上腕三頭筋の伸張テストと圧痛好発部位

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この記事は次のような人におススメ!

上腕三頭筋の伸張テストの方法・圧痛部位を知りたい!

 

 

機能解剖

  • 上腕三頭筋長頭が短縮すると、肩関節挙上時に上腕骨頭を上方へ偏位させる力として作用する
  • 上腕三頭筋の上腕骨に対する作用は以下の通りである

第1肢位

肩関節の伸展

 

第2肢位

肩関節の弱い内転

 

第3肢位

肩関節の伸展

 

臨床的特徴

Bennett骨棘

  • 投球肩障害の一つで、肩関節後方の痛みや圧痛を愁訴とする
  • 要因として肩関節後方支持組織の硬さが大きく、関節包の硬さや上腕三頭筋長頭の過剰牽引が原因とされている
  • 骨棘が大きいと腋窩神経を刺激することもある
  • ワインドアップ期に肩関節後方に痛みが出る
  • コッキング期または減速期m、フォロースルー期に肩関節後方や上腕外側が痛みが出たり、脱力感を感じることがある
  • 側臥位で肩関節外転・外旋位を強制すると後方に痛みを生じるが、relocation testは通常陰性である
  • 肩関節屈曲90°での内旋可動域が減少している

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圧痛好発部位

  • 関節下結節付着部を中心に長頭の近位部にかけて認めることが多い
  • 特に、関節下結節付着部付近での筋座礁を伴った投球障害肩では、同部の圧痛は著名である

 

評価方法

  1. 肘関節屈曲位のまま、肩関節を屈曲方向に誘導する
  2. すると上腕三頭筋長頭が緊張するため圧痛を確認する

 

伸張テスト

  1. 背臥位で行う
  2. 肩関節を下垂位、肘関節は最大屈曲位とする
  3. 肩甲骨を固定する
  4. そこから肩関節を屈曲させる
  5. 屈曲80°まで達しない場合、上腕三頭筋長頭の伸張性低下が示唆される

 

運動療法

リラクセーション

  1. 背臥位とする
  2. 肩関節の屈曲と肘関節の屈曲を他動的に加える
  3. 上腕三頭筋の伸張を触診で確認する
  4. 肩関節の伸展と肘関節の伸展との自動介助運動(5~10%程度の強度)を行う
  5. 上腕三頭筋が収縮するのを触診で確認する
  6. その筋が動かせる可動範囲にわたり誘導する
  7. この一連の動作をリズミカルに反復し、筋緊張と圧痛が改善するまで行う

 

ストレッチング

  1. 背臥位とする
  2. 肘関節を屈曲位のまま肩関節の屈曲を他動的に加える
  3. 上腕三頭筋がある程度伸張されるのを触診で確認する
  4. 肩関節の伸展と肘関節の伸展との等尺性収縮(10~20%程度の強度)を行い、筋腱移行部に伸張刺激を加える
  5. 自動介助運動に切り替えて、その筋が動かせる可動範囲にわたり筋収縮を誘導する
  6. この一連の動作をリズミカルに反復し、筋緊張と圧痛が改善するまで行う

 

治療法を選択する基準は?

まずは筋攣縮なのか、筋短縮を評価して見分けます。

筋攣縮と筋短縮の評価法について復習したい方はこちら


治療法のベースとなる反復性等尺性収縮について復習したい方はこちら

 

 

 

 

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