投手の体力トレーニング 高強度・短時間の間欠的運動
高強度・短時間の間欠的運動
投手の全身持久力はそれほど求められていない
- 運動に対する身体の反応を手軽にみられるのは心拍数である
- 野球の投球時の心拍数が報告されたのは1969年である
- 大学1年生の投手の試合中の心拍数である
大学1年生投手の試合中における心拍数
(画像引用:科学する野球 ピッチング&フィールディング)
- 画像の横軸には時刻とイニングが記されている
- 灰色の部分が投球中、白い部分がベンチに戻った時の心拍数である
- 投球中には170~190拍/分くらいの強い運動になっているのがわかる
- しかし、イニングが進むにつれて投球中の心拍数が増えていくわけではない
- つまり、イニングを重ねても投球は血液循環への負担を増やし続けるものではないということである
- その結果から、投球にはそれほど全身持久力は求められないと考えられる
- そこで、プロ野球投手7人について測定用の自転車を使って全身持久力の指標である最大酸素摂取量(体に取り込める酸素の最大量)を測定した調査がある
- 結果は、平均3.68ℓ/分、体重あたりにすると44.9mℓ/㎏/分だった
- 一般の20歳代男性をトレッドミルで測ると、およそ40~45mℓ/㎏/分である
- 投手や野手を含めても野球選手の全身持久力は一般人と同じかやや優れている程度である
厳しい全身持久力トレーニングを筋力トレーニングと併用すると、筋力は頭打ちになる
- 厳しい全身持久力トレーニングと筋力トレーニングを併用すると、筋力が頭打ちになる
- 画像は、レジスタンストレーニング(5日/週、30~40分/日)と、持久的な自転車ペダリングあるいはランニングによるトレーニング(5日/週、30~40分/日)を、同じ日の中で10週間実施した際の最大筋力の変化を示したものである
レジスタンストレーニング、レジスタンストレーニング+有酸素性トレーニングの複合形式、有酸素性トレーニングの3形式によりトレーニングが筋力におよぼす影響
(画像引用:科学する野球 ピッチング&フィールディング)
- 横軸にトレーニングの期間がとってあり、縦軸には最大筋力がとってある
- レジスタンストレーニングだけの場合には最大筋力は向上を続けた
- 有酸素性トレーニングだけの場合には最大筋力は向上していない
- 両者を併用すると、筋力は頭打ちになって、その後低下している
- しかし、ここでの有酸素性トレーニング(低い強度で比較的長い時間の運動)を、高い強度で短時間の間欠的運動に変えると、レジスタンストレーニングと併用しても筋力への効果は損なわれることはないという
トレーニング後は炭水化物といっしょにタンパク質を早めに摂る
- トレーニングには、十分な酢市民を含めた休養とバランスのとれた三度の食事は欠かせない
- スポーツ選手のタンパク質摂取量の上限は、1日に体重1㎏あたり2gである
- 1.7g以上は必要ない、あるいは1.4g摂って筋力トレーニングすれば筋肉は増えて筋力も強くなる、といった報告もある
- 筋肉を増やそうとしてサプリメントを取らせたりする指導者もいるが、タンパク質を摂る量にはあまり過敏になる必要はなさそうである
- トレーニング後、炭水化物といっしょにタンパク質を早めに摂ると、からだづくりに利用されやすいと考えられている
- 摂った炭水化物によって分泌されたインスリンが、タンパク質の合成を促進し、分解を抑制するためである
- 早めに摂るのは筋肉へ血液が多く流れているので、材料となるアミノ酸を多く送り込めるし、インスリンに対する筋肉の感受性が高まっているためという
- 摂るタイミングはトレーニング前でもトレーニング中でも良いと言われているが、回復時間が必要と考えられるので、トレーニング後が合理的ではないかという
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参考文献
科学する野球 ピッチング&フィールディング (ベースボールマガジン 2016年10月25日 平野裕一)