僧帽筋の機能解剖と圧痛好発部位

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僧帽筋の機能解剖と圧痛部位を知りたい!

 

 

機能解剖

 僧帽筋の作用として以下のものがある

  • 僧帽筋上部線維は鎖骨肩峰端の挙上とともに肩甲骨を挙上し、同時に肩甲骨の上方回旋に作用する
  • 僧帽筋中部線維は肩甲骨の内転とともに肩甲骨の上方回旋に作用する
  • 僧帽筋下部線維は肩甲骨の下制とともに肩甲骨の上方回旋に作用する
  • 上肢挙上に伴う肩甲骨上方回旋は、僧帽筋の3つの線維群と前鋸筋による共同運動による

 

  • 僧帽筋の中部線維は脊椎を介して互いに結合し、腱鏡と呼ばれる菱形状の腱板を構成している
  • 片側が胸椎を固定することで、反対側は肩甲骨の内転運動の作用効率が高まる

 

  • 僧帽筋上部線維は鎖骨外側1/3を介して三角筋前部線維と互いに引き合う関係となる
  • 肩関節外転90°では、僧帽筋中部線維は肩峰、肩甲棘を介して三角筋中部線維および後部線維と互いに引き合う関係となる
  • 肩関節のゼロポジションでは、僧帽筋下部線維は肩甲骨を介して三角筋前部・中部・後部線維と互いに引き合う関係となる

 

臨床的特徴

投球肩障害

  • 僧帽筋の筋力低下を主体とした肩甲胸郭関節機能低下を基盤としたインピンジメント症候群や腋窩神経障害なども存在するため注意

 

胸郭出口症候群

  • 牽引型のケースでは、僧帽筋中部・下部線維の筋力低下を認める場合が多い

 

副神経麻痺

  • 副神経麻痺による僧帽筋筋力低下から肩甲骨の安定化が失われ、翼状肩甲を呈する。長胸神経麻痺に伴う前鋸筋不全でも翼状肩甲は観察されるため、鑑別が重要となる。
  • 副神経麻痺による翼状肩甲は肩関節外転時に著明となり、長胸神経麻痺による翼状肩甲は肩関節屈曲時に著明となる。

 

圧痛好発部位

  • 僧帽筋は肩甲骨の運動性・支持性、姿勢の保持など重要な機能を担う筋肉であるが、拘縮肩の症例において圧痛を認めることは少ない

 

 

 

 

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