斜角筋

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野球選手のための解剖学シリーズ!

今回は、『斜角筋』について共有していきます。

 

 

起始・停止・神経支配

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起始

  • 前斜角筋:C3~6横突起の前結節
  • 中斜角筋:C3~7横突起の後結節
  • 後斜角筋:C5~7横突起の後結節

停止

  • 前斜角筋:第1肋骨の前斜角筋結節
  • 中斜角筋:第1肋骨の鎖骨動脈構の後方
  • 後斜角筋:第2肋骨の外側面

神経支配

  • 頸・腕神経叢(C3~C8)

特徴

  • C5~8の前枝とTh1の前枝からなる強大な神経叢を腕神経叢という
  • 腕神経叢は、根・神経幹・神経束の3部で構成される
  • 斜角筋レベルを根、鎖骨上窩レベルを神経幹、鎖骨より遠位を神経束に分けられる

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①前斜角筋  ②中斜角筋  ③後斜角筋

 

作用

筋機能の特徴

  • 頭部が固定されたうえで両側が同時に働いた場合、肋骨を引き上げ、胸郭を広げる作用をもつ
  • 胸郭が固定されたうえで両側が同時に働いた場合、頚部の屈曲に作用する
  • 片側のみ働いた場合、頚部の同側の側屈に作用する

 

筋連結

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斜角筋 ↔ 横隔膜 ↔ 腸腰筋 ↔ 内転筋群 ↔ 後脛骨筋

 

 

野球との接点

 胸郭出口症候群

  • 胸郭上方の開口部から肋鎖間隙または小胸筋部において、腕神経叢や鎖骨下動脈・静脈を圧迫することにより神経症状や血管症状を総称して胸郭出口症候群という
  • 圧迫型、牽引型、混合型二大別される
  • 胸郭出口症候群を見るための徒手検査を以下に紹介する

①アドソンテスト:患者の腕を膝の上に置き、橈骨動脈の拍動を触診する。検査側へ頚部回旋・伸展を行わせ、深呼吸を行わせる。脈拍の減弱が認められ場合、陽性である。

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②アレンテスト:患者の一側の肩外転90°・外旋とし、橈骨動脈を触診する。反対側への頚部回旋により橈骨動脈の減弱が認められた場合、陽性である。

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③エデンテスト:患者を座位とし、上肢を後方に引いた姿勢への変化にて橈骨動脈の拍動減弱や痛みの誘発が得られた場合、陽性である。

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④ライトテスト:患者の両肩外転90°・外旋位とすることで橈骨動脈の拍動減弱や痛みの誘発が得られた場合、陽性である。健常者でも30~50%は陽性になるといわれている。

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⑤ルーステスト:ライトテストと同肢位で、手指の掌握運動を3分間持続させる。疲労感や痛みで運動継続が不可能な場合、陽性である。最も信頼性が高い徒手検査とされている。

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⑥Inferior stress test:患者の上肢をつかみ、下方牽引を加えることで症状の再現が得られる場合、陽性である。牽引型の症例に認められる。

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解剖学を学んでおいた方がよい理由