大腿筋膜張筋
野球選手のための解剖学シリーズ!
今回は、『大腿筋膜張筋』について共有していきます。
起始・停止・神経支配
起始
- 上前腸骨棘
停止
- 腸脛靭帯を介して脛骨粗面の外側にあるGerdy結節
神経支配
- 上殿神経(L4~S1)
特徴
- 大腿筋膜張筋は腸脛靭帯の緊張度を調節し、間接的に膝関節の安定化に関与する
- 上前腸骨棘を中心にして、前下方へ縫工筋が走り、後下方へ大腿筋膜張筋が走行する
①大殿筋 ②中殿筋 ③小殿筋 ④大腿筋膜張筋 ⑤梨状筋
作用
筋機能の特徴
- 股関節の屈曲、外転、内旋に作用する
- 膝屈曲90°未満では膝関節伸展に、膝関節屈曲90°以上では膝屈曲に作用する
- 下腿の外旋に作用する
- 中殿筋と小殿筋とともに、片足立位時の骨盤の安定化に関与している
筋連結
頭板状筋・頚板状筋 ↔ 菱形筋(反対側の) ↔ 前鋸筋 ↔ 外腹斜筋 ↔ 内腹斜筋(反対側の) ↔ 大腿筋膜張筋 ↔ 腸脛靭帯 ↔ 前脛骨筋・長腓骨筋
野球との接点
腸脛靭帯炎
- 腸脛靭帯と外側上顆との間で生じる摩擦症候群である
- 予防には大腿筋膜張筋の十分なストレッチングが重要である
- Oberテスト:腸脛靭帯の拘縮の評価。腸脛靭帯自体は伸張性のない組織であるため、結局は大腿筋膜張筋の伸張性を評価している。被検者を側臥位とし、股関節を伸展・外転、膝関節屈曲90°にて股関節を内転させる。内転が制限されれば陽性となる。
上前腸骨棘剥離骨折
- 大腿筋膜張筋の収縮により上前腸骨棘剥離骨折が生じる場合がある
オスグッド・シュラッター病
- ほとんどのケースに大腿筋膜張筋の拘縮が合併している
思春期脊椎分離症
- 発症する9割以上のケースに腸腰筋、大腿筋膜張筋をはじめとする股関節屈筋群の拘縮が認められる
解剖学を学んでおいた方がよい理由