野球選手の体格 除脂肪体重・筋肉量・体脂肪率

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野球選手のからだつきの特徴

大きなパワーを発揮するために筋肉量を多くする

プロ野球選手と一般人の体格の違い
  • 1990年頃のデータでは、日本のプロ野球選手の身長は180㎝、体重は80㎏くらいだった

 

  • 一方、一般の男子大学生は170㎝、60㎏くらいだった

 

  • 野手に比べると投手のほうが少し大きかったが、この傾向は今でも同じだろう

 

  • 脂肪の重さを引いた体重を除脂肪体重という

 

  • そこには骨や内臓の重さも含まれているが、この体重は筋肉の量を示す指標、身体の活動度を示す指標といわれている

 

  • これを身長との関係でみると、一般の男子大学生の平均的な関係、つまり斜線を引いた関係よりもプロ野球選手の点は上のほうにある

 

 

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身長に対する除脂肪体重

(画像引用:科学する野球 ピッチング&フィールディング) 

 

 

プロ野球選手の筋肉量
  • 身長が高ければ除脂肪体重も重い傾向にあるので、プロ野球選手の場合、身長1mあたり40㎏の除脂肪体重を目標にしていた

 

  • ちなみに、1996年アトランタオリンピック全日本候補選手は、身長177.8㎝、体重80.1㎏、除脂肪体重70.9㎏が平均と報告されている

 

  • 身長1mあたりの除脂肪体重は39.9㎏であった

 

  • これは、設定したプロ野球選手の目標値に近い

 

  • 投げたり打ったりでは大きな力を発揮する、大きなパワーを発揮するということからすれば筋肉が多いのは当然の結果といえる

 

  • すなわち、筋肉の量を多くした方が野球のプレイにとってはとくと考えたいところである

 

 

環境が変わった時には体重の変化に注意する

  • 野球をする環境が変わった時には除脂肪体重に注意したい

 

  • プロ野球に入団後3年間の体重と除脂肪体重の推移を調査した報告がある

 

  • それによると、1年目のシーズン中には体重も除脂肪体重も5%程減っていた

 

  • 1年目のシーズンオフになるとウエイトトレーニングなどによってそれを取り戻し、2シーズン目になるとシーズン中でも除脂肪体重を増やしていた

 

  • 入団までの学校生活や会社生活と違って、プロでの生活はほとんど野球になる

 

  • 練習の質も量も増えたおかげでこうした現象が生じたと考えられた

 

  • プロ野球に限らず、中学から高校、高校から大学と野球をする環境が変わった時には体重、できれば除脂肪体重の変化に注意したい

 

  • 体重、除脂肪体重が減ってきたら、練習時間を減らしてバランスのとれた食事を3食、そして休養を十分に摂るように指導すべきである

 

 

野球選手の脂肪率は一般人とは変わらない

  • 体脂肪率は、プロ野球選手も一般の男子大学生も体重の13%ぐらいで差がなかった

 

  • 一般人と比べると、プロ野球選手では食事でたくさんのエネルギーを摂取して、野球でたくさんのエネルギーを消費する、出入りが多いタイプだろう

 

  • さらに、プロ野球選手はベテランになると、食事の量は減るが質が高くなり、野球のプレイでも量より質を求めるようになるので、体脂肪率は増える傾向になる

 

  • 一方、県でベスト8に入る高校野球選手の体脂肪率は平均12.5%であった

 

 

筋肉の太さは野球の練習内容に応じる

  • プロ野球選手の腕や脚の長さ、太さを調査した報告がある

 

  • 身長に対する上腕、前腕、大腿、そして下腿の長さを一般の男子大学生と比べてみると、プロ野球選手は下腿がやや長い、という程度だった

 

  • 投手ではなで肩で腕が長いほうが有利といわれ、そのような体系の投手が多いように思うけれども、実際には様々なタイプの投手がいるので平均すると一般の男子大学生とそれ程変わらない相対的な長さだった

 

  • 太さ部分の長さ当たりの太さ(周径位/長さ)で比べると、下腿以外は一般の大学生よりもプロ野球選手は太く、さらに投手よりも野手は上腕・前腕・大腿が太かった

 

  • 野球選手は上腕と大腿は太く、特徴的なのは前腕が太いことであった

 

  • 腕や脚の太さそのものには骨の太さや脂肪の厚さも含まれるので、それらを除いた筋肉の太さを調査した報告がある

 

 

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各肢全体に占める組織断面積比率

(画像引用:科学する野球 ピッチング&フィールディング) 

 

 

  • この画像では、プロ野球選手と一般男子大学生の身体の大きさの違いからくる筋肉の太さの違いをなくすために相対値(%)でみている

 

  • すなわち、前腕なら前腕の太さを100%として、手首を伸ばす筋肉の太さがその中の何%を占めるかといった表し方である

 

  • こうしてみると、一般男子大学生に比べて、前腕の屈筋と大腿の屈筋がプロ野球選手ではよく発達していた

 

  • 前腕の屈筋はバットをスイングすること、大腿の屈筋はダッシュすること、それぞれによって特異的に発達していると考えられた

 

 

日本では身体の大きな選手が野球に集まっている

  • 国立スポーツ科学センターでまとめている「形態・体力測定データ集2010」によると、野球の全日本候補選手の体幹の筋肉の太さは、81種目中、21番目である

 

  • ウエイトリフティング重量級や柔道重量級の選手がいることを思えばかなりの高順位であるが、野球ならではの特徴と言い切ることはできない

 

  • 日本では身体の大きな選手が野球に集まっているとも言えるからである

 

 

 

 

 

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参考文献

科学する野球 ピッチング&フィールディング (ベースボールマガジン 2016年10月25日 平野裕一)