・外旋方向、中部線維の後方部は肩関節屈曲・内転・内旋に誘導する
  2. すると中部線維が緊張するため圧痛を確認する

 

後部繊維の評価方法 

  1. 肩関節屈曲位で内旋45°程度とし、水平屈曲方向に誘導する
  2. すると後部線維が緊張するため圧痛を確認する

 

伸張テスト

前部線維

  1. 座位で行う
  2. 肩関節外転45°、内外旋中間位とする
  3. 肩甲骨を固定する
  4. そこから肩関節を伸展させる
  5. 伸展20°まで達しない場合、前部線維の伸張性低下が示唆される

 

中部繊維

前方部
  1. 座位で行う
  2. 肩関節伸展20°、内外旋中間位とする
  3. 肩甲骨を固定する
  4. そこから肩関節を内転させる
  5. 内転15°まで達しない場合、中部線維前方部の伸張性低下が示唆される

 

後方部

  • 座位で行う
  • 肩関節屈曲20°、内外旋中間位とする
  • 肩甲骨を固定する
  • そこから肩関節を内転させる
  • 内転15°まで達しない場合、中部線維後方部の伸張性低下が示唆される

 

後部繊維

  1. 臥位で行う
  2. 肩関節屈曲90°、内旋45°とする
  3. 肩甲骨を固定する
  4. そこから肩関節を水平屈曲させる
  5. 水平屈曲20°まで達しない場合、後部線維の伸張性低下が示唆される

 

 

 

 

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広背筋の伸張テストと圧痛好発部位

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機能解剖

  •  広背筋の停止部は、大円筋と同じく小結節稜であるが、これらの両筋が結合部より近位では両者の間には腱下包が存在し、両者間の摩擦を軽減している
  • 広背筋の機能は脊柱・骨盤の位置により、その効果は変化する
  • 肩関節運動軸付近では大円筋と一致するため、作用も大円筋と同様である

 

臨床的特徴

  • 広背筋は、胸椎棘突起・腰仙椎棘突起部、腸骨稜部、下位肋骨部、肩甲骨下角部の4つの線維群から構成され、それぞれが独自の機能を担う
  • さらに、腰椎港湾位、骨盤後傾位をとると、各線維群は伸張され静止張力が高まるため、肩関節の挙上可動域は制限されてしまう

 

圧痛好発部位

  • 下角付近の最上部線維で認めることが多い
  • 肩甲骨下角周辺部を走行する広背筋最上部線維に圧痛を認めるケースは、肩甲骨下角との摩擦障害が示唆される
  • 広背筋は、肩甲骨外側縁で大円筋を包み込むように前方へと回り込むため、これら周辺での圧痛所見に注意が必要である

 

評価方法

  1. 肩甲骨下角の尾側に位置する筋腹を触診する
  2. 肩関節を外旋位のまま屈曲方向に誘導する
  3. 屈曲120°を超えたあたりから広背筋が緊張するため圧痛を確認する

 

伸張テスト

  1. 側臥位で行う
  2. 両股関節は最大屈曲位、胸腰椎後弯位、骨盤後傾位とする
  3. 肩関節は内外旋中間位で行う
  4. そこから肩関節を屈曲させる
  5. 屈曲120°まで達しない場合、伸張性低下が示唆される

 

 

 

 

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大円筋の伸張テストと圧痛好発部位

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機能解剖

  • 大円筋は肩甲骨下角の後外側から上腕骨小結節稜に向かって走行する
  • 大円筋の上腕骨に対する作用は以下の通りである

第1肢位

肩関節の内旋の作用は弱い(大円筋は弛緩位のため)

 

第2肢位

肩関節の内転・内旋に作用する(肩甲下筋の内旋効率の低下を補う形で作用する)

 

第3肢位

肩関節の内旋・伸展に作用する

 

臨床的特徴

  • 大円筋は肩甲骨下角から小結節稜に向かって走行している
  • 大円筋と広背筋は下角より遠位の走行がほぼ一致している
  • 広背筋は下部付近に集まり、大円筋の前方に回り込み、大円筋とともに小結節稜に停止する
  • 両者を鑑別するポイントは下角部であり、触診上注意が必要である

 

圧痛好発部位

  • 大円筋の全筋腹に沿って認めることが多い
  • 特に、下角付近では顕著である

 

評価方法

  1. 肩甲骨外側縁にある丸い筋束の後方を触診する
  2. 肩関節を屈曲位で外旋方向に誘導する
  3. すると大円筋が緊張するため圧痛を確認する

 

伸張テスト

  1. 座位で行う
  2. 肩関節90°屈曲する
  3. 肩甲骨の固定は内外旋中間位で行う
  4. そこから肩関節を外旋させる
  5. 外旋80°まで達しない場合、伸張性低下が示唆される

 

 

 

 

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肩甲下筋の伸張テストと圧痛好発部位

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機能解剖

  •  肩甲下筋は肩関節の屈伸軸を上下にまたぎ、小結節前面から小結節の上面にかけて幅広く付着し、一部は上腕骨頭窩まで到達している
  • そのため、屈伸軸の上方を走行する上部繊維は下垂時で、下方を走行する下部繊維は挙上時で作用効率が高まることになる
  • 肩甲下筋の上腕骨に対する作用は以下の通りである

第1肢位

肩関節の内旋に作用する効率が高い(上部繊維)

 

第2肢位

肩関節の内旋に作用する(上部繊維より下部繊維で作用効率高まる)

 

第3肢位

肩関節の内旋に作用する効率は低下する

 

臨床的特徴

  • 肩甲下筋は腱板の前面を形成しており、肩甲上腕関節の安定化に寄与している
  • 肩甲下筋は複数の筋内腱から構成される多羽状筋である(棘上筋・棘下筋・小円筋は羽状筋である)
  • 内旋機能を有する肩甲下筋の横断面積は、外旋機能を有する棘上筋、棘下筋、小円筋と合わせたものとほぼ等しく、内・外旋筋群が同時に活動すると、その張力は支点形成に有効に作用する
  • 肩関節の前方脱臼に対する動的安定化機構として重要とされている
  • 一方で、肩甲下筋腱の切離に伴う制動効果について、下垂位や外転45°では前方の安定化作用を認めたが、外転90°では認めなかったとされている
  • さらに、外転90°では肩甲下筋は伸張位にあるものの、前方への制動効果としては期待できないとされている

 

圧痛好発部位

  • 上部線維、下部線維ともに肩甲下窩の外側縁(大胸筋の深層部)付近で認めることが多い

 

評価方法

上部線維
  1. 肩関節を軽度外転位とし、肩甲骨外側縁の最上部線維を触診する
  2. 肩関節を内転させ、さらに外旋方向に誘導する
  3. すると上部線維が緊張するため圧痛を確認する

 

下部線維
  1. 肩甲骨外側縁(大円筋の内側部)付近を触診する
  2. 肩関節を外転位のまま、外旋方向に誘導する
  3. すると下部線維が緊張するため圧痛を確認する

 

伸張テスト

上部線維

  1. 背臥位で行う
  2. 肩関節を下垂位とする
  3. 肩甲骨の固定は内外旋中間位で行う
  4. そこから肩関節を外旋させる
  5. 外旋60°まで達しない場合、伸張性低下が示唆される

 

下部線維

  1. 背臥位で行う
  2. 肩関節を外転90°とする
  3. 肩甲骨の固定は内外旋中間位で行う
  4. そこから肩関節を外旋させる
  5. 外旋90°まで達しない場合、伸張性低下が示唆される

 

 

 

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小円筋の伸張テストと圧痛好発部位

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機能解剖

  •  小円筋は腱板の後下面を形成しており、支点力形成により肩甲上腕関節の安定化に寄与きている
  • 小円筋は、棘下筋とともに外旋運動に作用するが、特に第3肢位で小円筋の働きが高まる
  • 小円筋の上腕骨に対する作用は以下の通りである

第1肢位

  1. 肩関節の外旋に軽度に作用する

 

第2肢位

  1. 肩関節の外旋に作用する

 

第3肢位

  1. 肩関節の外旋に有効に作用する

 

臨床的特徴

  • 小円筋は後方関節包と結合しており、肩関節の外旋運動時には後方関節包の挟み込みを防ぐ重要な機能を担う

 

肩関節包・靭帯の復習をしたい方

 

圧痛好発部位

  • 大結節の付着部付近では顕著である
  • 上部筋束、下部筋束ともに全走行にわたって認めることが多い

 

評価方法

  1. 肩甲骨外側縁の近位部を触診し、上腕骨大結節まで進めていく
  2. 肩関節屈曲位で内旋方向に誘導する
  3. すると小円筋が緊張するため圧痛を確認する

 

伸張テスト

  1. 座位で行う
  2. 肩関節90°屈曲する
  3. 肩甲骨の固定は内外旋中間位で行う
  4. そこから肩関節を内旋させる
  5. 内旋30°まで達しない場合、伸張性低下が示唆される

 

 

運動療法

リラクセーション

  1. 肩関節の軽度の外旋、肩甲骨面上での内転を他動的に加える
  2. 前部線維の伸張を触診で確認する
  3. 肩甲骨面上での外転と肩関節内旋の自動介助運動(5~10%程度の強度)を行う
  4. 前部線維が収縮するのを触診で確認する
  5. その筋が動かせる可動範囲にわたり誘導する
  6. この一連の動作をリズミカルに反復し、筋緊張と圧痛が改善するまで行う

 

ストレッチング

  1. 肩関節の軽度の外旋、肩甲骨面上での内転を他動的に加える
  2. 前部線維がある程度伸張されるのを触診で確認する
  3. 肩甲骨面上での外転と肩関節内旋方向に等尺性収縮(10~20%程度の強度)を行い、筋腱移行部に伸張刺激を加える
  4. 自動介助運動に切り替えて、その筋が動かせる可動範囲にわたり筋収縮を誘導する
  5. この一連の動作をリズミカルに反復し、筋緊張と圧痛が改善するまで行う

 

治療法を選択する基準は?

まずは筋攣縮なのか、筋短縮を評価して見分けます。

筋攣縮と筋短縮の評価法について復習したい方はこちら


治療法のベースとなる反復性等尺性収縮について復習したい方はこちら

 

 

 

 

小円筋の起始・停止など基礎知識を復習したい方

棘下筋の伸張テストと圧痛好発部位

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棘下筋の伸張テストの方法・圧痛部位を知りたい!

 

 

機能解剖

  • 棘下筋は肩関節の内外転軸を上下にまたぎ、大結節に停止している
  • そのため、内外転軸の上方を走行する上部線維(横走線維)は下垂時に張力が強くなる
  • 下部線維(斜走線維)は挙上時に張力が強くなる
  • 棘下筋の上腕骨に対する作用は以下の通りである

第1肢位 (上部線維が伸張位となる)

  1. 肩関節の外転
  2. 上腕骨の下方偏位
  3. 肩関節の外旋
  4. 上腕骨の前方偏位

 

第2肢位 (下部線維が伸張位となる)

  1. 肩関節の外転
  2.  〃 の外旋
  3.  〃 の水平伸展
  4. 上腕骨の前方偏位

 

第3肢位 (棘下筋全体が伸張位となる)

  1. 肩関節の水平伸展

 

臨床的特徴

  • 腱板断裂は、従来、棘上筋腱が主体とされてきたが、棘下筋腱も多く含まれていることが報告されている
  • 棘下筋腱断裂は、肩関節の外転筋力にも大きな影響を与える
  • 正常肩と比較し、棘上筋の切除では39%、棘上筋・棘下筋の切除では63%外転トルクが減少したと報告されている

 

圧痛好発部位

上部線維

  • 肩甲上腕関節の後面部は顕著である
  • 肩甲棘下縁付近に多い

 

評価方法
  1. 肩甲棘の下縁を触診し、肩甲上腕関節まで進めていく
  2. 肩関節伸展位で内旋に誘導する
  3. すると上部線維が緊張するため圧痛を確認する

 

下部繊維

  • 肩甲上腕関節の後面部は顕著である
  • 肩甲骨外側縁に多い

 

評価方法 
  1. 小円筋の起始部の近位部を触診し、肩甲上腕関節まですすめていく
  2. 肩関節外転位で内旋に誘導する
  3. すると下部線維が緊張するため圧痛を確認する

 

伸張テスト

上部線維

  1. 背臥位で行う
  2. 肩関節30°屈曲する
  3. 肩甲骨の固定は内外旋中間位で行う
  4. そこから肩関節を内旋させる
  5. 内旋90°まで達しない場合、上部線維の伸張性低下が示唆される

 

下部繊維

  1. 背臥位で行う
  2. 肩関節90°外転する
  3. 肩甲骨の固定は内外旋中間位で行う
  4. そこから肩関節を内旋させる
  5. 内旋30°まで達しない場合、下部線維の伸張性低下が示唆される

 

運動療法

リラクセーション

上部線維
  1. 肩関節の軽度伸展・内転・内旋を他動的に加える
  2. 上部線維の伸張を触診で確認する
  3. 肩関節の屈曲・外転・外旋方向に自動介助運動(5~10%程度の強度)を行う
  4. 上部線維が収縮するのを触診で確認する
  5. その筋が動かせる可動範囲にわたり誘導する
  6. この一連の動作をリズミカルに反復し、筋緊張と圧痛が改善するまで行う

 

下部線維
  1. 肩関節の屈曲・外転・内旋を他動的に加える
  2. 下部線維の伸張を触診で確認する
  3. 肩関節を伸展・内転・外旋の自動介助運動(5~10%程度の強度)を行う
  4. 下部線維が収縮するのを触診で確認する
  5. その筋が動かせる可動範囲にわたり誘導する
  6. この一連の動作をリズミカルに反復し、筋緊張と圧痛が改善するまで行う

 

ストレッチング

上部線維
  1. 肩関節の伸展・内転・内旋を他動的に加える
  2. 上部線維がある程度伸張されるのを触診で確認する
  3. 肩関節の屈曲・外転・外旋方向に等尺性収縮(10~20%程度の強度)を行い、筋腱移行部に伸張刺激を加える
  4. 自動介助運動に切り替えて、その筋が動かせる可動範囲にわたり筋収縮を誘導する
  5. この一連の動作をリズミカルに反復し、筋緊張と圧痛が改善するまで行う

 

下部線維
  1. 肩関節の屈曲・外転・内旋を他動的に加える
  2. 下部線維がある程度伸張されるのを触診で確認する
  3. 肩関節の伸展・内転・内旋方向に等尺性収縮(10~20%程度の強度)を行い、筋腱移行部に伸張刺激を加える
  4. 自動介助運動に切り替えて、その筋が動かせる可動範囲にわたり筋収縮を誘導する
  5. この一連の動作をリズミカルに反復し、筋緊張と圧痛が改善するまで行う

 

治療法を選択する基準は?

まずは筋攣縮なのか、筋短縮を評価して見分けます。

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棘下筋の起始・停止など基礎知識を復習したい方はこちら

棘上筋の伸張テストと圧痛好発部位 

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棘上筋の伸張テストの方法・圧痛部位を知りたい!棘上筋に対する運動療法を知りたい!

 

 

 

 

機能解剖

  • 筋の生理的横断面積の70%が棘上筋実質部の前1/3に集中している

 

  • 肩関節の挙上動作の中で、最大荷重、最大応力、弾性係数が棘上筋腱の前1/3で高い

 

  • このことから、棘上筋の中でも前部線維は機能学的に重要な部位と考えられる

 

  • 棘上筋腱は肩関節の回旋軸を前後にまたぎ、大結節に付着している(一部は小結節にも付着している)

 

  • そのため、回旋軸の前方を走行する前部線維は内旋運動に作用する

 

  • 回旋軸の後方を走行する後部線維は外旋運動に作用する

 

  • 棘上筋の主な作用は、上腕骨頭を関節窩に引き寄せる支点形成である

 

  • 肩関節外転時、棘上筋は支点形成力として作用し、三角筋は強力な回転モーメントの発揮に関与し、お互いが協調作用することで外転運動が遂行される

 

  • しかし、三角筋の作用で生じる上方偏位力の制動効果は棘上筋よりむしろ棘下筋・小円筋・肩甲下筋で優位だったという報告がある

 

  • また、肩関節外転運動に伴う下方偏位力は、すべての外転角度において、棘上筋よりも棘下筋、肩甲下筋の方が大きかったという報告がある

 

  • つまり、三角筋とのフォースカップル機構は、棘上筋単独ではなく他の腱板と協調しながら作用すると考えられる

 

 

臨床的特徴

  • 棘上筋は下垂位と比較して挙上角度を増していくと、長さ張力曲線の関係から棘上筋の機能も徐々に低下する

 

  • モーメントアームの大きい三角筋が腋窩神経麻痺などで機能が破綻すると、外転機能は著しく低下する

 

 

圧痛好発部位

前部線維

  • 棘上窩の内側1/4で認めることが多い

 

  • 上角部付近で顕著である

 

評価方法
  1. 棘上窩を触診し、さらに上角付近まで進めていく
  2. 肩関節を伸展・内転・外旋方向に誘導する
  3. すると前部線維が緊張するため圧痛部位を確認する

 

 

後部繊維

  • 棘上窩の内側1/4で認めることが多い

 

  • 肩甲棘の上縁で顕著である

 

評価方法
  1. 棘上窩を触診し、さらに肩甲棘の上縁まで進めていく
  2. 肩関節を伸展・内転・内旋方向に誘導する
  3. すると後部線維が緊張するため圧痛部位を確認する

 

 

伸張テスト

前部線維

  1. 座位で行う
  2. 肩関節45°外転の肢位で肩甲骨を固定する
  3. 肩関節をさらに30°外旋させる
  4. そこから肩関節を内転させる
  5. 内外転0°まで達しない場合、伸張性の低下が示唆される

 

 

後部繊維

  1. 座位で行う
  2. 肩関節45°外転の肢位で肩甲骨を固定する
  3. 肩関節をさらに30°内旋させる
  4. そこから肩関節を内転させる
  5. 内外転0°まで達しない場合、伸張性の低下が示唆される

 

 

運動療法

リラクセーション

前部線維
  1. 肩関節の軽度の外旋、肩甲骨面上での内転を他動的に加える
  2. 前部線維の伸張を触診で確認する
  3. 肩甲骨面上での外転と肩関節内旋の自動介助運動(5~10%程度の強度)を行う
  4. 前部線維が収縮するのを触診で確認する
  5. その筋が動かせる可動範囲にわたり誘導する
  6. この一連の動作をリズミカルに反復し、筋緊張と圧痛が改善するまで行う

 

後部線維
  1. 肩関節の軽度の内旋、肩甲骨面上での内転を他動的に加える
  2. 後部線維の伸張を触診で確認する
  3. 肩甲骨面上での外転と肩関節外旋の自動介助運動(5~10%程度の強度)を行う
  4. 後部線維が収縮するのを触診で確認する
  5. その筋が動かせる可動範囲にわたり誘導する
  6. この一連の動作をリズミカルに反復し、筋緊張と圧痛が改善するまで行う

 

 

ストレッチング

前部線維
  1. 肩関節の軽度の外旋、肩甲骨面上での内転を他動的に加える
  2. 前部線維がある程度伸張されるのを触診で確認する
  3. 肩甲骨面上での外転と肩関節内旋方向に等尺性収縮(10~20%程度の強度)を行い、筋腱移行部に伸張刺激を加える
  4. 自動介助運動に切り替えて、その筋が動かせる可動範囲にわたり筋収縮を誘導する
  5. この一連の動作をリズミカルに反復し、筋緊張と圧痛が改善するまで行う

 

後部線維
  1. 肩関節の軽度の内旋、肩甲骨面上での内転を他動的に加える
  2. 後部線維がある程度伸張されるのを触診で確認する
  3. 肩甲骨面上での外転と肩関節外旋方向に等尺性収縮(10~20%程度の強度)を行い、筋腱移行部に伸張刺激を加える
  4. 自動介助運動に切り替えて、その筋が動かせる可動範囲にわたり筋収縮を誘導する
  5. この一連の動作をリズミカルに反復し、筋緊張と圧痛が改善するまで行う

 

 

治療法を選択する基準は?

まずは筋攣縮なのか、筋短縮を評価して見分けます。

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腰痛における3つのトリアージ Red flag sign・Yellow flag sing・Green light

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腰痛のトリアージを知りたい!

 

 

 

 

 

トリアージとは?

  • トリアージとは、災害現場や戦場において、治療の優先順位をつける作業のことである

 

  • 救急医療では、次の4つに分類する
  1. 黒:死亡
  2. 赤:生命に関わる重篤な状態
  3. 黄:赤ほどではないが処置が必要な状態
  4. 緑:今すぐ処置が必要でないもの

 

 

  • Red flagは重篤な疾患や緊急対応が必要な疾患を見逃さないための注意である

 

  • Yellow flagは慢性化を見逃さないための注意である

 

 

腰痛における3つのトリアージ

Red flag sign

  • 重篤な疾患の可能性がある腰痛(器質的危険信号)

 

 

Yellow flag sing

  • 慢性腰痛、給食、長期の活動性低下へ移行する可能性がある腰痛

 

 

Green light

  • 非特異的腰痛
  • 神経学的異常や器質的異常のない予後良好な腰痛

 

 

Red flag sign

重篤な疾患
  • 1ヶ月以上腰痛が続き、夜間の安静時痛もある(寝返りを除く)
  • 内科的疾患の精査(発熱、臓器の炎症、腹部大動脈瘤、腎症状、その他)
  • 発熱
  • 細菌感染

 

 

重篤なヘルニア・狭窄症等

  • 馬尾神経圧迫症状
  • 膀胱直腸障害

 

 

  • 50歳以上は癌の可能性も示唆
  • 癌の既往
  • 体重減少

 

 

骨折

  • 脊椎の叩打痛(70歳以上は圧迫骨折の頻度高い)
  • 外傷の既往あり
  • ステロイド使用している

 

いずれも専門的な精査と治療が必要になる

 

 

Yellow flag sign

  • 現病歴と治療開始後の初期経過から判断する

 

  • 治療開始後も中程度以上の痛み(VAS>3)が1ヶ月以上続き、亜急性化した場合

 

  • 亜急性化の原因として、以下の5つがある
  1. 炎症の遷延
  2. 運動機能不全
  3. 神経機能不全
  4. 神経障害性疼痛の合併
  5. 心因性

 

 

  • Yellow flag腰痛と診断された場合、痛みの原因を速やかに診断する

 

  • 適切な治療を直ちに開始し、慢性腰痛への移行を防ぐ必要がある

 

 

Green light

  • 現病歴と治療開始後の初期経過から判断する

 

  • 1~2週の急性期を経て、寛解期に入る急性腰痛のことである

 

  • Green lightは安静の必要はない

 

  • 活動性を維持が重要となる

 

 

 

整形外科テスト 腰椎部 ラセーグテスト・SLRテスト・ブラガードテスト・ボンネットテスト・ケンプテスト・スランプテスト・大腿神経伸張テスト・ダブルレッグレイズテスト・健側下肢SLRテスト

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腰椎部の整形外科テストの方法を知りたい!

 

 

 

 

 

 

 

 

1.ラセーグテスト

【方法】

  1. 背臥位
  2. 股関節・膝関節90°屈曲位から膝関節を伸展させる
  3. 坐骨神経領域に沿った電撃様の疼痛が生じる場合、陽性

 

 

【検査の意義】

  • 坐骨神経伸張による神経根圧迫が示唆される

 

 

【注意点】

  • ハムストリングス伸張痛との鑑別に注意

 

  • ハムストリングスが原因の場合、限局した鈍痛やつっぱり感がある

 

 

 

2.SLRテスト

【方法】

  1. 背臥位
  2. 膝関節を伸展させた状態で下肢挙上する
  3. 坐骨神経領域に沿った電撃様の疼痛が生じる場合、陽性

 

 

【検査の意義】

  • 坐骨神経伸張による神経根圧迫が示唆される

 

  • 股関節屈曲70°未満で疼痛 ⇒ 坐骨神経

 

  •     〃   以上で 〃 ⇒ 腰仙椎部の関節痛

 

 

【注意点】

  • ハムストリングス伸張痛との鑑別に注意

 

  • ハムストリングスが原因の場合、限局した鈍痛やつっぱり感がある

 

 

 

3.ブラガードテスト

【方法】

  1. 背臥位
  2. 膝関節を伸展させた状態で下肢挙上する
  3. SLRテスト陽性となるところから下肢を少し下げる
  4. 足関節背屈を加え、大腿後面に疼痛が生じる場合、陽性

 

 

【検査の意義】

  • 脛骨神経伸張による神経根圧迫が示唆される

 

 

【変法】

  • 足部回内 ⇒ 脛骨神経の伸張

 

  • 足部回外 ⇒ 腓骨神経の伸張

 

 

 

4.ボンネットテスト

【方法】

  1. 背臥位
  2. 膝関節を伸展させた状態で下肢挙上し、SLRテストで大腿後面に痛みが出た角度から5°程度降ろす
  3. 股関節内転・内旋させて大腿後面に疼痛が生じる場合、陽性

 

 

【検査の意義】

  • 梨状筋による坐骨神経圧迫が示唆される

 

 

 

5.ケンプテスト

【方法】

  1. 端座位もしくは立位
  2. 骨盤を固定する
  3. 体幹を側屈後、伸展・回旋させる
  4. 電撃様の疼痛が生じる場合、陽性

 

 

【検査の意義】

  • 坐骨神経領域に疼痛がであれば、腰椎神経根の圧迫病変が示唆される

 

  • 椎間関節部分に疼痛が出れば脊柱管狭窄症や関節病変が示唆される

 

 

 

6.スランプテスト

【方法】

  1. 端座位
  2. 胸腰椎を屈曲させる
  3. 頚部を屈曲させる
  4. 膝関節を伸展させる
  5. 足関節を背屈させる
  6. 疼痛が生じる場合、陽性

 

 

【検査の意義】

  • 脊髄神経とその硬膜を伸張させる

 

  • 膝・足関節を動かす前に陽性の場合、頚椎から胸椎病変がが示唆される

 

  • 膝・足関節を動かした時に陽性の場合、L4~5、L5~S1の病変が示唆される

 

 

 

7.大腿神経伸張テスト

【方法】

  1. 背臥位
  2. 膝関節屈曲を保持したまま股関節を伸展させる
  3. 大腿神経領域に疼痛が生じる場合、陽性

 

 

【検査の意義】

  • L2~4の上位腰椎の神経根伸張による圧迫が示唆される

 

 

【注意点】

  • 骨盤前傾の代償が出ないよう、しっかりと固定する

 

  • 腸腰筋や大腿四頭筋の伸張痛(つっぱり感)との鑑別に注意

 

 

 

8.ダブルレッグレイズテスト

【方法】

  1. 背臥位
  2. 両膝関節を伸展させたまま、自動で同時に挙上させる
  3. 下部腰椎または仙椎部に疼痛が生じる場合、陽性

 

 

【検査の意義】

  • 下部腰椎または仙椎部の疾患が示唆される

 

  • 筋損傷の急性期が示唆される

 

 

 

【注意点】

  • 下部腰椎または仙椎部への負担が大きいため痛みの悪化に注意

 

 

 

9.健側下肢SLRテスト

 【方法】

  1. 背臥位
  2. 患側下肢のSLRテストが陽性の場合、健側で行う
  3. 膝関節を伸展させた状態で下肢挙上する
  4. 坐骨神経領域に沿って電撃様の疼痛が生じる場合、陽性

 

 

【検査の意義】

  • 坐骨神経伸張による神経根圧迫が示唆される

 

  • L4/5、L5/S1椎間板ヘルニアが示唆される

 

 

筋攣縮と筋短縮 生理的機序・圧痛所見・筋緊張・筋力低下・収縮時痛・運動療法・反復性等尺性収縮

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生理的機序

筋攣縮

  • 筋攣縮とは、筋が痙攣した状態のことを意味し、同時に血管のスパズムも伴っている

 

  • 筋攣縮のメカニズムには脊髄反射が強く関連している

 

  • 関節周囲組織に何らかの物理的、科学的刺激を受けることで、侵害受容器が反応し、その信号が脊髄内に入る

 

  • その後は、脳へ伝達される経路と脊髄反射を介して末梢へと伝達される経路に分かれる

 

  • 前者は関氏の後角でシナプスを介し、外側脊髄視床路を上行して視床でシナプスを介した後、大脳の体性感覚野に投射され、疼痛を認知する

 

  • 後者は脊髄反射を形成し、前角細胞のα運動線維と交感神経に関与する節前繊維とに作用し、筋や血管の痙攣を引き起こす

 

  • 長期に及ぶ筋、血管の痙攣は局所循環を停滞させる

 

  • すると、筋細胞は虚血に伴い組織が編成し、その過程において生じる発痛関連物質が監査し、疼痛や運動制限をきたす

 

  • これらの脊髄反射が反復して生じることで、負のスパイラルを形成し、関節拘縮を助長する

 

 

筋短縮

  • 筋短縮とは、筋の伸張性が欠如した状態のことを意味する

 

  • これは筋実質部の伸展性低下と筋膜の線維化によって生じる

 

 

筋実質部の伸展性低下
  • 筋繊維を構成する基本単位である筋節が減少することで生じる

 

  • 筋を伸ばすと太いフィラメントに対して隣り合う細いフィラメントが引き離され、筋節間が延長する

 

  • そのため、長軸上に連なる筋節の数が多くなるほど筋繊維の伸展性は増加することになる

 

  • つまり、筋実質部による伸展性低下とは、筋節数の減少によって伸展に対する抵抗が増す状態である

 

 

筋膜の線維化
  • 関節の不動や運動不足によって発症する

 

  • 筋膜や筋内膜のコラーゲ分子の末端に架橋結合が形成され、コラーゲン含有量の増加とともに組織自体の硬度が高くなる(分子間架橋)

 

  • つまり、筋膜の線維化とは、コラーゲン分子が架橋結合によって伸展に対する抵抗が増す状態である

 

 

筋攣縮と筋短縮を見分ける評価

  • 筋攣縮と筋短縮は生理学的・組織学的に異なった機序で発生するため、こられを見極める能力とともに、その状態に適した評価および治療技術の選択が必要である

 

 

1.圧痛所見の有無

筋攣縮
  • 圧痛を認めることが多い

 

  • その理由として、筋細胞外に発痛関連物質を放散し、高閾値機械受容器やポリモーダル受容器の閾値を低くさせるため、圧迫を侵害刺激として受容する

 

 

筋短縮
  • 圧痛を認めにくい

 

  • その理由として、組織編成がより進んだ状態であり、いわゆる伸びにくくなっているが、組織としては安定した状態であるためである

 

 

2.伸張位と弛緩位の緊張程度

筋攣縮
  • 関節肢位に関わらず、筋の緊張は持続的に高くなっている

 

  • したがって、筋を短縮位としても触診上の緊張が高い

 

  • また、筋を伸張位に強要すると緊張はさらに増強し疼痛が出現しやすい

 

 

筋短縮
  • 伸張位にすると引き伸ばされ、触診上の緊張は高くなる

 

  • 逆に短縮位にすると筋は弛緩するため、触診上の緊張は低くなる

 

 

3.筋力低下の有無

筋攣縮
  • 筋力低下を認める

 

  • その理由として、筋実質部に萎縮を認めないものの、筋肉の生理的な機能障害によってうまく筋力を発揮できないためである

 

 

筋短縮
  • 基本的には著名な筋力低下は認めない

 

  • 筋内圧も上昇していない

 

 

4.等尺性収縮時痛の有無

筋攣縮
  • 強い等尺性収縮を強要すると筋内圧はさらに上昇し、疼痛が出現しやすくなる

 

  • 特に、虚血を伴っている筋攣縮では収縮時痛がより顕著となる

 

  • その理由として、血管のスパズムも同時に伴っているため静脈還流が停滞し、その結果筋内圧が上昇するためである

 

 

筋短縮
  • 強い等尺性収縮を行っても筋内圧の上昇には直接影響しないため、疼痛は出現しない

 

 

運動療法

  • 筋攣縮および筋短縮に対する運動療法の一つとして、反復性等尺性収縮とストレッチングを組み合わせた方法を効果的に活用している

 

  • 筋攣縮に対する運動療法の目的は、筋緊張の緩和である

 

  • 筋短縮に対する運動療法の目的は、筋の伸張性を獲得することである

 

 

反復性等尺性収縮の生理学的機序

  • 等尺性収縮がもつ機能的特性として、筋の基本構造は筋腹を中心にして両端には腱が位置し、腱は骨に固着している

 

  • そのため、一方の関節を固定したまま筋収縮を行うと、両端の腱を中心に引き付ける力が発生する

 

  • 基本的に腱の伸張度は乏しく、筋収縮した分の足りない長さは筋腱移行部で負担することになる

 

  • つまり、等尺性収縮は筋腱移行部に効果的な伸張刺激が入る有効な方法であるといえる

 

 

ゴルジ腱器官の興奮によるIb抑制
  • 等尺性収縮に伴う筋腱移行部への伸張刺激により、ゴルジ腱器官が反応することで、脊髄レベルにおいて抑制性介在ニューロンを介した筋の弛緩が得られる

 

  • ゴルジ腱器官の閾値は意外に低く、軽度の伸張刺激でも十分に反応することが知られている

 

  • そのため、筋攣縮では軽い等尺性収縮を反復して行うことで緊張が緩み、伸長に対する抵抗が減少する

 

 

筋節の増加・合成と筋の伸張性獲得
  • 筋腱移行部への伸張刺激が筋の構成単位であるフィラメントの再合成を促進することが報告されている

 

  • 筋を適度に伸張させた肢位で等尺性収縮を行うと、筋腱移行部への有効な伸張刺激を加えることが可能であり、筋節の再合成を促す

 

  • これに、持続伸長に伴う筋膜の柔軟性の改善を併用すると効果的である

 

 

筋ポンプ作用の利用による筋内発痛物質の排除
  • 反復的に筋収縮を行うと筋ポンプ作用により筋内の血液循環やリンパ液還流を促通するため、筋内浮腫の改善とともに発痛関連物質の除去に有効である

 

  • 筋攣縮は圧痛所見を認めるが、軽い反復性等尺性収縮を繰り返し行うことで、徐々に圧痛が軽減するとともに、筋緊張も低下する様子がよく観察できる

 

 

反復性等尺性収縮の臨床応用

  •  大事な点は筋収縮の強さと等尺性収縮にかける時間の長さを使い分けることである

 

  • 同時に等尺性収縮の後には必ず自動介助運動を加えることがポイントである

 

 

筋攣縮に対する反復性等尺性収縮

  • 筋収縮の強さは最大筋収縮時の5~10%程度とし、収縮時痛を伴わない範囲内とする

 

 

烏口腕筋が筋攣縮しているケースでの治療方法

  1. 肩関節45°外転位から軽度伸展・内旋位を開始肢位とする
  2. そこから肩関節を屈曲・外旋方向に軽い等尺性収縮を行う
  3. その後は自動介助により運動を促す
  4. 続いて、肩関節伸展・内旋方向に自動介助運動を行い、烏口腕筋の伸張刺激や疼痛が生じない角度まで徐々に広げていく
  5. 圧痛所見の軽減と筋緊張の低下が得られるまで繰り返し行う

 

 

筋短縮に対する反復性等尺性収縮

  • 筋収縮の強さは最大収縮時の10~20%程度にとどめておく

 

  • それ以上の強要は目的以外の筋まで収縮が生じるため注意する

 

 

上腕三頭筋が短縮しているケースの治療方法

  1. 肘関節を最大屈曲させたまま肩関節を屈曲し、上腕三頭筋長頭の筋膜や筋線維に適度な伸張刺激を加え、開始肢位とする
  2. そこから肩関節伸展・肘関節伸展方向に等尺性収縮を十分に行う
  3. その後は自動介助により運動を促す
  4. 続いて、肩関節および肘関節を屈曲方向に自動運動介助を行い、上腕三頭筋長頭の伸張刺激や疼痛が生じない角度まで徐々に広げていく
  5. 肘関節を最大屈曲位での肩関節屈曲角度の増大や抵抗感が減弱するまで繰り返し行う

 

 

 

仙腸関節を運動させる筋 脊柱起立筋・腹直筋・腰方形筋・外旋筋群・広背筋・縫工筋・大腿筋膜張筋・大腿直筋・内転筋群・殿筋群・ハムストリングス

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仙腸関節を運動させる筋

前傾させる筋

脊柱起立筋
  • 遠位線維が第2仙骨を超えて伸び、仙骨底の前方運動に働く

 

 

最長筋の起始・停止』などについて復習したい方はコチラ

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坐骨下腿筋群と大内転筋
  • 坐骨結節を下方に牽引し、その結果、腸骨が仙骨に向かって後方運動する

 

 

大内転筋の起始・停止』などについて復習したい方はコチラ

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腹直筋
  • 腹直筋が恥骨を挙上すると、腸骨が仙骨に向かって後方運動する

 

 

腹直筋の起始・停止』などについて復習したい方はコチラ

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前方回旋させる筋

腰方形筋
  • 腰方形筋が腸骨翼を内側に牽引する運動を前方回旋運動と称する

 

 

腰方形筋の起始・停止』などについて復習したい方はコチラ

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恥骨筋、短内転筋、長内転筋
  • 起始が支点の下側にあるこの3つの筋は、恥骨を外側に牽引する

 

 

恥骨筋・短内転筋・長内転筋の起始・停止』などについて復習したい方はコチラ

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外旋筋群
  • 外旋筋は骨盤下部を外側に牽引する

 

 

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後傾させる筋

広背筋
  • 起始部の線維が腸骨まで伸び、腸骨を前方に牽引する

 

 

広背筋の起始・停止』などについて復習したい方はコチラ

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縫工筋
  • 骨盤を前方および下方に牽引する

 

 

縫工筋の起始・停止』などについて復習したい方はコチラ

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大腿筋膜張筋
  • 骨盤を前方および下方に牽引する

 

 

大腿筋膜張筋の起始・停止』などについて復習したい方はコチラ

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大腿直筋
  • 骨盤を前方および下方に牽引する

 

 

大腿直筋の起始・停止』などについて復習したい方はコチラ

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内転筋
  • 骨盤を前方および下方に牽引する

 

 

内転筋の起始・停止』などについて復習したい方はコチラ

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後方回旋させる筋

中殿筋
  • 腸骨翼を外側に牽引する

 

 

中殿筋の起始・停止』などについて復習したい方はコチラ

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小殿筋
  • 腸骨翼を外側に牽引する

 

 

小殿筋の起始・停止』などについて復習したい方はコチラ

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大殿筋の上部繊維
  • 腸骨翼を外側に牽引する

 

 

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半膜様筋・半腱様筋
  • 坐骨結節を内側に牽引する

 

 

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仙腸関節機能障害の転帰の連鎖

腸骨後傾・仙骨前傾

次の部位が障害の素因となる

  • ジェルディ結節の大腿筋膜張筋

 

  • 鵞足の縫工筋

 

  • 大腿直筋

 

  • 脛骨粗面

 

  • 膝蓋骨が上方転位して起こるジャンパー膝

 

  • 膝蓋骨軟骨症

 

 

 

仙腸関節障害は他の関節にも次のような影響をもたらす

  • 股関節:寛骨臼が近位に位置し脚が短くなる。殿筋の後側繊維に牽引され外旋位となる

 

  • 膝関節:内反しやすくなり、関節内側が圧迫され関節外側が過伸張する

 

  • 足関節:脛骨が後側にくる。そのため、背屈制限、足先の内転または回内、内側足部の凹足などが現れる

 

 

 

腸骨前傾・仙骨後傾

 次の部位が障害の素因となる

  • 内側半月に付着する半膜様筋

 

  • 鵞足の半腱様筋

 

  • 大腿二頭筋

 

  • 腓骨が近位に牽引される

 

  • 長腓骨筋に牽引されて立方骨が内旋する

 

  • 骨間膜が収縮して腓骨動脈や脛骨動脈などの血管孔が狭窄する(血流障害)

 

 

 

仙腸関節障害は他の関節にも次のような影響をもたらす

  • 股関節:寛骨臼が遠位に転位し脚が長くなる。殿筋の前側線維に牽引され股関節が内旋する

 

  • 膝関節:外反傾向、外側関節腔への圧迫、内側にある構造の過伸張

 

  • 足関節:脛骨が前側にくるため、底屈の制限、足先が外転・回外位、内側足円蓋の扁平化が現れる

 

 

 

野球ギア紹介⑥ 投げドル

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この記事は次のような人におススメ!

  • 投げドルのことをを知りたい
  • 肘下がりやリリースポイントが後ろになってしまうのを治したい

 

 

 

 

 

 

 

投げドルとは?

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投げドルとは、投球パフォーマンス向上を目的とした野球ギアです!

 

皆さんご存じの「紙鉄砲」をベースとして作られています。

 

手にもって振ると「パンッ!」と気持ちのよい音が鳴ります。

 

音を鳴らすのが楽しく、子供は夢中になって遊びます。

 

キャッチボールで練習できないときは、自宅でひとりで練習することができます。

 

投げドルで繰り返し練習することで、投球フォームを固めることができます。

 

 

 

投げドルはどうやって使うの?  

 

①まずは音を鳴らせるようにする

 

②音を鳴らすことができたら、色々なフォームでやってみる

  • 膝立ちで上半身のみ

 

  • ダーツ投げのように腕のみ

 

  • 左右への体重移動を伴いながら

 

  • 前後への体重移動を伴いながら

 

  • 普通に投げながら

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=eJ7gsKkBSRo

 

 

【投げドル】リリースポイントで謎の爆音!強肩を作る野球ギア! - YouTube

 

 

 

投げドルで練習するメリット

  1. 肘下がりを矯正できる
  2. リリースポイントが前側になる
  3. 力強いボールを投げることができる
  4. どこでも練習することができる
  5. 楽しく、気持ちよく練習することができる

 

 

 

紙鉄砲で代用

【紙鉄砲の作り方】 // How to make a Popgun - YouTube

 

 

 

 

野球ギア紹介シリーズ』を復習したい方はコチラ

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投球フォーム cocking phase・acceleration phase・follow through phase・足の爪先の方向・下肢の安定感・体幹の利用・左右肩の高さの相違・肘の高さ、肘関節屈曲角度・前腕の回内と回外・上肢の巻き込み

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この記事は次のような人におススメ!

  • 投球フォームのチェックポイントを知りたい

 

 

 

 

 

 

なぜ投球フォームをチェックすることが大事なのか?

前回は、投球障害肩症候群について共有しました。

 

 

投球障害肩症候群は、Over useから肩関節の緩さや位置変位など身体機能の低下により投球動作が変化し障害が起こる場合、未熟な投球動作により起こる場合があります。

 

投球動作は、投球側下肢に溜めた力を踏み込み足へ移動し、その力を下肢ー体幹ー上肢の回転の力へ連動させ、いかにボールに力を伝達させるかの動作です。

 

全身を使う高速な動きで、かつ小さなボールを扱う繊細な動きも要求される動作です。

 

下半身は力強さを、上半身はしなやかな動きを要求されます。

 

要するに、投球動作は非常に複雑で難しい動作ということです。

 

肩を痛めたことがある選手は、投球動作の再構築が重要となります。

 

 

そのために、まずは投球動作の基本を理解していきましょう。

 

 

投球動作の分析

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1相:cocking phase

2相:acceleration phase

3相:follow through phase

 

 

1相はさらに3つに細かく分類される

  1. wind up
  2. early cocking phase
  3. late cocking phase

 

1相:cocking phase

  • 投球動作の開始から投球側肩関節最大外旋するまで、個人差はあるが、所要時間は平均1.5秒で投球動作の約80%を占めている。

 

wind up
  • 投球のリズムとタイミングを測る

 

  • 打者を牽制するために必要である

 

  • 動作の開始から非軸足の膝が最大に挙上され、ボールがグローブから離れるまで

 

early cocking phase
  •  投球速度を生むための準備段階

 

  • wind up後、非軸足が着地するまでである(foot plant)

 

  • foot plant時、投球側肩関節は外転90°・外旋90~120°・水平外転30°位となる

 

late cocking phase
  • foot plantから投球側肩関節最大外旋位をとるまでである

 

  • このとき、投球側肩関節は外転90±10°、外旋160°・水平内外転中間位となる 

 

2相:acceleration phase

  • 投球側肩関節最大外旋からボールリリースまでである

 

  • 約0.05秒を要し、投球動作の2%を占めている

 

  • ボールリリース時、投球側肩関節は外転90±10°・外旋40~60°・水平内外転中間位となっている

 

  • ボールリリースの約0.01秒前から肩関節は急激な内旋を強いられる

 

  • この時の速度は6180°/秒に達する

 

  • ボールリリース時には、肘関節屈曲25°・前腕90°回内・手関節中間位となっている

 

  • オーバーハンド、スリークオーター、サイドハンド、アンダーハンドのフォームに関わらず、ボールリリース時の投球側肩関節外転角度は一定しており、体幹の傾斜・回旋軸などに相違がみられる

 

  • この相が投球動作の中で最も重要である 

 

3相:follow through phase

  • ボールリリースから投球動作終了までである

 

  • 約3.5秒を要し、投球動作の18%を占める

 

  • この相の最初の0.05秒で肩関節・肘関節などの減速が生じ、投球側肩関節は水平内転・内旋し、肘関節は屈曲位となる

 

  • 肩関節にはほぼ体重に等しい牽引力が作用している

 

  • 投球側肩関節最大内旋(腕と水平面が平行)を基準として、early follow-through phaseとlate  follow-through phaseに分けられる。

 

 

 

投球フォームのチェックポイントとその解釈

障害を起こさない理想的なフォームの特徴を認識し、投球フォームに影響を及ぼす機能障害の評価や、技術的な問題から生じる機能障害を分析することが必要になります。

 

投球動作は体幹・上下肢を含めた運動連鎖であり、投球フォームのチェックポイントとその解釈を行っていく。

 

 

1.足の爪先の方向

  • アーリーコッキングからレイトコッキングで発生する体幹の回旋を予期する爪先の方向を観察する

 

  • 爪先が外側に開きすぎたり、内側に閉じすぎたりすることで体幹の回旋や下肢の安定感に影響を与える

 

 

2.下肢の安定感

  • 下肢の安定感は、体幹の回旋に続く上肢の運動を安定して発揮させる前提となる

 

 

3.体幹の利用

  • 体幹の利用は、肩肘へのストレスを軽減させるための基本となる

 

  • 下肢、体幹の動きを制限しての投球は肩肘へのストレスが増大する

 

  • 投球側の骨盤から投球側の肩にかけて回転の基本軸を想定し、この回転軸の回りをきちんと回す運動が体幹の利用的な動きである

 

 

4.左右肩の高さの相違

  • アーリーコッキングからレイトコッキングにかけて投球側と対側に肩の高さの相違があるかどうかを確認する

 

  • 両肩の高さの相違を把握するのは、これに伴う投球側の肘の高さに影響を与えるからである

 

  • レイトコッキングからの肩の高さの投球フォームでは肘も下がってしまい、体幹の回旋を上手く肩に伝えることができず、手投げの状況を引き起こす

 

 

5.肘の高さ、肘関節屈曲角度

  • レイトコッキングからアクセラレーションにかけて肘の高さが肩の高さと同じであるか、高い位置にあるか、低い位置にあるかを観察する

 

  • 肘の高さが肩より低いケースでは、手投げの状況を引き起こす

 

  • 肘屈曲角度は、レイトコッキングからアクセラレーションにかけて前額面から評価する

 

  • 肘屈曲角度が90°であるか、それより大きいか、小さいかで評価する

 

  • 肘が伸展すればするほど肘への負担は増加する

 

 

6.前腕の回内・回外

  • アーリーコッキング時の回内位からアクセラレーションの回外位へ運動が発生する

 

  • ボールの面が後ろ向きから前向きに変わるという運動が起こるのが一般的で、この運動がどのように行われているかを観察する

 

  • 肘へのストレスだけを考えると、大きな回外から回内への急速な運動は肘内側へのストレスを増加させる

 

 

7.上肢の巻き込み

  • フォロースルーにおいて、ボールを投げ終わった後の上肢がどこにあるのかを観察する

 

  • 腕が体幹の中に上手く巻き込まれているかどうかを確認する

 

  • 上肢が体幹の前に残ったままのフォームは、体幹の回旋エネルギーを肩肘で直接的に受けて抑えることになり、肩肘のストレスを大きくする

 

  • 特に肘には遠心力による肘の伸展で肘後方の痛みを助長する場合がある

 

 

 

 


肩関節の運動と筋肉・関節包

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この記事は次のような人におススメ!

  • 肩甲上腕・肩甲胸郭関節に作用する筋を知りたい
  • 肩関節包・靭帯の伸張部位を知りたい

 

肩甲上腕関節に作用する筋

屈曲

  1. 三角筋前部線維
  2. 大胸筋鎖骨部繊維
  3. 烏口腕筋
  4. 上腕二頭筋短頭(外旋位で作用)
  5. 棘上筋 

 

伸展

  1. 三角筋後部繊維
  2. 広背筋
  3. 大円筋
  4. 上腕三頭筋長頭

 

外転

  1. 棘上筋
  2. 三角筋中部繊維
  3. 上腕二頭筋長頭(外旋筋で作用)
  4. 上腕三頭筋長頭(内旋位で作用)

 

内転

  1. 大胸筋
  2. 広背筋
  3. 大円筋
  4. 肩甲下筋
  5. 烏口腕筋
  6. 上腕二頭筋短頭

 

外旋

  1.  棘下筋
  2. 小円筋
  3. 三角筋後部繊維

 

内旋

  1. 大胸筋
  2. 肩甲下筋
  3. 大円筋
  4. 広背筋
  5. 三角筋前部線維

 

水平屈曲

  1. 三角筋前部線維
  2. 大胸筋
  3. 烏口腕筋
  4. 肩甲下筋

 

水平伸展

  • 三角筋中部、後部繊維
  • 広背筋
  • 大円筋
  • 棘下筋
  • 小円筋

 

肩甲胸郭関節に作用する筋

挙上

  1. 僧帽筋上部繊維
  2. 肩甲挙筋
  3. 菱形筋

 

下制

  1. 僧帽筋下部繊維
  2. 小胸筋
  3. 鎖骨下筋
  4. 広背筋
  5. 大胸筋

 

上方回旋

  1. 前鋸筋
  2. 僧帽筋上部、下部繊維

 

下方回旋

  1. 肩甲挙筋
  2. 菱形筋
  3. 小胸筋

 

外転

  1. 前鋸筋
  2. 小胸筋
  3. 大胸筋

 

内転

  1. 菱形筋
  2. 僧帽筋中部繊維

 

他動運動における肩関節包および靭帯の伸張部位

運動方向     伸張部位

屈曲       後下方関節包

伸展       前方関節包

外転       下方関節包

内転       上方関節包

水平屈曲     後方関節包

水平伸展     前方関節包

外旋 第1肢位  前方関節包・烏口上腕靭帯

 〃 第2肢位  前下方関節包

 〃 第3肢位  上方関節包

内旋 第1肢位  後方関節包

 〃 第2肢位  後下方関節包

 〃 第3肢位  下方関節包