肘下がり 定義と原因・改善方法
肘下がりとは?
肘下がりとは、字のごとく投げる時に肘が下がってしまうことを言います。
どこの位置に対して肘が下がっているのでしょうか?
SSE(Shoulder - Shoulder - Elbow)ライン=両肩と肘を結んだラインに対して、肘が下がってしまいます。
画像引用:「肘を上げろ」とは?菅野智之のフォームから学ぶ、肘の高さの2つの基準 | VICTORY
では、肘が下がると何が良くないのでしょうか?
肘が上がる(SSEラインが揃う)ことによる2つのメリット
1.強い球が投げられるようになる、球速が上がる
ひとつ目のメリットとして、強い球が投げられるようになる、球速が上がることが考えられます。
その理由として、ピッチングは全身を使った回転運動であることがポイントになります。
脚を踏み出し、横移動するエネルギーを股関節から体幹へ回転するエネルギーに変換し、そのエネルギーをいかにボールに伝えられるかが重要になります。
体幹の回転エネルギーをボールに伝える時、上肢の真ん中にある肘が曲がってしまうとエネルギーが効率よく伝達されなくなってしまいますよね。
SSEラインが揃うことで、エネルギーをしっかりとボールに伝達することができ、力強い球や速い球を投げられるようになります。
2.怪我の予防になる
ふたつ目のメリットとして、怪我の予防につながります。
SSEラインが揃うことで、肩関節はゼロポジションになります。
(※ゼロポジションの詳細については別の機会に解説していきます。)
ゼロポジションになると、肩関節のインナーマッスルを偏りなく均等に使うことができます。
それにより、局所の筋肉に負担をかけすぎないことで怪我のリスクを減らすことができます。
プロ野球選手の肘の位置
画像引用:菅野智之 - Wikipedia
画像引用:“黄金ルーキー”奥川恭伸がシーズン最終戦で一軍デビュー。2回5失点9安打とプロの洗礼を浴びる | THE DIGEST
画像引用:<ロ・西>初回、マウンドに上がった佐々木朗 ― スポニチ Sponichi Annex 野球
一流選手はSSEラインの形がとても綺麗ですね!
それでいて、上肢の力感がまったくなく、全身を使って投げている感じがわかります!
少し話が脱線しますが、SSEラインが揃うことはもちろん、その角度は選手によって違いがあると思います。
角度が大きくなり、より高い位置でリリースできることで球速が上がる可能性が考えられます。
位置エネルギーが高いほうが、ボールに伝達できるエネルギーも高くなりますからね。
肘下がりの原因
1.コッキングからトップポジションの動きで腕を下げ過ぎている
アーリーコッキングからレイトコッキングで腕を下げ過ぎてしまうとトップポジションで肘が下がってしまいます。
野球をやり始めた選手やまだ筋肉がしっかりしていない小学校低学年に多い印象です。
コッキングでの腕の軌道を確認しながら修正していくことで治る場合もあると思います。
野球をやり始めたタイミングで肘下がりを治しておかないと、その癖が染みついてしまい、修正するのが大変になるため早めに対処しましょう。
2.胸を張る動きが少ない
トップポジションで胸を張れていないと肘が下がりやすくなります!
動画のトップポジションをみるとわかりますが、全員の選手が胸が張れています!
胸が張れるているということは、専門的にみると胸椎が伸展しています。
胸椎が伸展していると、僧帽筋など背筋群に力が入っていることになります。
僧帽筋など背筋群に力が入ると、肩甲骨は上方回旋しやすくなります。
それにより、肘は自然と高い位置になります!
3.股関節や体幹の回転の動きが使えていない
股関節と体幹の回転の動きが使えていないと肘が下がります!
ピッチングの原理は、並進運動を回転運動に転換する動作です。
回転する身体の部位は、股関節・体幹・肩関節があります!
この3つの回転部分がどのような割合で回転しているかによります。
100㎞/hのボールを投げる選手でも、体幹の回転の割合が大きいのか、肩の回転の割合が大きいのかは選手にって異なります。
もし、股関節・体幹の回転が少ない場合、肩関節の回転を優位に使うようになります。
肩関節の回転は、専門的にいうと内旋運動になります。
内旋運動を強調したい場合、肘を軽く曲げて下げます。
そうすると、肘を支点にして肩内旋運動が容易にできるようになるからです。
ある程度の球速であれば、肩の内旋運動で対応できますが、さらに速い球速を目指す場合、内旋運動だけでは限界があります。
肩の筋肉は体幹・股関節の筋肉と比べると小さく、パワーが弱いです。
体幹・股関節のパワーの強い筋肉を使った方が球速は上がります。
※筋肉のパワーや体積ランキングについて復習したい方はコチラ⇩
回転のイメージとして、でんでん太鼓を思い浮かべてください。
柄(体幹)が回ると、ひも(腕)が勝手に回ります!
柄(背骨)の回転がゆっくりだと、遠心力が少なく、ひも(腕)の位置が低くなります。
肘下がりの改善方法
1.ブリッジ(胸椎伸展)
2.体幹回旋 (腕は脱力して)
3.スローイング練習