野球と筋トレの関係 除脂肪体重・脂肪量と動作の関係・野球に必要な筋肉
『速い球を投げる・球を遠くに飛ばすために、ピッチングやバッティング練習だけでなく、筋トレも取り入れた方がいいのか?』
『野球のためにはどこの筋肉を鍛えた方がいいのか?』
『どれくらいの筋肉をつけた方がいいのか?』
今回は、そんな疑問に答えていきたいと思います!
野球と筋トレの関係
ずばり、筋トレは必ずやった方がいいと思います。
理由として、野球の競技特性を考える必要があります。
競技特性は、ピッチャーであれば、『極短時間で、高強度の筋力を発揮する動作』を繰り返すことです。
より強い筋力を瞬間的に発揮できるかどうかが、ボールスピードやコントロールの改善につながる可能性があります。
また、最近では、スイングスピードや投球速度と筋力の関係を示す文献が数多く出ています。
それでは、野球に必要な筋力を、量と質の面から紐解いていきましょう。
除脂肪体重
初めに、筋力の量(強さ)についてです。
基本的に、筋力と筋量は比例するといわれています。
日本とアメリカの野球選手の筋量を示した表です。
野球選手必読!トレーニング期に目指すべき体重・筋量の目安とは | Baseball Geeks
日本プロの平均体脂肪率は16%で、MLBでは9.6%と幅があり、単純に筋量が多ければ良い、というわけではなさそうです。
その理由として、筋力以外の要素もパフォーマンスに影響するためだと思われます。
どのくらいの筋量が適切かどうかは、動作の質やパフォーマンスが上がるかどうかを見極める必要があります。
脂肪量と動作の関係
下の図は、疑似的に脂肪量を増やすことで、動作にどの程度影響を与えるかを表しています。
脂肪が増えると、野球の動作に必要となるサイドステップやダッシュのパフォーマンスが低下することが示唆されます。
野球のコンディショニング科学 「除脂肪体重や体脂肪に着目した体づくり」 - ベースボール・マガジン社WEB
除脂肪体重はどうやったらわかるの?
筋量は、除脂肪体重からわりだせます。
体重60㎏・体脂肪率15%の選手の除脂肪体重は、60㎏-60㎏×0.15=51㎏となります。
除脂肪体重とは、字のごとく『脂肪の重さを除いた体重』のことです。
筋肉・骨・皮膚・脳・内臓・血液などの水分の重さを表しています。
内臓や脳の重さは大きくは変わらないため、
筋量は、『除脂肪体重÷2』でわりだせます。
野球に必要な筋肉
次に、筋力の質(どの筋肉が必要なのか)についてです。
野球に必要な筋肉ってなに?
まずは、野球に必要な筋肉をざっくり考えてみます。
バッターであれば、バットを振る動作のため、上肢や体幹は当然のこと、上半身を支える下肢の筋肉も必要になることは予想がつきます。
では、その中でも、どの筋肉がバッティング動作に必要なのでしょうか?
表より、ロングバッティングとベンチプレス・レッグカールに相関があることがわかります。
前鋸筋とハムストリングス
ベンチプレスでは、大胸筋・三角筋・上腕三頭筋・前鋸筋を使います。
レッグカールでは、ハムストリングスを使います。
これらの筋肉の中でも、前鋸筋とハムストリングスは特に重要になってきます。
前鋸筋は、肩甲骨と体幹を連結し、両者の安定に関わっています。
前鋸筋は腹斜筋と連結し、体幹の安定を強化する作用もあります。
そのため、スイング動作には欠かせない筋肉になります。
ハムストリングスは、股関節と膝関節の運動に関わっています。
スイング動作は、上行性(下肢→体幹→上肢)に力を伝える運動特性のため、土台となる下肢の安定性に重要な筋肉になります。
腸腰筋と筋連結し、体幹の安定を強化する作用もあります。
『野球に必要な筋肉 上半身・下半身』について復習したい方はコチラ
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『前鋸筋の起始・停止』などについて復習したい方はコチラ
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『ハムストリングスの起始・停止』などについて復習したい方はコチラ
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まとめ
- 野球の競技特性として、『短時間での高強度の筋力を発揮する動作』がある
- 筋量は最低でも体脂肪率16%が必要
- さらに筋量を増やしていく時は、動作やパフォーマンスが改善するかを見極めて判断する方がよい
- スイング動作には、前鋸筋やハムストリングスを鍛えることが必要
参考文献
健常者における筋力と筋量の関係 (理学療法基礎系38 855 高芝潤、川野紗央里)
筋力が遠投およびロングバッティングに及ぼす影響 (神戸医療福祉大学紀要 第15巻 第1号 2014 韓一栄)