筋力トレーニングの基礎知識① 筋断面積 筋断面積と筋力の関係・筋肉の体積・
筋力を決定する要素
筋力を決める要素には以下の6つがあります。
- 筋断面積
- 神経系の要因
- 筋繊維の組成
- 筋繊維の解剖学的な要因
- 関節の角度
- 心理的な要因
今回は、「1.筋断面積」 について解説していきます。
筋断面積と筋力の関係
筋断面積と筋力は高い相関を示す研究が数多くあります。
引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/sobim/12/3/12_KJ00000971268/_pdf#page=1
すなわち、大きい筋肉ほど筋力も強いということですね。
それでは、筋肉が大きくなる仕組みはどのようになっているのでしょうか?
大きい筋肉とは
筋肉の大きさは筋原線維数 × 筋繊維断面積で表すことができます。
繊維の数が多く、繊維1本当たりの面積が大きければ、大きい筋肉ということですね。
引用:https://changebodycomposition.blogspot.com/2019/09/blog-post.html
トレーニングにより、筋原線維は最大で直径1.1μmまで太くなります。
引用:
https://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/contents/osakacu/kiyo/DB00011372.pdf#page=1
そして、ある一定の太さを超えると繊維は分裂して、数が増えると考えられています!
引用:
https://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/contents/osakacu/kiyo/DB00011372.pdf#page=1
分裂の機序として、アクチンフィラメントがZ膜に対して、90度の角度で、斜め方向に強い張力が加わることでZ膜を引き裂き、分裂を起こすとされています。
そのため、ずっと同じ負荷でのトレーニングでは、筋力はそれ以上強くなる可能性が低くなります。
強い負荷をかけていくことが筋肉を大きくしていくポイントになります。
また、大きな筋肉にターゲットを絞ることで、さらなる筋力アップにつなげることができますね。
では、からだの中で1番大きな筋肉はどれかわかりますか?
大きい筋肉ランキング
1位 大腿四頭筋 1900㎤
2位 下腿三頭筋 900㎤
3位 ハムストリングス 880㎤
4位 大殿筋 860㎤
5位 三角筋 800㎤
6位 大胸筋 680㎤
7位 上腕三頭筋 620㎤
8位 広背筋 550㎤
9位 僧帽筋 460㎤
10位 上腕二頭筋 370㎤
11位 腹直筋 170㎤
下肢の役割は体重を支えることなので、体積が多くなるのも納得ですね。
逆に、上肢の役割は物を操作するなど繊細に動くことなので、下肢と比べて体積が大きい必要はありません。
個人的に意外なのは下腿三頭筋の体積がハムストリングスや大殿筋よりも大きいこと。
見た目はお尻の筋肉の方が大きく見えますが…また、三角筋や上腕三頭筋の体積が、背中の筋肉より大きいこと。
ここで大事なことは、体積に見合った筋力がしっかり出せているかどうか。
体積と筋力のバランスが崩れていると、それが姿勢の崩れや動作のアンバランスにつながり、結果としてパフォーマンスの低下や痛みの原因になる可能性があります。
まとめ
・筋断面積と筋力は高い相関があり、大きい筋肉ほど筋力が強い
・筋肉に強い負荷を加えることで筋原線維が太くなり、分裂を引き起こし、
筋肉が大きくなる
・からだの中で1番大きな筋肉は大腿四頭筋
参考文献
筋力トレーニングの基礎知識 -筋力に影響する要因と筋力増加のメカニズム- (京都大学医療技術短期大学部紀要別冊 健康人間学 第9号 市橋則明)
筋力トレーイングについて (運動生理 1994 9:131-138 幸田利敬)
トレーニングと筋の肥大を考えよう (体育学研究室 松永智)