書籍紹介
今回は野球選手のための解剖学で、参考になる書籍を共有していきます!
プロメテウス
まず初めに紹介するのが、プロメテオスです!
最大の特徴は、とにかく絵が綺麗!!なところです。
筋肉や骨の絵がとても見やすく、イメージがしやすいです。
筋肉では表層から深層に分けてあり、屈筋群や伸筋群など機能的にも分けられています。
解剖だけでなく、姿勢のことや怪我にまつわることも解剖学的な視点から解説されていて、理解しやすいです。
運動療法のための機能解剖学的触診技術
次に紹介するのは、運動療法のための機能解剖学的触診技術です!
最大の特徴は、運動療法のためになる視点から解剖学を学べます!
長年整形外科領域に携われている林典雄先生という方が執筆されています。
骨、靭帯、筋肉が中心に紹介されています。
臨床との接点や関連する疾患が解説されており、単に解剖を学ぶだけでなく、現場で活用できる知識になっています。
特に、関連する疾患の簡単な解説がたくさんあります!
筋肉の伸張テストもあり、自身で確認することができます。
野球ギア紹介⑤ スレンダーバット
今回は野球ギアシリーズ、スレンダーバットを共有していきます!
スレンダーバットとは?
スレンダーバットとは、字のごとく、細いバットのことです!
通常のバットの最大径が約6㎝に対して、スレンダーバットは約3~4.5㎝です。
ぱっと見はノックバットのような感じです。
プロ野球選手では、広島カープの鈴木誠也選手が練習で使っていました!
バットが細くなるので、ミートすることが難しくなります。
通常のバットで打てばヒットになるボールでも、細バットではゴロやフライになることもあります。
それぐらい難しいため、集中力を必要とする練習になりますし、ボールをしっかりと見る練習にもなります。
また、細くて軽いため、振り抜きが良く、身体のキレを高めることもできると思います。
極細バットと極小ボール!カープ鈴木選手の神練習が激ムズすぎた…
スレンダーバットはどうやって使うの?
①普通のボールを打つ
②小さなボールを打つ
スレンダーバットで練習するメリット
- ミート力がアップから高打率につながる
- ボールを良く見ることでゴロやフライなど打ち分けられるようになる
- バッティングでの集中力がアップする
- スイングでの身体のキレを高めることができる
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野球ギア紹介④ ショートバット
今回は野球ギアシリーズ、ショートバットを共有していきます!
ショートバットとは?
ショートバットは、字のごとく、短いバットのことです!
通常のバットが約84㎝に対して、ショートバットは50~60cmです。
プロ野球選手では、筒香選手や松井秀喜選手が練習で使っていました!
【メジャー挑戦】めっちゃ短いバットでティーバッティングする筒香嘉智【横浜DeNA
バットが短いため、ボールをしっかりと身体の近くまで呼び込んでから打つ練習になります。
バットが短い分、通常のバットと比べるとヘッドが走る感じが少ないため、身体全身を使って振る感覚を掴むこともできると思います。
片手で打つ練習にも良く、右バッターの右手で打つ場合は、ボールを押し込む感覚を養うことができます。
ショートバットはどうやって使うの?
①右手打ち
②左手打ち
③両手打ち
ショートバットで練習するメリット
- カーブやチェンジアップなどのブレーキングボールで身体が前に突っ込んでしまうのを防ぐことができる
- 手打ちを矯正して、身体全体を使ったスイングを身に着けることができる
- ボールを押し込むように打つことでインサイドアウトのスイングが習得できる
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野球ギア紹介③ ジャイロスティック
今回は野球ギアシリーズ、ジャイロスティックを共有していきます!
ジャイロスティックとは?
ジャイロスティックとは、ピッチング・スローイングの練習道具です!
最大の特徴は、人体の仕組みに適ったスイング動作を身に着けることができます。
ジャイロスティックはどうやって使うの?
①握り方
中央に空いた二つの穴に、人差し指と中指の先端を入れます。ボールの縫い目に掛けるように軽く握ります。親指はスティックの裏側の腹の部分に軽く添えます。
②振る
ボールをリリースするタイミングと同じタイミングで『ピュッ』と音が鳴れば理に適った腕のスイングになっています。キレのいい音がならない場合は水銀式の体温計を振る時のようなイメージで使ってみてください。
③骨盤でキレを出す
音のキレを良くしようとして全力で腕を振ってはなりません。スイングのキレを生み出してくれるのは、骨盤からの運動連鎖によるものです。
腕を極力脱力し、骨盤から指先までがつながったイメージを持ち、その骨盤のリードで腕が勝手に振られる感覚を覚えていってください
【ピッチング上達ギア】タオルのシャドーピッチングはもう古い?ジャイロスティックで家トレチャンス
【噂の野球ギア】140kmが出る極意!エース・アニキ直伝★ライパチボーイ
ジャイロスティックで練習するメリット
- 下肢→骨盤→上肢の連動した動きを習得できる
- 手投げを軽減して、身体全体で投げることができる
- リリースポイントの確認ができる
- 腕をしならせるような感覚を掴める
- シャドーピッチングのように限られた場所で、一人で練習できる
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野球ギア紹介② ジップヒット
今回は野球ギアシリーズ、ジップヒットを共有していきます!
ジップヒットとは?
ジップヒットとは、バッティング練習道具です。
最大の特徴は、安全面が重視され、わずかなスペースで練習することができます!
自分が小さい頃は公園でキャッチボールや野球をしていましたが、最近ではボール遊び禁止の公園が増えてきています。
打ったボールがどこに飛んでいくかわからないため、安全面を考えると仕方ないことだと思いますが…
ジップヒットはその問題を解決してくれます!
ボールの中にヒモが通っているため、どこかに飛んでいく心配はありません!
ボールを取りに行く手間も省けるため、効率よく練習できます。
また、わずかなスペースとヒモを固定する柱・木・金網があれば練習できます。
ヒモの長さは約6mです。
ティーバッティングとフリーバッティングの中間ぐらいの練習といった感じですかね。
ジップヒットはどうやって使うの?
①バンドを柱・木・金網などに固定する
※固定する高さを調整すれば、低め・真ん中・高めそれぞれのコースを打つ練習が可能
②ヒモを張り、取っ手がついている側にボールを寄せる
③取っ手を持ち、腕を伸ばして胸の前で構える
④両手を開くようにするとボールがバッター側に動く
※開くスピードを変化させるとボールスピードも変わるため、タイミングをとる練習にもなります
ジップヒットで練習するメリット
- レベルスイングを身に着けることができる
- 苦手なコースを克服することができる
- 速いボール、遅いボールでタイミングをとることができる
- 手軽に、効率よくバッティング練習ができる
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野球ギア紹介① カウンタースイング
今回は野球ギアシリーズ、カウンタースイングを共有していきます!
カウンタースイングとは?
カウンタースイングとは、動くコマがついているトレーニングバットのことをいいます。
カウンタースイングが有名になったのは、今から4年前。
現在、広島カープの中村奨成選手が高校時代に使っていました。
当時、甲子園1大会最多となる6本塁打を記録し、大きな話題となりました。
甲子園6HR!広陵・中村を生んだ「カウンタースウィング」! 完璧なトップが作れるドラ1ギア!
カウンタースイングの仕組み
- 音が1回だけ鳴るスイング
音が1回だけ鳴るスイングでは、トップの位置からコマをそのままにして、バットのヘッドが身体に巻き付くように最短距離で動いていることになります。
俗に言う、インサイドアウトのスイングのことです。
- 音が2回鳴るスイング
音が2回鳴るスイングでは、バットのヘッドが遠回りをして動いていることになります。
俗に言うアウトサイドインやドアスイングのことです。
カウンタースイングで練習して良くなること
- 身体を捩る感覚をつかむことができる
- 手打ちを改善して、身体全体を使うことができる
- 下半身と上半身の捻転差をつくり、タメができる
- バッドのヘッドを鋭く走らせることができる
- インサイドアウトのスイングが身に付く
- ボールを押し込むように打つことができる
- 逆方向にも打てるようになる
- 身体の開きを抑えることができる
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野球に必要な筋肉 上半身・下半身
野球での特徴的な動き
投手・野手いずれにおいて共通する特徴的な動きとは、
- 軸足から踏み出しへ左右方向の重心移動の動き
- 足→膝→股→体幹→肩甲骨→肩→肘→手の順に連動した回転する動き
- 左右移動と回転のエネルギーをボールやバットに対して伝達させる動き
- 極短時間での瞬発的な動き
良い投手の条件
- 速いボールを投げられること
- 切れの良いボールを投げられること
- ストライクゾーンやボールゾーンにコントロールできること
- フォーシームや変化球など様々な球種のボールを投げられること
- 球の出どころがわかりにくいこと
- 力感がないフォームだが、球がスッと来ること
- タイミングが取りずらいこと
などの技術が要求されます。
良い打者の条件
- ボールがリリースされてから約0.44秒(球速140㎞/hの場合)の間にストライクかボールを見極められること
- スイングスピードが速いこと
- バットにミートできること
- 内角、外角、高め、低めのどんなコースでも打てること
- 速球のみでなく変化球にも対応できること
- フェアゾーンや野手のいない場所に打ち返せること
- 遠くへ飛ばせること
などの技術が要求されます。
言葉にすると簡単そうにみえますが非常に複雑で難しい技術であることがわかります。
野球に必要な筋肉とは?
ずばり、筋肉は、前鋸筋と広背筋、腸腰筋と大殿筋です。
前鋸筋
肩甲骨と肋骨を連結しており、体幹のエネルギーを上肢へ伝達する
前鋸筋は肩甲骨と肋骨を連結している筋肉である。
体幹の上に肩甲骨を安定させるためには欠かせない筋肉になる。
先程書いたように、野球の動作では下肢からの力を効率よく上肢に伝達することが重要になる。
その中で、体幹と上肢を結ぶ重要な役割を果たしてる。
前鋸筋は外腹斜筋と連結している。
外腹斜筋は胸腰筋膜を介して他の腹斜筋粉や広背筋、大殿筋とも連結している。
上肢の動きの土台となる
前鋸筋の作用は、肩甲骨の外転や上方回旋の動きが特徴である。
肩甲骨は、手を動かす際の土台となる。
投手・打者ではトップポジションからフォロースルーまで腕を大きく動かす際に土台である肩甲骨も同じ方向に動かす必要がある。
手を動かしている方向と土台の方向が合っていることで、100%の力を発揮することができる。
広背筋
骨盤と上腕骨を連結しており、下半身のエネルギーを上肢に伝達する
広背筋は上腕骨と骨盤を連結している筋肉である。
広背筋は上腕骨を後方へ動かすことが大きな特徴である。
後方へ動かすという意味では野球の動きとの繋がりはあまり少ないように感じられる。
ここで重要なのは上腕骨の動きではなく、体幹の筋を連動させることに大きな意味がある。
広背筋は胸腰筋膜に連結している。
胸腰筋膜は腹斜筋群や腹直筋、腰方形筋や多裂筋など腹部・背部周囲の多くの筋と連結をしている。
それにより、腹部と背部の安定性を高める重要な役割を果たしている。
また、大殿筋と連結をしており、下肢から体幹へ、力を伝達する助けをしてくれる。
腸腰筋
脊柱と大腿骨を連結しており、下半身のエネルギーを体幹に伝達する
腸腰筋は大腿骨と脊柱を連結する唯一の筋肉である。
腸腰筋の作用は股関節屈曲で、野球の動きとは関係が薄いように思われる。
しかし、内転筋群や後脛骨筋、長母指屈筋と連結しており、足→膝→股→体幹へとエネルギーの伝達をする重要な役割がある。
上方では横隔膜とも連結しており、下半身からのエネルギーを体幹から上半身へと伝達してくれる。
良い姿勢を保つ役割があり、全身の力を出しやすくしてくれる
もう一つの作用に腰椎の前弯がある。
腸腰筋がしっかりと働き、腰椎の生理的前弯を保つことで、腹部と背部のアウターマッスルがバランス良く機能することができる。
仮に、腰が曲がり姿勢が崩れると、手足の筋出力は抑制されてしまう。
そうならないよう、腸腰筋から体幹を安定させ、全身の力を100%出し切れる状態にすることがベストである。
大殿筋
骨盤と大腿骨を連結し、身体を前方や側方に動かす強力な筋肉である
大殿筋の作用は股関節伸展である。
走る、踏ん張るなど下肢を支える動作では非常に重要な筋肉である。
良いピッチャーやバッターはお尻がデカい!というのは周知のことである。
筋肉単独での体積は860㎤と身体のなかで一番大きい。
すなわち、筋力も一番強いのである。
下半身のエネルギーを上半身に伝達させる動きが特徴的なスポーツでは、大殿筋のトレーニングは必須である。
胸腰筋膜、広背筋と連結し、下半身のエネルギーを体幹に伝達する
大殿筋は胸腰筋膜を介して広背筋に連結している。
すなわち、下半身で作ったエネルギーを体幹に伝達することができる。
また、胸腰筋膜は腹斜筋や腰方形筋など腹部周囲の多くの筋と連結をしている。
大殿筋が作用することで、腹部の安定性をサポートする役割もある。
投球障害肩のリハビリテーション 投球障害肩の病態・オーバーヘッドスポーツスコア・投球再開に向けて
今回は、投球障害肩のリハビリテーションについて共有していきます!
オーバーヘッドスポーツスコアとつながる内容です!
投球障害肩の病態について
1.筋肉の消耗(疲労)の考え方
- 投げ過ぎ、ストレッチ不足、下肢と上肢の機能バランスの不良などで投球障害肩が生じることが分かってきている
- 回旋腱板筋群や肩甲骨周囲筋の筋力が弱く、この両者の機能的なインバランスによって生じる
- 投球動作でのボールリリースからフォロースルーにかけて、外旋筋が遠心性の収縮を求められ、牽引による微細損傷が生じるという考えもある
- その影響により棘下筋が萎縮していて、外見上左右差がみられることも多い
2.運動連鎖からみた病態
- 投球動作では下肢から体幹へ、体幹から上肢へ、そしてボールへとエネルギーが伝わっていく過程を運動連鎖としてみる
- 投球動作の中で、身体のどこかの分節から次の分節にエネルギーの受け渡しが上手くいかない場合、他の分節がそれを補うことで、その分節の傷害につながる
- 症状が生じている場所が本当の原因の場所でなく、他のどこかに原因があるかもしれない
3.関節唇損傷が原因とする考え方
- 投球時、肩甲骨臼蓋の上部の関節唇が臼蓋から剥離して損傷し、上腕骨頭と臼蓋に挟まれて症状が生じるとした
4.関節唇と腱板関節面が投球時接触し損傷する internal impingment の考え方
- 投球時の late coking phase に腱板関節面と後上方部関節唇が衝突することで、両者の損傷が生じる考え方は、多くの治療家に支持されている
5.肩峰下インピンジメント症候群
- 投球時に腱板や大結節が肩峰下面を通過するときに、両者が衝突して腱板や滑液包に炎症が生じ、発症する
- 全身の関節の不安定性とルーズショルダーがあり、回旋腱板筋の筋力が低下し、肩関節の不安定症が生じた状態で投球を繰り返すと、この病態が発生しやすくなる
- このメカニズムを考慮すると、炎症を抑えながら回旋腱板筋機能を向上させ、関節不安定性を改善させるリハビリテーション方針がわかってくる
投球障害肩の診察の手順
1.下肢と体幹の診察
① 下肢伸展挙上テスト
- 仰臥位で下肢伸展で床から持ち上げ、70°以下の場合は股関節回旋制限で異常と判断する
②立位前屈の指床間距離
- 指が床につかない場合は下半身の回旋制限で異常と判断する
③踵臀部間距離
- 腹臥位で膝関節を屈曲させて踵と臀部つかない場合は異常と判断する
④股関節の内旋角度
- 股関節内旋が10°以下の場合は異常と判断し、30°を目標とする
2.全身の関節の柔軟性評価
- 全身の関節の不安定性を評価しなければならない
- 5項目中3項目以上認められた場合、全身の関節不安定性と評価する
- 肩以外の関節の柔軟性を診察する意味で、1つの関節が柔らかければ他の関節も柔軟性を有している可能性がある
- 一般にアスリートの関節は柔軟性があるはずだと仮定して診察を進める
3.肩関節の診察
4.X線検査
- 一般撮影の肩関節前後、軸写、scapula-Y、肩前ロポジションを撮影し診断評価する
5.超音波検査
- 正常の肩峰下滑液包は、三角筋と腱板の境界が線状の高エコーとして描出される
- 低エコーの場合、浮腫の状態と判断し、肩峰下滑液包炎とする
- 腱板が底エコーの場合、腱板炎と評価する
- 投球障害肩に炎症所見が関与していることを評価できる検査として有用である
6.MRI検査
- T2冠状断で関節唇断裂、腱板関節面断裂、肩峰下滑液包炎を評価できる
- T2かT2水平断で関節唇の後上方断裂や関節唇の変性や形態変化を評価できる
- 腱板関節面断裂と後上方関節唇損傷が外転外旋位のABER肢位で接触している現象を描出できる
保存的療法
- 理学療法が主体で腱板機能の再教育とその反復練習を行うことである
- 炎症所見がある場合、等尺性の訓練を行う
- 炎症が続く場合、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与やヒアルロン酸の関節内注射を行う
- この間に、下肢や体幹の筋肉の強化とストレッチを行う
- 関節包や筋肉の拘縮に対しては、ほとおぱっくや超音波治療器などの物理療法と併用し、痛みのない範囲で徐々に可動域を拡大する
- 炎症が焼失した時期から個々の機能の再獲得を図っていく
- 炎症の改善後はチューブによる腱板機能訓練を行う
投球再開に向けて
- 投球を再開する目安として以下のものがある
- 肩関節に関して疼痛の再現性テストの正常化を含めて、理学的所見の11項目中9項目状の正常化
- 炎症所見の正常化
- ラセーグ角が70°以上
- 踵臀部間距離が5㎝以下
- 肩と肘に負担のかからないフォーム(下半身の重心移動を教育して)を重点的に考えて、1週間に10mずつ距離を伸ばしていく
- 40mまでは山なりボールで投球する
参考文献
投球障害肩のリハビリテーション治療 (Jpn J Rehabil Med 2018;55:495-501 原正文)
オーバーヘッドスポーツスコア 肩甲骨のアライメント評価・関節可動域の評価・肩関節回旋腱板の筋力評価・関節の不安定性の評価・疼痛の再現性の評価
今回はオーバーヘッドスポーツスコアについて共有していきます!
- オーバーヘッドスポーツスコアとは?
- オーバーヘッドスポーツスコアの目的は?
- 5つのカテゴリー
- 肩甲骨のアライメント評価
- 関節可動域の評価
- 肩関節回旋腱板の筋力評価
- 関節の不安定性の評価
- 疼痛の再現性の評価
- 参考文献
オーバーヘッドスポーツスコアとは?
オーバーヘッドスポーツスコアとは、野球肩理学所見11項目のことをいいます!
①SSD (scapula spine distance)
②CAT (combined abduction test)
③HFT (horizonal flexion test)
④徒手筋力検査:棘上筋
⑤ 〃 :棘下筋
⑥ 〃 :肩甲下筋
⑦ 〃 :前鋸筋
⑧ 〃 :上腕三頭筋⑨Sulcus test (下方動揺性)
Load and sift test (前後動揺性)
⑩Neer test
Hawkins sign
⑪HERT (hyper external rotation test)
原正文先生が執筆された『投球障害肩のリハビリテーション治療』で紹介されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/55/6/55_55.495/_pdf
オーバーヘッドスポーツスコアの目的は?
投球障害肩の診断補助になる
- 補助診断法のX線検査や超音波検査やる野球肩理学所見を取り入れ、診断精度を上げていく
- 肩が痛くて投球できないと訴えて来院した選手に対する診断の原則は、画像評価そのものではなく、あくまでもその選手の理学所見を基盤とした画像所見を含めた医学的評価である
選手自身に異常な身体所見を自覚してもらうツールになる
- ほとんどの選手は自分の身体のどこに異常があって投げられないのかを知らない
- そこで、選手に異常な理学所見を自覚してもらう必要がある
- 身体の異常状態を自身に体感させることで、本人も納得するものである
治療の効果判定になる
- テストを施行し、これらの理学所見が異常な場合、治療経過とともに異常所見が正常化することで治療の評価としている
- リハビリテーションを行うことでこれらの項目が正常化することを選手が自覚できるので、復帰に向けての目安になる
5つのカテゴリー
肩関節の診察を5つのカテゴリーに分類してみていく。
- 肩甲骨のアライメント評価
- 関節可動域の評価
- 肩関節回旋腱板の筋力評価
- 関節の不安定性の評価
- 疼痛の再現性の評価
肩甲骨のアライメント評価
①SSD (scapula spine distance)
- 肩甲骨の変位を観察していく。
関節可動域の評価
②CAT (combined abduction test)
③HFT (horizonal flexion test)
- 肩甲上腕関節の角度を評価していく。
肩関節回旋腱板の筋力評価
④徒手筋力検査:棘上筋
⑤ 〃 :棘下筋
⑥ 〃 :肩甲下筋
⑦ 〃 :前鋸筋
⑧ 〃 :上腕三頭筋
- 腱板機能を含む回旋筋力の評価をしていく。
関節の不安定性の評価
⑨Sulcus test (下方動揺性)
Load and sift test (前後動揺性)
- 肩関節の不安定性の評価をしていく
疼痛の再現性の評価
⑩Neer test
Hawkins sign
⑪HERT (hyper external rotation test)
- 肩峰下部の第2肩関節の疼痛を再現させるimpingement testを評価する
参考文献
投球障害肩のリハビリテーション治療 (Jpn J Rehabil Med 2018;55:495-501 原正文)
スーパーフッシャルバックアームライン
今回はアナトミートレイン、スーパーフッシャルバックアームラインについて共有していきます!
スーパーフッシャルバックアームライン(SBAL):浅後腕線の経路
概観
- 軸骨格から出て、母指、小指、手掌、手背における4つの側面を走る
- 肩や腕が可動性のために特殊化しているため、下肢の経線よりも筋筋膜連結の渡線が多くみられる
姿勢機能
- 上肢は上部の骨格から下垂しているので、上肢それ自体は構造上の柱の部分にはなっていない
- 上肢の重さと私たちの活動に上肢が多数連結することを考えると、腕線にも姿勢機能があるといえる
- 肘の位置は背部の中央に作用し、肩の位置は肋骨、頚部その他に著しい影響を及ぼす
運動機能
- 腕や手は日常の無数の手の活動を眼とともに腕線を用いて行っている
- 腕線は上肢の関節の10のレベルで、物体を引き寄せ、押し退けるために働き、私たちの身体を引っ張り、押し出しまたは安定化させるために働く
- 腕線は断線することなく外側線、ラセン線、機能線に接続する
アナトミートレインとは
7つの路線
①スーパーフィッシャルバックライン
足底から頭頂まで人体の後面全体を結ぶライン
②スーパーフィッシャルフロントライン
足先から頭蓋側面までの前身の前面を結合するライン
③ラテラルライン
身体の両側を走るライン
④スパイラルライン
人体を螺旋状に取り巻くライン
⑤アームライン
1.ディープフロントアームライン
上肢前面の深いライン
2.スーパーフィッシャルフロントアームライン
上肢前面の浅いライン
3.ディープバックアームライン
上肢後面の深いライン
4.スーパーフィッシャルバックアームライン
上肢後面の浅いライン
⑥ファンクショナルライン
体幹表面を通って対側の骨盤と下肢へ行くライン
⑦ディープフロントライン
人体の筋筋膜線の中心軸をなすライン
ディープバックアームライン
今回はアナトミートレイン、ディープバックアームラインについて共有していきます!
ディープバックアームライン(DBAL):深後腕線の経路
- 下位頚椎と上位胸椎、第1~4横突起
- 菱形筋と肩甲挙筋
- 肩甲骨内側縁
- 回旋筋腱板筋
- 上腕骨頭
- 上腕三頭筋
- 肘頭
- 尺骨の骨膜
- 尺骨の茎状突起
- 内側手根側副靭帯
- 三角骨、有鉤骨
- 小指球筋
- 小指の外側部
概観
- 軸骨格から出て、母指、小指、手掌、手背における4つの側面を走る
- 肩や腕が可動性のために特殊化しているため、下肢の経線よりも筋筋膜連結の渡線が多くみられる
姿勢機能
- 上肢は上部の骨格から下垂しているので、上肢それ自体は構造上の柱の部分にはなっていない
- 上肢の重さと私たちの活動に上肢が多数連結することを考えると、腕線にも姿勢機能があるといえる
- 肘の位置は背部の中央に作用し、肩の位置は肋骨、頚部その他に著しい影響を及ぼす
運動機能
- 腕や手は日常の無数の手の活動を眼とともに腕線を用いて行っている
- 腕線は上肢の関節の10のレベルで、物体を引き寄せ、押し退けるために働き、私たちの身体を引っ張り、押し出しまたは安定化させるために働く
- 腕線は断線することなく外側線、ラセン線、機能線に接続する
アナトミートレインとは
7つの路線
①スーパーフィッシャルバックライン
足底から頭頂まで人体の後面全体を結ぶライン
②スーパーフィッシャルフロントライン
足先から頭蓋側面までの前身の前面を結合するライン
③ラテラルライン
身体の両側を走るライン
④スパイラルライン
人体を螺旋状に取り巻くライン
⑤アームライン
1.ディープフロントアームライン
上肢前面の深いライン
2.スーパーフィッシャルフロントアームライン
上肢前面の浅いライン
3.ディープバックアームライン
上肢後面の深いライン
4.スーパーフィッシャルバックアームライン
上肢後面の浅いライン
⑥ファンクショナルライン
体幹表面を通って対側の骨盤と下肢へ行くライン
⑦ディープフロントライン
人体の筋筋膜線の中心軸をなすライン
スーパーフッシャルフロントアームライン
今回はアナトミートレイン、スーパーフッシャルフロントアームラインについて共有していきます!
スーパーフッシャルフロントアームライン(SFAL):浅前腕線の経路
- 鎖骨の内側1/3、肋軟骨、胸腰筋膜、腸骨稜
- 大胸筋、広背筋
- 上腕骨の内側線
- 内側上腕筋間中隔
- 上腕骨の内側上顆
- 屈筋群
- 手根管
- 手指の手掌面
概観
- 軸骨格から出て、母指、小指、手掌、手背における4つの側面を走る
- 肩や腕が可動性のために特殊化しているため、下肢の経線よりも筋筋膜連結の渡線が多くみられる
姿勢機能
- 上肢は上部の骨格から下垂しているので、上肢それ自体は構造上の柱の部分にはなっていない
- 上肢の重さと私たちの活動に上肢が多数連結することを考えると、腕線にも姿勢機能があるといえる
- 肘の位置は背部の中央に作用し、肩の位置は肋骨、頚部その他に著しい影響を及ぼす
運動機能
- 腕や手は日常の無数の手の活動を眼とともに腕線を用いて行っている
- 腕線は上肢の関節の10のレベルで、物体を引き寄せ、押し退けるために働き、私たちの身体を引っ張り、押し出しまたは安定化させるために働く
- 腕線は断線することなく外側線、ラセン線、機能線に接続する
アナトミートレインとは
7つの路線
①スーパーフィッシャルバックライン
足底から頭頂まで人体の後面全体を結ぶライン
②スーパーフィッシャルフロントライン
足先から頭蓋側面までの前身の前面を結合するライン
③ラテラルライン
身体の両側を走るライン
④スパイラルライン
人体を螺旋状に取り巻くライン
⑤アームライン
1.ディープフロントアームライン
上肢前面の深いライン
2.スーパーフィッシャルフロントアームライン
上肢前面の浅いライン
3.ディープバックアームライン
上肢後面の深いライン
4.スーパーフィッシャルバックアームライン
上肢後面の浅いライン
⑥ファンクショナルライン
体幹表面を通って対側の骨盤と下肢へ行くライン
⑦ディープフロントライン
人体の筋筋膜線の中心軸をなすライン
ディープフロントアームライン
今回はアナトミートレイン、ディープフロントアームラインについて共有していきます!
ディープフロントアームライン(DFAL):深前腕線の経路
- 第3~5肋骨
- 小胸筋、鎖骨胸筋筋膜
- 烏口突起
- 上腕二頭筋
- 橈骨粗面
- 橈骨の骨膜、前縁
- 橈骨の茎状突起
- 外側手根側副靭帯
- 舟状骨、大菱形骨
- 母指球筋
- 母指の外側部
概観
- 軸骨格から出て、母指、小指、手掌、手背における4つの側面を走る
- 肩や腕が可動性のために特殊化しているため、下肢の経線よりも筋筋膜連結の渡線が多くみられる
姿勢機能
- 上肢は上部の骨格から下垂しているので、上肢それ自体は構造上の柱の部分にはなっていない
- 上肢の重さと私たちの活動に上肢が多数連結することを考えると、腕線にも姿勢機能があるといえる
- 肘の位置は背部の中央に作用し、肩の位置は肋骨、頚部その他に著しい影響を及ぼす
運動機能
- 腕や手は日常の無数の手の活動を眼とともに腕線を用いて行っている
- 腕線は上肢の関節の10のレベルで、物体を引き寄せ、押し退けるために働き、私たちの身体を引っ張り、押し出しまたは安定化させるために働く
- 腕線は断線することなく外側線、ラセン線、機能線に接続する
アナトミートレインとは
7つの路線
①スーパーフィッシャルバックライン
足底から頭頂まで人体の後面全体を結ぶライン
②スーパーフィッシャルフロントライン
足先から頭蓋側面までの前身の前面を結合するライン
③ラテラルライン
身体の両側を走るライン
④スパイラルライン
人体を螺旋状に取り巻くライン
⑤アームライン
1.ディープフロントアームライン
上肢前面の深いライン
2.スーパーフィッシャルフロントアームライン
上肢前面の浅いライン
3.ディープバックアームライン
上肢後面の深いライン
4.スーパーフィッシャルバックアームライン
上肢後面の浅いライン
⑥ファンクショナルライン
体幹表面を通って対側の骨盤と下肢へ行くライン
⑦ディープフロントライン
人体の筋筋膜線の中心軸をなすライン
ディープフロントライン
ディープフロントライン(DFL):深前線の経路
最後部ライン
- 後頭骨基底部
- 頭長筋、頸長筋
- 前仙骨筋膜
- 前縦靱帯
- 胸腰椎椎体
- 尾骨
- 骨盤隔膜筋膜
- 肛門挙筋
- 内閉鎖筋筋膜
- 坐骨枝
- 後筋間中隔
- 大内転筋
- 小内転筋
- 大腿骨内側上顆
- 膝窩筋
- 膝関節包
- 脛骨、腓骨の上後部
- 後脛骨筋
- 長趾屈筋
- 底側足根骨
- 足趾底面
前後部ライン
- 後頭骨基底部
- 頸長筋
- 頭長筋
- 前仙骨筋膜
- 前縦靭帯
- 胸腰椎椎体
- 大腰筋
- 腸骨筋
- 恥骨筋
- 腰方形筋
- 大腿三角
- 前大腿筋間中隔
- 長内転筋
- 短内転筋
- 大腿骨粗線
- 大腿骨内側上顆
- 膝窩筋
- 膝関節包
- 脛骨、腓骨の上後部
- 後脛骨筋
- 長趾屈筋
- 底側足根骨
- 足趾底面
中部ライン
- 頸椎横突起
- 後頭骨基底部
- 椎前筋膜
- 咽頭縫線
- 斜角筋
- 内側斜角筋筋膜
- 心膜
- 縦隔
- 壁側胸膜
- 横隔膜後部
- 横隔膜脚
- 腱中心
- 腸腰筋
- 恥骨筋
- 腰方形筋
- 前筋間中隔
- 長内転筋
- 短内転筋
- 大腿骨粗線
- 大腿骨内側上顆
- 膝窩筋
- 膝関節包
- 脛骨、腓骨の上後部
- 後脛骨筋
- 長趾屈筋
- 底側足根骨
前部ライン
- 下顎骨
- 舌骨上筋
- 舌骨
- 舌骨下筋
- 気管前筋膜
- 胸骨柄に後側
- 胸内筋膜
- 胸横筋
- 剣状突起
- 肋骨下後面
- 軟骨組織
- 横隔膜前部
- 横隔膜後部
- 横隔膜脚
- 腱中心
- 胸腰椎椎体
- 腸腰筋
- 恥骨筋
- 腰方形筋
- 大腿骨小転子
- 長内転筋
- 短内転筋
- 大腿骨内側上顆
- 膝窩筋
- 膝関節包
- 脛骨、腓骨の上後部
- 後脛骨筋
- 長趾屈筋
- 底側足根骨
- 足趾底面
概観
- 人体の筋筋膜線の中心軸をなす
- 前額面では左右の外側線の間にあり、矢状面では浅前線と浅後線に挟まれ、ラセン線と機能線に囲まれている
- 足底深部から起こり、下腿骨の後面と膝の後ろを上り、大腿内側面を回って股関節・骨盤・腰椎の前面に行く
- 胸部内臓の周囲や内部を通るいくつかの経路を上行して神経頭蓋と内臓頭蓋の下面に終わる
- 骨盤を介して股関節と深く関わり、呼吸の動きと歩行リズムとを互いに連動させる
- 交感神経節とともに神経-運動のシャーシと腹腔内にある内臓との間を迷走する
- 頚部では浅前線と浅後線の牽引に対抗する引き上げ作用をしている
姿勢機能
- 身体の支持に重要な働きをしている
- 内側縦足弓を引き上げる
- 下肢の各部分を安定化させる
- 腰椎を前方から支える
- 胸郭を安定化させて、呼吸を行わせる
- 脆弱な頚部とその上にある重い頭部の両方のバランスを保つ
- 深前線における支持、バランス、適度な緊張がなくなると、身体全体の短縮が起こり、骨盤と脊柱の中心部の虚脱が促進され、他のすべての筋筋膜線において良くない代償的調整の基盤が作られる
運動機能
- 厳密には、深前線が引き起こす運動はない
- 深前線の筋筋膜は、遅収縮性、持続性の筋繊維を含み、これが深前線の働きに反映されている
- すなわち、深前線は中心軸構造に対して安定性と微妙な位置変化を与え、浅層の構造物と筋筋膜線が容易に、また効率よく骨格と共同作用ができるようにしている
- 通常、機能は表層の筋筋膜線に伝達されるが、関節や関節周囲の組織に傷害や変性の原因となる負担をかけながら伝達される
- したがって、傷害の多くは発症する数年前の深前線内の欠損から始まっていることが多い
アナトミートレインとは
- アナトミートレインとは、筋筋膜が無限の網で全身を連結しているとい概念である
- アナトミートレインの体系がわかれば、筋骨格構造の立体感が得られ、代償とひずみの全身における分布パターンが理解できるようになる
- 臨床的には、身体のある部位における疼痛の問題が、離れたところにあって、まったく無症状の部位とどのように関係するのかを離開するのに直接応用できる
アナトミートレインの概要について復習したい方はこちら
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7つの路線
①スーパーフィッシャルバックライン
足底から頭頂まで人体の後面全体を結ぶライン
②スーパーフィッシャルフロントライン
足先から頭蓋側面までの前身の前面を結合するライン
③ラテラルライン
身体の両側を走るライン
④スパイラルライン
人体を螺旋状に取り巻くライン
⑤アームライン
1.ディープフロントアームライン
上肢前面の深いライン
2.スーパーフィッシャルフロントアームライン
上肢前面の浅いライン
3.ディープバックアームライン
上肢後面の深いライン
4.スーパーフィッシャルバックアームライン
上肢後面の浅いライン
⑥ファンクショナルライン
体幹表面を通って対側の骨盤と下肢へ行くライン
⑦ディープフロントライン
人体の筋筋膜線の中心軸をなすライン