前鋸筋

 

野球選手のための解剖学シリーズ!

今回は、『前鋸筋』について共有していきます。

 

 

起始・停止・神経支配

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起始

  • 第1~9肋骨側面

停止

  • 肩甲骨肋骨面の内側縁

神経支配

  • 長胸神経(C5~C7)

特徴

  • 第1肋骨と第2肋骨に起始する繊維の一部は肩甲骨上角に停止する
  • 第2肋骨に起始する線維の一部と第3肋骨に起始する線維群は、下角までの内側縁に停止する
  • 第4肋骨から第9肋骨起始する線維は、肩甲骨下角に集中して停止する

 

作用

筋機能の特徴

  • 前鋸筋は肩甲骨外転に関わる唯一の筋肉である
  • 上角に付着する線維群は外転とともに下方回旋に関与する
  • 上角に付着する以外の線維群は外転とともに上方回旋に関与する
  • 前鋸筋の機能を水平面上でみると、僧帽筋と協同して肩甲骨内側縁を胸郭に引きつけ、安定させる

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  • 前鋸筋は僧帽筋と協同して肩甲骨の上方回旋に作用する重要な筋肉である

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筋連結

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頭板状筋

頸板状筋

菱形筋

前鋸筋

外腹斜筋

腹部腱膜

内腹斜筋

大腿筋膜張筋

前脛骨筋

長腓骨筋

大腿二頭筋

仙結節靭帯

仙腰筋膜

脊柱起立筋

 

 

野球との接点

長胸神経麻痺

  • 前鋸筋の機能低下による肩甲骨安定化のの破綻は、肩関節運動の重篤な障害となる
  • 前鋸筋の機能を確認する際は、肩関節屈曲運動で確認することが重要である。その理由として、僧帽筋の代償により挙上が可能となる場合がある。
  • 肩関節下垂位で後方から観察した時、肩甲骨内側縁が胸郭から浮き上がった所見がある時は、前鋸筋の機能不全を疑う

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肩関節不安定症

  • 前鋸筋の機能低下により、二次的に肩甲上腕関節の不安定性が出現する可能性がある

 

 

解剖学を学んでおいた方がよい理由