小胸筋
野球選手のための解剖学シリーズ!
今回は、『小胸筋』について共有していきます。
起始・停止・神経支配
起始
- 第2~5肋骨前面
停止
- 肩甲骨の烏口突起
神経支配
- 胸筋神経(C5~Th1)
特徴
- 烏口突起と胸郭を結ぶ小胸筋を屋根として、その深部を鎖骨下動脈・鎖骨下静脈・腕神経叢が通過する
作用
筋機能の特徴
- 烏口突起を前方に引き、肩甲骨下角が胸郭から離れる(肩甲骨前傾)運動が生じる
- 小胸筋は肩甲挙筋・菱形筋らとともに肩甲骨下方回旋に作用する
- 肩甲骨が固定された状態では胸郭を引き上げ、吸気を補助する
筋連結
小胸筋 ↔ 上腕二頭筋 ↔ 橈骨骨膜、前縁 ↔ 外側側副靭帯、母指球筋
野球との接点
小胸筋症候群
- 小胸筋が直接肩から上肢に痛みを引き起こす
- 大きく分類すると胸郭出口症候群に含まれるが、上肢を外転した時に症状の発現が強いことから、別名、過外転症候群とも呼ばれている
- 小胸筋が攣縮状態にある場合、上肢挙上に伴う神経、血管の圧迫が強く加わり痛みが出現するとされている
- 小胸筋部の圧痛および放散痛が著明であり、斜角筋症候群、肋鎖症候群との鑑別が重要となる
肩関節不安定症
- 小胸筋、肩甲挙筋などの攣縮による不良姿勢が原因で、二次的に肩甲上腕関節の不安定性が出現していることがあるため注意が必要