肩甲下筋の伸張テストと圧痛好発部位
この記事は次のような人におススメ!
肩甲下筋の伸張テストの方法・圧痛部位を知りたい!
機能解剖
- 肩甲下筋は肩関節の屈伸軸を上下にまたぎ、小結節前面から小結節の上面にかけて幅広く付着し、一部は上腕骨頭窩まで到達している
- そのため、屈伸軸の上方を走行する上部繊維は下垂時で、下方を走行する下部繊維は挙上時で作用効率が高まることになる
- 肩甲下筋の上腕骨に対する作用は以下の通りである
第1肢位
肩関節の内旋に作用する効率が高い(上部繊維)
第2肢位
肩関節の内旋に作用する(上部繊維より下部繊維で作用効率高まる)
第3肢位
肩関節の内旋に作用する効率は低下する
臨床的特徴
- 肩甲下筋は腱板の前面を形成しており、肩甲上腕関節の安定化に寄与している
- 肩甲下筋は複数の筋内腱から構成される多羽状筋である(棘上筋・棘下筋・小円筋は羽状筋である)
- 内旋機能を有する肩甲下筋の横断面積は、外旋機能を有する棘上筋、棘下筋、小円筋と合わせたものとほぼ等しく、内・外旋筋群が同時に活動すると、その張力は支点形成に有効に作用する
- 肩関節の前方脱臼に対する動的安定化機構として重要とされている
- 一方で、肩甲下筋腱の切離に伴う制動効果について、下垂位や外転45°では前方の安定化作用を認めたが、外転90°では認めなかったとされている
- さらに、外転90°では肩甲下筋は伸張位にあるものの、前方への制動効果としては期待できないとされている
圧痛好発部位
- 上部線維、下部線維ともに肩甲下窩の外側縁(大胸筋の深層部)付近で認めることが多い
評価方法
上部線維
- 肩関節を軽度外転位とし、肩甲骨外側縁の最上部線維を触診する
- 肩関節を内転させ、さらに外旋方向に誘導する
- すると上部線維が緊張するため圧痛を確認する
下部線維
- 肩甲骨外側縁(大円筋の内側部)付近を触診する
- 肩関節を外転位のまま、外旋方向に誘導する
- すると下部線維が緊張するため圧痛を確認する
伸張テスト
上部線維
- 背臥位で行う
- 肩関節を下垂位とする
- 肩甲骨の固定は内外旋中間位で行う
- そこから肩関節を外旋させる
- 外旋60°まで達しない場合、伸張性低下が示唆される
下部線維
- 背臥位で行う
- 肩関節を外転90°とする
- 肩甲骨の固定は内外旋中間位で行う
- そこから肩関節を外旋させる
- 外旋90°まで達しない場合、伸張性低下が示唆される
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