筋力トレーニングの基礎知識⑤ 関節の角度 筋力と関節角度の関係

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 『筋トレをしているんだけど、なかなか筋力がついてこない…』

 

『ある程度の筋肉はついてきたけど、そこから先が筋力が強くならない…』

 

ってことありませんか?

 

そこで、今回は筋力をつけるためのヒントを紹介していきます!

 

 

 

 

 

 

 

 

筋力を決定する要素

 

筋力を決定する要素には以下の6つがあります。

 

  1. 筋断面積
  2. 神経系の要因
  3. 筋繊維の組成
  4. 筋繊維の解剖学的な要因
  5. 関節の角度
  6. 心理的な要因

 

今回は、『5.関節の角度』について解説していきます。

 

 

 

筋力と関節の角度の関係

 

今までは、筋肉や神経系など解剖学的な面から筋力を解説してきました。

 

今回は、関節など運動学的な面にも目を向けていきます。

 

例えば…

 

股関節が屈曲する時、作用する筋肉は、腸腰筋・大腿直筋・縫工筋・大腿筋膜張筋・内転筋群・中殿筋前部があります。

 

また、屈曲筋が働く可動域は110°(屈曲90°~伸展20°の合計)あります。

 

それぞれの筋は、どの角度でどれくらい筋力を発揮するかわかりますか? 

 

 

関節角度が変化することで、筋の作用線と関節中心の位置関係も変化しモーメントアームが変化していきます。

 

それにより、筋の作用が変化し、極端な場合は作用が逆転する場合もあります。

 

例えば…

 

 

内転筋群は伸展位では屈曲トルクを発揮しますが屈曲位では伸展トルクを発揮します。

 

また、関節角度の変化により、筋繊維長も変化することで、筋力も変化します。

 

筋繊維長は至適筋長に近いほど1番強い力を発揮します。

 

逆に、筋長が短すぎる、もしくは、長すぎると筋力が弱くなります。

 

 

 

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引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf/-char/ja#page=3

 

 

 

 

股関節屈曲筋と発揮トルク

 

主動作筋腸腰筋       補助筋大腿直筋

                   縫工筋

                   大腿筋膜張筋

                   内転筋群

 

 

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引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf/-char/ja#page=4

 

 

腸腰筋は、全可動域で1番強い屈曲トルクを発揮していています。

 

大腿直筋は、屈曲約20°でピークに達しその前後の可動域では弱くなります。

 

 

 

股関節伸展筋と発揮トルク

 

主動作筋大殿筋        補助筋ハムストリングス

                    大内転筋

                    中殿筋

 

 

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引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf/-char/ja#page=4

 

 

伸展位では、大殿筋下部1番強い筋力を発揮しています。

 

ハムストリングス(特に内側)は、屈曲位で強い筋力を発揮しています。

 

さらに、屈曲角度が大きくなるほど筋力も強くなります。

 

 

 

股関節内転筋と発揮トルク

 

主動作筋大内転筋        補助筋恥骨筋

     短内転筋            薄筋

     長内転筋            外閉鎖筋

                       大殿筋

 

 

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引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf/-char/ja#page=4

 

 

長内転筋は、伸展位・屈曲位ともに屈曲トルクを発揮しています。

 

大内転筋後部は、屈曲位では1番強い伸展トルクを、伸展位でも1番強い屈曲トルクを発揮し、相反する作用を持ち合わせています。

 

その他の内転筋群は、同じような傾向になっています。

 

 

 

股関節外転筋と発揮トルク 

 

主動作筋中殿筋         補助筋小殿筋

                     大腿筋膜張筋

                     縫工筋

 

 

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引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf/-char/ja#page=5

 

 

中殿筋後部は、屈曲・伸展可動域ともに唯一伸展トルクを発揮しています。

 

他の筋は、同じような程度で屈曲トルクを発揮していますが、大腿筋膜張筋屈曲約35°で1番強くなっています。

 

 

 

全屈曲トルクと全伸展トルク

 

屈曲、伸展、内転、外転筋それぞれの屈曲・伸展トルクを合わせたものが下の図になります。

 

 

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引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf/-char/ja#page=5

 

 

屈曲トルク約20°前後で最大の力を発揮しています。

 

伸展トルク屈曲角度が強くなればなるほど力が強くなっています。

 

 

 

まとめ

 

関節角度が変化することで、筋の作用線と関節中心の位置関係も変化し、モーメント

 アームが変化する

 

筋繊維は至適筋長に近いほど、1番強い力を発揮する

 

屈曲トルクは、約20°前後で最大の力を発揮している

 

伸展トルクは、屈曲角度が強くなればなるほど力が強くなる

 

 

 

参考文献

筋力トレーニングの基礎知識 -筋力に影響する要因と筋力増加のメカニズム-

(京都大学医療技術短期大学部紀要別冊 県人間学 第9号 市橋則明) 

 

筋力トレーニングについて

(運動生理 1994 9:131‐138 幸田利敬) 

 

関節角度の違いによる股関節周囲筋の発揮筋力の変化 -数学的モデルを用いた解析-

(理学療法学 第38巻第2号 97~104項 2011年 小栢進也ら)