筋力トレーニングの基礎知識 関節の角度

      f:id:sakuraiku:20200713084244j:plain

 『筋トレをしているんだけど、なかなか筋力がついてこない…』

『ある程度の筋肉はついてきたけど、そこから先が筋力が強くならない…』

ってことありませんか?

そこで、今回は筋力をつけるためのヒントを紹介していきます!

筋力を決定する要素

筋力を決定する要素には以下の6つがあります。

  1. 筋断面積
  2. 神経系の要因
  3. 筋繊維の組成
  4. 筋繊維の解剖学的な要因
  5. 関節の角度
  6. 心理的な要因

今回は、『5.関節の角度』について解説していきます。

 

筋力と関節の角度の関係

今までは、筋肉や神経系など解剖学的な面から筋力を解説してきました。今回は、関節など運動学的な面にも目を向けていきます。例えば…

股関節が屈曲する時、作用する筋肉は、腸腰筋・大腿直筋・縫工筋・大腿筋膜張筋・内転筋群・中殿筋前部があります。また、屈曲筋が働く可動域は110°(屈曲90°~伸展20°の合計)あります。それぞれの筋は、どの角度でどれくらい筋力を発揮するかわかりますか? 

関節角度が変化することで、筋の作用線と関節中心の位置関係も変化しモーメントアームが変化していきます。それにより、筋の作用が変化し、極端な場合は作用が逆転する場合もあります。例えば…

内転筋群は伸展位では屈曲トルクを発揮しますが、屈曲位では伸展トルクを発揮します。また、関節角度の変化により、筋繊維長も変化することで、筋力も変化します。筋繊維長は至適筋長に近いほど1番強い力を発揮します。逆に、筋長が短すぎる、もしくは、長すぎると筋力が弱くなります。

  f:id:sakuraiku:20200713090319p:plain

引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf/-char/ja#page=3

 

股関節屈曲筋と発揮トルク

主動作筋腸腰筋       補助筋大腿直筋

                   縫工筋

                   大腿筋膜張筋

                   内転筋群

  f:id:sakuraiku:20200713090630p:plain

引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf/-char/ja#page=4

腸腰筋は、全可動域で1番強い屈曲トルクを発揮していています。大腿直筋は、屈曲約20°でピークに達しその前後の可動域では弱くなります。

 

股関節伸展筋と発揮トルク

主動作筋大殿筋        補助筋ハムストリングス

                    大内転筋

                    中殿筋

  f:id:sakuraiku:20200713091119p:plain

引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf/-char/ja#page=4

 伸展位では、大殿筋下部1番強い筋力を発揮しています。ハムストリングス(特に内側)は、屈曲位で強い筋力を発揮しています。さらに、屈曲角度が大きくなるほど筋力も強くなります。

 

股関節内転筋と発揮トルク

主動作筋大内転筋        補助筋恥骨筋

     短内転筋            薄筋

     長内転筋            外閉鎖筋

                       大殿筋

  f:id:sakuraiku:20200713091832p:plain

引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf/-char/ja#page=4

 長内転筋は、伸展位・屈曲位ともに屈曲トルクを発揮しています。大内転筋後部は、屈曲位では1番強い伸展トルクを、伸展位でも1番強い屈曲トルクを発揮し、相反する作用を持ち合わせています。その他の内転筋群は、同じような傾向になっています。

 

股関節外転筋と発揮トルク 

主動作筋中殿筋         補助筋小殿筋

                     大腿筋膜張筋

                     縫工筋

  f:id:sakuraiku:20200713092847p:plain

引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf/-char/ja#page=5

 中殿筋後部は、屈曲・伸展可動域ともに唯一伸展トルクを発揮しています。他の筋は、同じような程度で屈曲トルクを発揮していますが、大腿筋膜張筋屈曲約35°で1番強くなっています。

 

全屈曲トルクと全伸展トルク

屈曲、伸展、内転、外転筋それぞれの屈曲・伸展トルクを合わせたものが下の図になります。

  f:id:sakuraiku:20200713093317p:plain

引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf/-char/ja#page=5

屈曲トルク約20°前後で最大の力を発揮しています。伸展トルク屈曲角度が強くなればなるほど力が強くなっています。

 

まとめ

関節角度が変化することで、筋の作用線と関節中心の位置関係も変化し、モーメント

 アームが変化する

筋繊維は至適筋長に近いほど、1番強い力を発揮する

屈曲トルクは、約20°前後で最大の力を発揮している

伸展トルクは、屈曲角度が強くなればなるほど力が強くなる

 

参考文献

筋力トレーニングの基礎知識 -筋力に影響する要因と筋力増加のメカニズム-

(京都大学医療技術短期大学部紀要別冊 県人間学 第9号 市橋則明) 

筋力トレーニングについて

(運動生理 1994 9:131‐138 幸田利敬) 

関節角度の違いによる股関節周囲筋の発揮筋力の変化 -数学的モデルを用いた解析-

(理学療法学 第38巻第2号 97~104項 2011年 小栢進也ら)