外側広筋

野球選手のための解剖学シリーズ！

今回は、『外側広筋』について共有していきます。

起始・停止・神経支配

起始

• 外側広筋　　　　：大腿骨粗線外側唇
• 外側広筋斜走線維：腸脛靭帯の裏面

停止

• 外側広筋　　　　：共同腱へ移行後、膝蓋骨を介して脛骨粗面
• 外側広筋斜走線維：膝蓋骨外側縁および外側膝蓋支帯

神経支配

• 大腿神経(L3～4)

特徴

• 外側広筋は共同腱の内側に連続する外側広筋と、膝蓋骨内側ならびに外側膝蓋支帯に連続する外側広筋斜走線維に分けられる
• 外側広筋の筋繊維角は遠位へ向かうほど鈍角となる
• 外側広筋は大腿四頭筋の中で最も大きく、また、多くの範囲を腸脛靭帯により覆われている

作用

筋機能の特徴

• 膝関節の伸展に作用する
• 下腿の外旋、外転に作用する
• knee-out toe-inのアライメントにおける膝関節の安定化には外側広筋が中心的な役割を果たす
• 外側広筋の遠位部では膝関節の伸展作用とともに、膝蓋骨への外方牽引作用が大きくなる
• 外側膝蓋支帯の緊張は内側広筋斜走線維の活動性に大きく依存する

筋連結

頭皮筋膜　↔　胸鎖乳突筋　↔　胸骨筋　↔　腹直筋　↔　大腿四頭筋　↔　前脛骨筋・長趾伸筋・短趾伸筋 

野球との接点

膝蓋骨不安定症

• 膝蓋骨不安定症に伴う膝前面痛のケースでは外側広筋や外側膝蓋支帯の柔軟性の低下が症状の原因である場合も多い

膝関節拘縮

• 外側広筋の拘縮は膝関節屈曲に伴う下腿内旋を妨げ、可動域制限の原因になる

オスグット・シュラッター病

• 膝関節伸展機構に関わる疾患の多くに、大腿直筋に加え外側広筋のタイトネスが合併している例は非常に多い

有痛性分裂膝蓋骨

• 有痛性分裂膝蓋骨は外側広筋が付着する部分の分裂が大部分であり、この部位における過剰牽引が疼痛発生に大きく関与している
• 外側広筋のストレッチングは重要な運動療法となるが、分裂部に影響している部分は腸脛靭帯により起始する外側広筋であることに注意が必要である

解剖学を学んでおいた方がよい理由