多裂筋

f:id:sakuraiku:20201026104212j:plain

 

野球選手のための解剖学シリーズ!

今回は、『多裂筋』について共有していきます。

 

 

起始・停止・神経支配

      f:id:sakuraiku:20201103081038p:plain

起始

  1. 第4仙骨孔までの仙骨後面
  2. 上後腸骨棘
  3. 背側仙腸靭帯
  4. すべての乳頭突起および腰椎椎間関節孔
  5. 椎骨の横突起

停止

  • 上位の棘突起(2~4個の椎骨を飛び越して)

神経支配

  • 脊髄神経後枝内側枝

特徴

  • 脊柱の後方を支持する固有背筋の一つで、棘突起のすぐ両側に位置する緊張の短い筋肉である
  • 多裂筋は腰部で非常に発達しており、胸部より上の多裂筋の筋腹は甚だ小さい
  • 中位腰椎レベルの多裂筋と脊柱起立筋との割合はほぼ1:1であり、下位腰椎レベルでは多裂筋の占める割合は80%に達する

f:id:sakuraiku:20201103081113p:plain

 

f:id:sakuraiku:20210301094007p:plain

⑤短回旋筋  ⑥長回旋筋  ⑦多裂筋

⑧胸半棘筋  ⑨頸半棘筋  ⑩頭半棘筋

 

作用

筋機能の特徴

  • 両側が収縮すると、体幹伸展に作用する
  • 片側が収縮すると、体幹の同側側屈と反対側回旋に作用する
  • 多裂筋は仙骨後面をつなぎ、腰仙椎間の安定化に作用する
  • 上後腸骨棘、背側仙腸靭帯をつなぐ線維は仙腸関節の安定化に作用する
  • 乳様突起ならびに椎間関節包をつなぐ線維は椎間関節の安定化に作用する

 

筋連結

f:id:sakuraiku:20210208065206p:plain

帽状腱膜

後頭下筋

脊柱起立筋

腰仙筋膜

仙結節靭帯

ハムストリングス

腓腹筋

アキレス腱

足底腱膜

短趾屈筋

 

 

野球との接点

 慢性腰痛

  • 腰部コンパートメント内圧上昇が原因の腰痛がある
  • 椎間関節由来の腰痛では、脊髄神経後枝内側枝を介した反射により、同レベルの多裂筋に攣縮が生じる
  • 椎間孔を出た腰神経は前枝と後枝に分かれ、後枝はさらに外側枝と内側枝に分かれる。内側枝はその後、椎間関節に分布するとともに多裂筋を支配する。椎間関節における病態は、多裂筋の反射性攣縮を併せて引き起こす可能性が高い。

f:id:sakuraiku:20201103081134p:plain

  • 仙腸関節の安定化に関わる多裂筋の持続的筋攣縮例では、背側仙腸靭帯の間接的緊張の増加により、仙腸関節ストレステストが陽性となる場合が多い
  • 多裂筋は胸腰筋膜を介して腹横筋と連結する。そのため、多裂筋が収縮すると体幹インナーマッスルである横隔膜や腹横筋、骨盤底筋群も同時に収縮する

 

解剖学を学んでおいた方がよい理由