骨盤の評価 骨盤帯の機能異常 腸仙関節・仙腸関節・恥骨結合

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骨盤帯の機能異常

  • 少なくとも14種類の潜在的な機能異常は骨盤帯の中で生じている

 

  • 腸仙関節仙腸関節恥骨結合の領域に共存する

 

  • そのすべてが同時に存在する筋骨格系の機能異常を見つけることも重要である

 

 

 

腸仙関節機能異常 (可動性不良)

  • 以下の6種類の腸仙関節の機能異常もしくは可動性不良が存在する可能性がある

 

 

  1. 寛骨の前方回旋
  2. 寛骨の後方回旋
  3. 寛骨のアップスリップ
  4. 寛骨のダウンスリップ
  5. 寛骨のアウトフレア (前方閉鎖)
  6. 寛骨のインフレア  (後方閉鎖)

 

 

 

寛骨の前方・後方回旋
  • 回旋のアライメント不良は仙骨に対して寛骨が回旋しているため、仙骨に対する腸骨の機能異常として分類される

 

 

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寛骨の後方回旋
画像引用:骨盤と仙腸関節の機能解剖 骨盤帯を整えるリアラインアプローチ(医道の日本社 John Gibbons)

 

 

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寛骨の前方回旋
画像引用:骨盤と仙腸関節の機能解剖 骨盤帯を整えるリアラインアプローチ(医道の日本社 John Gibbons)

 

 

 

 

  • 寛骨の前方回旋および後方回旋は上前腸骨棘、上後腸骨棘、内果(脚長)の位置を変化させることが分かる

 

  • こうした仙骨に対する腸骨の機能異常は観察による所見や他の検査の結果と同様に、立位体前屈検査によって最初にみつけることができる

 

  • 例えば、立位体前屈検査において触診により右側と比較して左側で陽性であると判断された場合、左上前腸骨棘は上方、左上後腸骨棘は下方に位置し、さらに左内果(脚長)は短くなることから、寛骨が左後方回旋していることが分かる

 

  • この機能異常は、左側での仙骨に対する腸骨の後方回旋として分類される

 

  • 一方で、立位体前屈検査において右側で陽性であると判断された場合、右上前腸骨棘が下方、右上後腸骨棘が上方に位置し、さらに右内果(脚長)が長くなることから、右側での仙骨に対する腸骨の前方回旋が生じていると考えられる

 

  • これは非常に一般的な所見である

 

  • 最も一般的な所見である右寛骨の前方回旋と左寛骨の後方回旋を有し、それにより右仙腸関節の可動性不良が生じていると仮定すると、次の3つの所見を観察することができる

 

  1. 右寛骨が左寛骨と比較して下方(尾側)に位置している
  2. 仙骨が左斜軸(仙骨左捻転左斜軸)上で左回旋することにより、回旋のアライメント不良を代償している
  3. 腰椎も同様に凸側へ左回旋することによって代償している

 

 

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右寛骨の前方回旋と左寛骨の後方回旋
画像引用:骨盤と仙腸関節の機能解剖 骨盤帯を整えるリアラインアプローチ(医道の日本社 John Gibbons)



 

 

 

ケーススタディー

  • あるマラソンランナーは右踵痛に苦しんでいた

 

  • 足関節と足部は過回内位にあり、特に右側で著名であった

 

  • そこで、装具療法を試みたがアライメント不良を修正することができなかった

 

  • 毎回走るたびに踵接地と踵離地時に右踵痛が生じている

 

  • 右下肢すべての筋肉に疲労を感じ始めていた

 

  • 右大腿周囲筋群(特に大腿四頭筋)には痛みを有していた

 

  • 右踵部痛のある部位に局所麻酔薬を注射したが、即時効果でさえも得ることができなかった

 

  • 時間が経っても踵部痛は持続していた

 

  • 下肢(特に踵)の痛みの原因となる仙結節靭帯と仙棘靭帯について診察を受けた

 

  • アライメント不良があり、寛骨が右前方回旋している

 

  • 右寛骨の前方回旋を修正するために、METを施行した

 

  • アライメント不良は改善し、完全に踵部痛は消失した

 

  • その日のうちに約20㎞を走り、右大腿部や踵部の痛みを感じることなく完走することができた

 

 

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画像引用:骨盤と仙腸関節の機能解剖 骨盤帯を整えるリアラインアプローチ(医道の日本社 John Gibbons)

 

 

 

寛骨の上方剪断 アップスリップ
  • 仙骨に対する腸骨のアップスリップは一般的にはいくつかの種類の外傷や事故に関連している

 

  • 特に自動車事故、階段からの転落、片側の坐骨結節から着地した際などに引き起こされる可能性が高い

 

  • 単純にランニングやウォーキングでの着地を踏み外した時にも起こりうる

 

  • さらに、床から重い荷物を持ち上げる際、腰方形筋の緊張が持続したときにもアップスリップが引き起こされる可能性がある

 

  • 正常の仙腸関節は仙骨に対して寛骨が上方(頭側)と下方(尾側)へ約2°偏位している

 

  • 仙骨に対する腸骨のアップスリップやダウンスリップは、寛骨の回旋アライメント不良を持つ患者では約80%に存在する

 

  • 慢性腰痛や骨盤痛のある患者では約10~20%にしか生じない傾向にある

 

  • このような機能異常は患者自身で修正することは極めて難しいため、治療によって改善させる必要がある

 

  • 最初の診断は、立位体前屈検査によって行われる

 

  • 立位体前屈検査の陽性側では、坐骨結節、上前腸骨棘、上前腸骨棘、腸骨稜、恥骨の解剖学的なランドマークが頭側もしくは上方に位置しているように観察することができる

 

  • また、両側を比較して高位であった方(機能異常側)では仙結節靭帯が欠如しており、内果(脚長)が短いようにみえる

 

 

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寛骨のアップスリップ
画像引用:骨盤と仙腸関節の機能解剖 骨盤帯を整えるリアラインアプローチ(医道の日本社 John Gibbons)

 

 

  •  仙骨に対する腸骨の上方偏位には寛骨の後方回旋とアウトフレアとインフレアの両方、もしくはいずれか一方が共存している可能性がある

 

  • これはいくつかのランドマークが隠されていることを意味しており、そのために仙骨に対する腸骨のアップスリップ明瞭に観察できないかもしれない

 

 

 

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アップスリップは寛骨の前方回旋に隠れている
画像引用:骨盤と仙腸関節の機能解剖 骨盤帯を整えるリアラインアプローチ(医道の日本社 John Gibbons)

 

 

 

  • 特に外傷による症状が持続しているとき、患側の膝関節が伸展位にあり、股関節が中間位ではない場合には寛骨のアップスリップを誘発するとともに寛骨回旋を引き起こすため、このような機能異常を誘発する可能性がある

 

  • 立位と座位において骨盤が高い側は、常にアップスリップしているとは限らない

 

  • 例えば立位・座位では右腸骨稜が高いが、左寛骨のアップスリップが存在していると腹臥位では左腸骨稜が高くなり、大抵では立位・座位で右腸骨稜が高くなる

 

  • これらの所見は、アップスリップが骨盤の回旋に関連している可能性を示唆する

 

  • 言い換えると、右寛骨のアップスリップに加えて前方回旋と左寛骨の後方回旋が存在している場合には、いくつかの解剖学的なランドマークの位置が変化している可能性がある

 

  • その変化とは恥骨結合の階段状変化が消失し、上前腸骨棘は反対側と比較して水平になり、右側の上後腸骨棘は左側と比較して明瞭になることである

 

  • 回旋アライメント不良を修正することによりすべてのランドマークが上方に位置している状態である

 

 

 

寛骨の下方剪断 ダウンスリップ
  • 仙骨に対する腸骨のダウンスリップがあある場合には、最初の診断として立位体前屈検査が実施される

 

  • 立位体前屈検査の陽性側では上前腸骨棘、上後腸骨棘、腸骨稜、坐骨結節の解剖学的なランドマークが尾側もしくは下方に位置しているようにみえる

 

  • このような機能異常では仙結節靭帯が緊張しており、内果(脚長)が長くなっているようにみえる

 

  • この機能異常は歩行中に患者自身で修正することができる

 

  • 論理的に考えると、右寛骨がダウンスリップしているのであれば歩行中に重心が右下肢の位置している時に右寛骨が自然に中間位へ戻るように自然に修正される

 

  • そのため、実際には治療を行う必要はない

 

 

 

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寛骨のダウンスリップ
画像引用:骨盤と仙腸関節の機能解剖 骨盤帯を整えるリアラインアプローチ(医道の日本社 John Gibbons)

 

 

 

寛骨のアウトフレアとインフレア
  • 骨盤のアウトフレアとインフレアはそれぞれ外側と内側への寛骨の開きを示している

 

  • アウトフレアは寛骨の前方回旋、インフレアは寛骨の後方回旋との複合運動であると考えられている

 

  • その理由は、歩行中には体幹前屈動作時と同様に寛骨の回旋運動が生じる必要があるためである

 

  • 仙腸関節の機能異常は、特に仙骨に対する相対的な寛骨の前方回旋と後方回旋によって引き起こされている

 

  • さらに、寛骨のアウトフレアは仙骨に対する寛骨の相対的な後方回旋と仙椎前傾が複合して生じるといわれている

 

  • 起立時の体幹前屈の際、動作開始時の50~60°の間に仙椎が前傾し、腸骨の後方回旋および外側への広がりがみられる

 

  • 両側の上前腸骨棘の位置に違いが認められた場合、まず身体の中心に真っ直ぐの線を引くようにイメージすることが必要である

 

  • この線は、一般的には臍を通る

 

  • そして、各母指が臍を通る中心線からどのくらい離れているかを比較する

 

  • 患者の右上前腸骨棘に置かれた左母指が反対側と比べて遠く離れてるのであれば、おそらくアウトフレアが存在している

 

 

 

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寛骨のアウトフレア
画像引用:骨盤と仙腸関節の機能解剖 骨盤帯を整えるリアラインアプローチ(医道の日本社 John Gibbons)

 

 

 

  • 立位体前屈検査とストーク検査が陽性であれば、患者の右骨盤で腸骨のアウトフレアをみつけることができる

 

  •  反対に、左骨盤でこれらの検査が陰性であったのであれば腸骨のインフレアをみつけることができる

 

 

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寛骨のインフレア
画像引用:骨盤と仙腸関節の機能解剖 骨盤帯を整えるリアラインアプローチ(医道の日本社 John Gibbons)

 

 

 

  • 寛骨のアウトフレアとインフレアの2つの機能異常は極めて稀であり、仙腸関節における凹凸の関係について考慮すると、これらは第2仙椎において仙骨側で凸面、腸骨側で凹面を有する仙腸関節でのみ引き起こされる

 

  • さらに、寛骨回旋の機能異常が改善した後にのみ、アウトフレアとインフレアが存在しているのが明らかとなる

 

 

 

 

仙腸関節機能異常

  • 以下のような仙腸関節機能異常が引き起こされる可能性がある

 

 

  1. 仙骨左捻転左傾斜軸での仙骨前方捻転
  2. 仙骨右捻転右傾斜軸での仙骨前方捻転
  3. 仙骨左捻転右傾斜軸での仙骨後方捻転
  4. 仙骨右捻転左傾斜軸での仙骨後方捻転
  5. 両側性の仙骨前方捻転
  6. 両側性の仙骨後方捻転

 

 

 

仙骨の前方捻転 (正常の生理的運動)
  仙骨左捻転左車軸での仙骨前方捻転 仙骨右捻転左車軸での仙骨前方捻転
仙骨溝の深さ 右側で深い 左側で深い
仙骨溝の浅さ 左側で深い 右側で浅い
仙骨の下外側角 左側が後方に位置する 右側が後方に位置する
L5の回旋 右-伸展回旋側屈(右) 左-伸展回旋側屈(左)
座位体前屈検査 右側で陽性 左側で陽性
腰椎スプリング検査 陽性 陰性
スフィンクス検査 水平となる 水平となる
腰椎屈曲検査 右仙骨溝が深くなる 左仙骨溝が深くなる
腰椎前弯 増加する 増加する
内果 (脚長) 左脚長が短縮する 右脚長が短縮する

 

 

 

仙骨の後方捻転 (正常ではない生理的運動)
  仙骨左捻転右車軸での仙骨後方捻転 仙骨右捻転左車軸での仙骨後方捻転
仙骨溝の深さ 右側で深い 左側で深い
仙骨溝の浅さ 右側で深い 左側で深い
仙骨の下外側角 左側で浅い 右側で浅い
L5の回旋 右-屈曲回旋側屈(右) 左-屈曲回旋側屈(左)
座位体前屈検査 左側で陽性 右側で陽性
腰椎スプリング検査 陽性 陽性
スフィンクス検査 左仙骨溝が浅くなる 右仙骨溝が浅くなる
腰椎屈曲検査 水平となる 水平となる
腰椎前弯 減少する 減少する
内果 (脚長) 左脚長が短縮する 右脚長が短縮する

 

 

 

両側性の仙骨前方捻転および後方捻転
  両側性の仙骨前方捻転 両側性の仙骨後方捻転
立位体前屈検査 陰性 陰性
座位体前屈検査 両側で陽性 両側で陽性
ストーク検査 両側で陽性 両側で陽性
仙骨底 両側で前方に位置する 両側で後方に位置する
仙骨の下外側角 両側で後方に位置する 両側で前方に位置する
腰椎スプリング検査 陰性 陽性
腰椎前弯 増加する 減少する
内果 (脚長) 左右で等しい 左右で等しい

 

 

 

可動性不良をどのように判断するか
  • 患者は腹臥位となり、左右の仙骨溝は右母指では浅く、左母指では深く感じると仮定する

 

  • 患者に後屈、その後さらに前屈するように指示する

 

  • 仙骨回旋が後屈位で増加する(右母指が浅くなり、左母指が深くなる)場合で仙骨の回旋が前屈位で消失する場合には、仙骨右捻転左傾斜軸の仙骨捻転のように右仙骨が後方で固定されており、仙骨が右回旋しているはずである

 

  • この理由は、後屈したとき正常なら仙骨が前傾しなければならないが、その運動が制限されているためである

 

  • つまり、右仙骨が支点として固定されており、右仙骨底が後方に位置しているため右仙骨の前傾が妨げられている

 

  • その結果、仙骨の回旋が増加しているようにみえる

 

  • これらの可動性不良があると腰椎前弯が減少し、腰椎スプリング検査では圧迫を加えた時に硬く感じる(陽性所見となる)

 

  • 左仙骨底が前方位で固定(仙骨前傾)されているような場合、患者に体幹の後屈運動と前屈運動を行うように指示する

 

  • しかし、このときには体幹前屈位では仙骨の回旋が増加し、後屈位では左右の仙骨底が水平になっているようにみえる

 

  • この理由は前屈運動の間、左仙骨底が前方で固定されており、仙骨の後方への移動が制限されるためである

 

  • つまり、前屈運動では左仙骨が支点として固定されており、右仙骨底がさらに後方へ移動するため、仙骨の回旋が増加しているようにみえる

 

  • このような機能異常は、仙骨右捻転右傾斜軸と呼ばれている

 

  • これらの可動性不良があると腰椎前弯が増加し、腰椎スプリング検査では圧迫を加えたときにバネのような感覚を得る(陰性所見となる)

 

 

 

左右のどちら側が固定されているか判断するための方法
  • もし仙骨回旋が後屈位で増加するのであれば、それは仙骨が回旋している方向(仙骨溝が浅い側)で仙骨が後方位に固定されていることを示している

 

  • この機能異常は、仙骨左捻転右傾斜軸もしくは右捻転左傾斜軸の仙骨後方捻転である

 

  • しかし、仙骨回旋が後屈位で消失している(仙骨溝が水平となっている)場合、回旋方向の反対側が前方位で固定されていることを示している

 

  • この機能異常は、仙骨右捻転右傾斜軸もしくは左捻転左傾斜軸の仙骨前方捻転である

 

 

 

両側性の仙骨前傾と後傾
  • このケースは非常に稀にしか起こらず、しばしばその所見を見逃してしまう

 

  • 両側性の仙骨前傾と仙骨後傾が存在している時、初期段階での検査(立位体前屈検査など)の多くの陰性と判断され、仙骨底と下外側角の高さは水平となる

 

  • しかし、ストーク検査では両側寛骨での制限を示すため、全体的な検査を通して診断することが有益である

 

  • 両側性の仙骨前傾と仙骨後傾の機能異常は、たいていL5の椎体に関連している

 

  • 例えば、両側の仙骨が前傾している場合にはL5の伸展が生じていることを示している

 

  • その一方で、両側の仙骨が後傾している場合、屈曲位で固定されていることを示している

 

  • この結果は、仙骨前傾と後傾により腰椎前弯の程度が変化していることを示し、腰椎スプリング検査では陽性または陰性所見になりやすい

 

 

 

恥骨結合の機能異常

  • 左右どちらの恥骨結合に機能異常があるかを判断しようとするとき、最初に行うべき検査は立位体前屈検査である

 

  • この検査において左側で陽性であったのであれば、特に左側に機能異常が存在していることが明らかとなる

 

  • そして、実施するべき次の検査は、骨のランドマークの触診である

 

  • もし恥骨結合を触診し、反対側と比較して頭側(上方)に位置していると判断されたのであれば、立位体前屈検査が同側で陽性であった場合にのみ恥骨のアップスリップが存在していると判断できる

 

  • そして、診断を確定するための3番目の検査は、触診による鼡径靭帯の柔軟性の評価である

 

 

 

恥骨結合の機能異常 (左側)
  上方恥骨結合機能異常 下方恥骨結合機能異常
立位体前屈検査 左側で陽性 左側で陽性
恥骨結合 上方 下方
鼡径靭帯 硬い 硬い

 

 

 

恥骨結合の機能異常 (右側)
  上方恥骨結合機能異常 下方恥骨結合機能異常
立位体前屈検査 右側で陽性 右側で陽性
恥骨結合 上方 下方
鼡径靭帯 硬い 硬い

 

 

 

左右どちらに機能異常があるかを判別する方法

  • 立位体前屈検査と座位体前屈検査は特に重要である

 

  • その理由は、これらの検査は特に左右のどちらかに機能異常が存在することを明らかにできるからである

 

  • 立位体前屈検査を行い、左上後腸骨棘が右側よりも上方に移動しているのであれば、左側での腰仙関節機能異常もしくは恥骨結合の機能異常のどちらか存在すると考えられる

 

  • しかし、立位体前屈検査が陰性(すなわち前屈したときに母指が対称的に動く)だが、座位体前屈検査で右母指よりも左母指が多く頭側へ移動するのであれば、それは左側の仙腸関節機能異常が存在していることを示唆している

 

  • 実際に機能異常が存在しているかという観点では、立位体前屈検査と座位体前屈検査を行うことでどのように不良であるかは分からないが、左右のどちら側に機能異常が存在するかについて情報を部分的に明らかにすることができる

 

  • そのため、立位体前屈検査と座位体前屈検査で陽性であった側を治療することは、初期段階としては有益である

 

  • また、評価過程で可動性不良があると思われた部位は、実際に疼痛のある部位とは異なっている可能性がある

 

  • それはつまり、痛みを訴えている部位では全可動域の動きを有しており(いわゆる過可動性)、可動性不良のある部位の動きを代償している可能性があると考えることができる

 

 

 

 

 

 

 

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参考文献

骨盤と仙腸関節の機能解剖 骨盤帯を整えるリアラインアプローチ(医道の日本社 John Gibbons)