後脛骨筋
野球選手のための解剖学シリーズ!
今回は、『後脛骨筋』について共有していきます。
起始・停止・神経支配
起始
- 下腿骨間膜後面の上半
- 脛骨と腓骨の隣接面
停止
- 舟状骨粗面
- 内側、中間、外側楔状骨
- 第2~4中足骨底
神経支配
- 脛骨神経(L5~S2)
特徴
- 後脛骨筋の上半は羽状、下半は半羽状の形態をとる
- 足根幹のレベルでは後脛骨筋腱は内果のすぐ後方を通過する
- 後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋は深後側コンパートメントに存在し、3筋はヒラメ筋のポケット内に収納されている
①後脛骨筋 ②長趾屈筋 ③長母趾屈筋
作用
筋機能の特徴
- 足関節の底屈に作用する
- 足部の回外(内反)、内転に作用する
- 足部を固定した場合、下腿を後傾かつ内方へ引く
- 足部アーチを保持する最も重要な筋肉である
筋連結
舌骨上筋 ↔ 舌骨下筋 ↔ 頭長筋・頚長筋 ↔ 斜角筋 ↔ 横隔膜 ↔ 腸腰筋・腰方形筋 ↔ 内転筋群 ↔ 膝窩筋 ↔ 後脛骨筋・長趾屈筋
野球との接点
後脛骨筋機能不全(PTTD:Posterior Tibial Tendon Dysfunction)
- 中足部から前足部にかけての回内・外転方向へのストレスに後脛骨筋が抗することができず、徐々に後足部回内、中足部以遠の外転変形が進行する
- このような例を後方からみた時、多くの足趾が観察できる現象をtoo many toe signが特徴的とよぶ
後脛骨筋腱腱鞘炎
- 足部回内不安定性がある場合では後脛骨筋腱腱鞘炎やシンスプリントが発症しやすい
シンスプリント
- ランニング障害として代表的なシンスプリントでは、後脛骨筋の強い圧痛とともに著名な高緊張を認める
- 脛骨内縁中央から遠位1/3にかけての疼痛および圧痛を愁訴とする
- 病態については骨膜炎、筋膜炎、過労性骨障害等がいわれており、特定されていないがover useが基盤になっていることには異論がない
- 疼痛の原因として後脛骨筋やヒラメ筋が関与し、これらの筋肉のover useの原因に過度な回内足を呈したものが多い