良い姿勢とは? 姿勢と動作の関係・前額面・矢状面・代表的な異常姿勢・後弯前弯型・後弯平坦型・平背型

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『よく猫背になっているといわれる…』

 

『自分の姿勢は良い姿勢なのかわからない…』

 

今回は、そんな疑問を解決できるように正しい姿勢に関する知識を共有していきます!

 

 

 

 

 

 

 

 

姿勢と動作の関係

一流のスポーツ選手で姿勢の悪い選手は滅多にいないと思います。

 

すなわち、良い姿勢こそ、良いパフォーマンスに直結するということですね。

 

ピッチングやバッティングなどの動作の前段階である立ち姿勢によって筋力の発揮、関節の柔軟性、身体で感じる感覚などが左右されます。

 

動作が上手くいかない場合、立ち姿勢や競技動作の構えの姿勢をチェックしてみるのもいいと思います。

 

また、自分の姿勢の特徴を把握することもおススメします。

 

姿勢の特徴により、動きやすい筋肉、固くなりやすい筋肉などに分かれてきます。

 

それらの特徴や偏りにより、動作にも似た特徴が出てくることが多々あります。

 

その特徴を伸ばして自分の長所や個性にするのも一つの方法です。

 

逆に、偏りを矯正し、きれいな姿勢で滑らかな動きを獲得するのもありだと思います。

そのために、良い姿勢とは何なのかを理解する必要があります。

 

良い姿勢と自分の姿勢を比べ、自分の身体の気付きを増やす参考にしてもらえればと思います。

 

 

 

良い立位姿勢とは

よくいわれる良い姿勢とは、背筋を伸ばして、顎を引いて…などの表現がよく使われると思います。

 

では、具体的には何がどうなっているのが良い姿勢なのでしょうか。

 

 

前額面の正常な立位姿勢

前額面(人の体を前からみること)における正常な立位姿勢における重心線

  • 後頭隆起ー椎骨棘突起ー殿烈ー両膝関節内側の中心ー両内果間の中心を通る

 

 

矢状面の正常な立位姿勢

矢状面(人の体を横からみること)における正常な立位姿勢における重心線

  • 耳垂ー肩峰ー大転子ー膝蓋骨後面ー外果2~3㎝前方を通る

 

 

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 矢状面の各部のアライメント

  • 頸椎前弯は約30~35°
  • 胸椎後湾は約40°
  • 腰椎前弯は約45°
  • 仙骨底は第5腰椎に対して約40°前下方に傾斜
  • 肩甲骨は前額面から前方に約35°傾斜

 

 

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https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/27/2/27_119/_pdf

 

 

 

姿勢を自分で確認する方法

角度を自分で測ることは難しいため、壁を使って簡単に確認する方法を紹介します。

 

壁に背中と踵をとつけて自然に立ちます。

 

壁と身体がついている部分を確認します。

 

後頭部・背中・臀部・踵のみがついていれば理想的といえます。

 

頚部・腰部には手掌約1~2枚分の隙間があるとなおいいですね。

 

 

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 前額面の各部のアライメント

  • 頚、胸、腰椎が垂直
  • 肩甲棘内側は第3胸椎棘突起と平行
  • 肩甲骨下角は第7胸椎棘突起と平行
  • 肩甲棘から下角までの肩甲骨内側縁は左右平行
  • 角内側縁と胸椎棘突起の距離は約7㎝(成人男性において)
  • 腸骨稜の頂点を結んだ線は第4腰椎棘突起と平行

 

 

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前額面における代表的な異常姿勢

右利き(日本人の約89%といわれている)に多いパターンになります

 

 

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https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/27/2/27_119/_pdf

 

 

 

姿勢の特徴

姿勢の特徴

  • 右肩下制
  • 胸腰椎左凸
  • 右骨盤挙上
  • 右股関節内転・内旋位
  • 左股関節外転位

短縮あるいは優勢筋

  1. 右外側体幹筋
  2. 左股関節外転筋
  3. 右股関節内転筋
  4. 左腓骨筋
  5. 右後脛骨筋
  6. 右長母指屈筋
  7. 右長趾屈筋
  8. 左腸脛靭帯

延長あるいは弱化筋

  1. 左外側体幹筋
  2. 右股関節外転筋
  3. 左股関節内転筋
  4. 右腓骨筋
  5. 左後脛骨筋
  6. 左長母指屈筋
  7. 左長趾屈筋

 

 

以上のアンバランスによる怪我のリスクとして、以下のものがある。

  • 左膝蓋骨軟化症(立脚後期での膝関節過伸展による)
  • 左大腿骨頭上外側面の退行性変化
  • 左膝関節外側の退行性変化
  • 右大腿骨頭内側あるいは中央面の退行性変化
  • 右腸脛靭帯炎
  • 右梨状筋と座骨との間でインピンジメント
  • 右膝内側関節面の退行性変化
  • 右足関節内反捻挫

 

 

 

矢状面における代表的な異常姿勢

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https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/27/2/27_119/_pdf

 

 

後湾前弯型

姿勢の特徴

  • 頭部前方位
  • 頚椎過伸展
  • 肩甲骨外転
  • 胸椎後弯と腰椎前弯の増強
  • 骨盤前傾
  • 股関節屈曲
  • 膝関節軽度伸展
  • 足関節わずかに底屈

短縮あるいは優勢筋        

  1. 頚部伸筋群           
  2. 腰部脊柱起立筋群        
  3. 腸腰筋
  4. 大腿筋膜張筋
  5. 大腿直筋
  6. 前鋸筋
  7. 大・小胸筋
  8. 僧帽筋上部線維
  9. 肩甲挙筋

延長あるいは弱化筋

  1. 頚部屈筋群
  2. 上部脊柱起立筋群
  3. 外腹斜筋
  4. ハムストリングス
  5. 僧帽筋中・下部線維
  6. 菱形筋
  7. 前鋸筋(※翼状肩甲の場合)

 

 

前弯型

姿勢の特徴

  • 骨盤前傾
  • 腰椎前弯増強
  • 膝関節軽度伸展
  • 足関節軽度底屈

短縮あるいは優勢筋        

  1. 腰部脊柱起立筋群        
  2. 股関節屈筋群   

 延長あるいは弱化筋

  1. 前腹部筋群
  2. ハムストリングス

 

 

後弯平坦型

姿勢の特徴

  • 頭部前方位
  • 頚椎過伸展
  • 上部体幹の後方変位を伴う長い胸椎後弯
  • 腰椎平坦
  • 骨盤中間位~後傾
  • 骨盤前方変位を伴う股関節過伸展
  • 膝関節過伸展
  • 足関節中間位

短縮あるいは優勢筋        

  1. ハムストリングス
  2. 内腹斜筋上部線維 
  3. 腰部筋群                 

延長あるいは弱化筋

  1. 股関節屈筋群(1関節筋)
  2. 外腹斜筋
  3. 上背部筋群
  4. 頚部屈筋群

 

 

 

 

姿勢』について復習したい方はコチラ

⇩⇩⇩

sakuraiku.hatenablog.com

sakuraiku.hatenablog.com

 

 

 

カラダが固くなる7つの理由 運動不足・不良姿勢・繰り返しの作業・長時間の練習・怪我・ストレスと生活リズム・暴飲暴食

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『準備運動やストレッチを毎日していたけど怪我をしてしまった…』

 

『ストレッチをした後は柔らかくなるけど、すぐ固さが戻ってしまう…』

 

今回は、 このような疑問を解決できるヒントを共有していきたいと思います!

 

 

 

 

 

 

なぜ体は固くなったり動きにくくなるのか

 

練習前のウォーミングアップ、練習後のクールダウンやストレッチはほとんどのスポーツ選手がしていると思います。

 

また、競技以外では食事や睡眠などの生活面にも工夫をこらしている選手もいると思います。

 

では、ストレッチをした後は柔らかくなるけど、なぜすぐに固さが戻ってしまうのでしょう?

 

まず最初に、なぜ体が固くなるのか考えていきます。

 

体が固くなる、動きにくいなど変化が出るには何かしら理由があります。

 

その理由を考えずに、ボディケアだけに没頭してしまうのは決して効率が良いとは言えません。

 

肩が凝ってるからマッサージしてもらうとその時は楽だけど、明日にはもとに戻っているのと同じことです。

 

マッサージなど対処療法だけでなく、肩が凝る原因を考える必要があります(対処療法を否定しているわけではありませんので悪しからず)。

 

根本と思われる原因にも対処できることで、よりカラダの不調を改善しやすくなります。

 

良い状態をキープしやすくなります。

 

その方が練習などのトレーニングに多くの時間を使うことできます。

 

体が硬くなる原因をいくつか挙げていきます。

 

  1. 運動不足や長時間の同じ姿勢
  2. 不良姿勢
  3. 繰り返しの作業
  4. 長時間の練習
  5. 怪我・手術後
  6. ストレス・生活リズムの乱れ
  7. 暴飲暴食

 

 

1.運動不足や長時間の同じ姿勢

運動不足や長時間の同じ姿勢では、動かさないことで筋肉が固くなります。

 

部活動などでは、テスト期間中に運動不足があると練習再開の時に体が固くなっている実感がありますよね。

 

 

2.不良姿勢

不良姿勢では、固くなりやすい筋肉と柔らかい筋肉があります。

 

例えば腰が曲がっている姿勢では腹筋が短くなって固くなり、背筋が伸ばされて固くなります。 

 

 

3.繰り返しの作業

同じ動作を繰り返すことで固くなりやすい場所に偏りがで出やすくなります。

 

例えば、野球のように右投げ右打ちの選手の場合、体を左に回転させる動作が多くなるため、同じ筋肉を酷使することで固くなる箇所があります。

 

カラダの左右のバランスを保つため、反対方向の素振りを行っている選手もいます。

 

 

4.長時間の練習

長時間の練習では、体の疲労や筋肉の微細損傷により筋肉が固くなります。

 

疲労により筋肉が正しく働かなることで関節や筋肉にダメージが加わります。

 

長時間の練習に耐えうる身体ができていないと怪我のもとになりかねません。

 

 

5.怪我・手術後

怪我・手術後では、筋肉の損傷や手術痕が治癒する過程で固さが残ることが多いです。

 

特に皮膚や皮下脂肪、筋膜の間が癒着することで動きが固くなります。

 

見た目では治っているため、固さが残っていることを自覚できずにプレーをしていると、その固さが原因で違和感が残ったり怪我につながる可能性があります。

 

 

6.ストレス・生活リズムの乱れ

ストレス・生活リズムの乱れでは、胸椎を主に固さがでることが多いです。

 

ストレスや睡眠時間が少ないことは自律神経に影響を及ぼします。

 

交感神経や副交感神経のリズムが崩れることで、胸椎に固さが出ることがあります。

 

 

7.暴飲暴食

暴飲暴食では、胃や腸など腹部の周辺に固さが残ることが多いです。

 

内臓の固さがでれば、その周囲にある筋肉に影響が出ることが予測されます。

 

また、内臓の動きが出にくくなることで呼吸が浅くなり横隔膜の動きも固くなります。

 

 

まずは自分の状態を知ることから始めよう

色々な原因からどの部位が固くなるのか、ザックリと説明させていただきました。

 

今回紹介したこと以外でも、身体に影響を与えることはたくさんあると思います。

 

そのため、まずは自分自身の状態を知ることから始めましょう。

 

 

身体面のチェック

  • どのような立ち姿勢、座り姿勢をとっているか
  • どこが柔らかく、どこが固くなりやすいか
  • どこが疲れやすいか
  • どのような歩き方をしているか
  • 長時間同じ姿勢をとることはあるか

 

 

生活面のチェック

  • 食事の量や内容、早食いしていないか
  • 睡眠時間や質
  • 普段ストレスを感じることがあるか
  • ストレス発散を上手くできているか

 

このようなことを振り返り、もし身体に負担をかけていそうなことがあれば、それは改善するチャンスがあるということです。

 

ご自身のできる範囲で少しずつ見直していくことで、身体の良い変化を感じられるようになると思います。

 

逆に、負担をかけていることがあまりなければ、身体の状態に自信を持って練習を思う存分やるのみです。

 


 

関節可動域制限発生のメカニズム

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関節可動域制限とは?

強直

  • 関節構成体である骨・軟骨・補強靭帯などの変化に基づいておこる運動障害である

 

  • リハビリの手技ではほとんど治療困難なもの

 

 

短縮

  • 皮膚・筋・腱・神経・血管などの変化に基づいておこる運動障害である

 

  • 完全に、またはある程度改善される余地のあるもの

 

 

2種類の結合組織

  • 創傷部が治癒していく過程で、その部の運動が保たれていれば「粗」な結合組織ができてくる

 

  • 運動が制限されると、「密」な結合組織が繁殖し、その部の運動性は著しく妨げられ、拘縮が発生する

 

 

  • 関節包・筋内結合組織層・皮下組織など

 

  • いずれも常に動きのある場所

 

 

  • 筋被膜・腱膜など

 

  •  密な目の詰んだ網状をなしている

 

  • 瘢痕などを作る

 

 

関節可動域制限の主な原因

  1. 筋  :43%
  2. 関節包:30%
  3. 皮膚 :19%
  4. 靭帯  :8%

 

 

筋による関節可動域制限

攣縮

攣縮による伸張性低下

  • 圧痛所見  :(+)
  • 伸張位筋緊張:(⇧)
  • 短縮位筋緊張:(⇧)
  • 脊髄腱反射 :(⇧) 

 

リラクセーション(筋エネルギーテクニック)が適応

 

 

短縮

短縮による伸張性低下

  • 圧痛所見  :(-)
  • 伸張位筋緊張:(⇧)
  • 短縮位筋緊張:(⇩)
  • 脊髄腱反射 :(正常) 

 

ストレッチが適応

 

 

評価の手順

次の3ステップにより評価を行う

  1. 自動運動
  2. 関節終端感覚
  3. 反復運動

 

 

1.自動運動

  • 自動運動により、大まかに組織破壊や脆弱性の有無を見分ける

 

  • 終端時痛(+):機能障害である可能性が高い ⇒ 関節終端感覚の評価へ

 

  • 運動時痛(+):直接法は禁忌 ⇒ 以下の評価へ

 

  1. 3方向以上の動きで同じ部位が痛む:強い炎症の可能性あり ⇒ 手技療法は禁忌、隣接部位の評価とアプローチ
  2. 1方向のみ同一部位が痛む:弱い炎症の可能性あり ⇒ 関節法、もしくは隣接部位の評価とアプローチ

 

 

2.関節終端感覚

  • 関節終端感覚により組織破壊や脆弱性の有無を分節的に見分ける

 

  • 骨性の硬さ:重度の変形・癒合 ⇒ 手技療法は禁忌

 

  • 硬い弾性力:機能障害の可能性 ⇒ 反復運動の評価へ

 

  • 軟らかい弾性力:正常もしくは過剰運動・不安定性 ⇒ アプローチの必要性なし

 

 

3.反復運動

  • 組織の緊張、短縮かスパズム、損傷かを10~20回の反復運動によって鑑別する

 

  • 疼痛の軽減もしくは領域の減少、可動域の拡大:体性機能障害(緊張・短縮) ⇒ 直接的アプローチの適応

 

  • 疼痛の悪化もしくは領域の拡大、可動域の減少:組織損傷やスパズム ⇒ 直接的アプローチは禁忌、関節法もしくは隣接部位の評価

 

 

 

個性を伸ばせ!FFS理論 自己分析・5つの思考行動パターン・保全性因子

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『自分の個性ってなんだろう?』

 

『自分の個性はどうやったらスポーツに活かすことができるのか?』

 

今回は、そのような疑問を解決に導いてくれる考え方を共有しましょう。

 

 

 

 

 

 

自己分析

個性を伸ばすために、まず自己分析が欠かせません。

 

自分はどんな性格で、どういう特徴があるのかわかりますか?

 

自己分析のメリットとして、長所と短所がわかります。

 

長所を自分の強みとして生かすことで、突出した才能を作ることができる可能性があります。

 

逆に短所を補うことで、バランスの良い万能型になる可能性もあります。

 

どちらにとっても大切なことは、自分の性格や特徴にあったことをしているかどうかです。

 

また、自己分析ができることが他者理解につながります。

 

野球で例えると、チームメートがどんな性格かわかることでチームワークを高めることができますね。

 

 

 

FFS理論

宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み【自己診断ID付き】

 

 

古野俊幸氏の著書から得られた自己分析の方法を紹介していきます。

 

FFS(Five Factors Stress)理論とは、思考行動パターンを5つの因子とストレスで数値化したものです。

 

 

  1. 凝縮性因子
  2. 受容性因子
  3. 弁別性因子
  4. 拡散型因子
  5. 保全性因子

 

 

 

自分がどの因子になるのか判別するために15の質問に直感で答えます。

 

  1. 「持論を支持してくれない」同僚がいたら喧嘩になってでも説得しようとする
  2. 元気がない友達がいたら何とか元気にしてあげようとする
  3. 二度説明するなど無駄なことはしない
  4. 「閃いた」と思ったら後先考えずにまず動く
  5. 計画的に準備して進めようとする
  6. 「こうあるべきだ」とよく言っている
  7. 自分と違う考えを聞いたときに「なるほど、一理あるな」と思う
  8. 「データがない状態」では判断できないと思う
  9. 組織内にやりたいポジションがなければ外に探しに行く
  10. 仲間と一緒にいると安心できる
  11. 責任を果たすためなら部下の仕事をとり上げることもためらわない
  12. 状況や環境が変われば決まり事など柔軟に変えてもいいと思う
  13. あいまいなことは白黒はっきりとさせたい
  14. 「あんまり考えていないよね」と周囲から言われることがある
  15. 「丁寧できっちりしているね」と言われることがある

 

 

因子ごとに合計点を出し、合計点の高い順に3つの因子を並べます。

 

この3つがあなたの個性に影響を与えている第一因子、第二因子、第三因子です。第一因子(数値が一番高い因子)が最も影響を与えています。

 

 

 

保全性因子

日本人の65%は「保全性因子」といわれています。

 

ちなみに、私もバリバリの保全性因子でした(笑)。

 

それでは、保全性因子の特徴を紹介していきます。

 

  • 確実に準備してから行動する
  • 最初の一歩が踏み出せないときは周りの人を味方につけて背中を押してもらう
  • 情報を幅広く集めて体系化するのが得意
  • この領域ならだれにも負けない、と思えれば自信を持って戦える
  • 誰かのために人生を懸けられる
  • 少しずつ積み上げて成功実感を持つことに喜びを感じる
  • 夢は現実的なところから生まれる
  • 正しさより楽しさを好む
  • 柔軟で寛容な個性のため1つに決められない
  • 面倒見の良さと丁寧さを武器にする
  • 周りの人達を元気にしたいので積極的に人間関係を作り会話を盛りあげようと動く
  • 理屈で理解してもリスクをとることが生理的に嫌
  • できることが好きなことになる傾向がある
  • 自分の無能さが露呈するのを恐れて自信のないことは行動に移したがらず、なかなか一歩を踏み出すことができない
  • 徹底的に情報を集めて抜け漏れなく対策を考えてようやく安心して行動に移すことができる
  • 自身を持てるようになるには、できたという成功体験の積み重ねが必要
  • 自分の型を磨くことで先の見通しが立ち力強く前進できる

 

 

 

自己分析をスポーツに活かす

練習では上手くいくんだけど、試合だと自信が持てなくなって本来の力を発揮できないことがあります。

 

保全性の特徴は、人前での失敗を恐れてしまい身体が思うように動かないことがあります。

 

失敗を恐れる傾向がありますが、逆に準備を人一倍して失敗を事前に回避するための努力を怠りません。

 

失敗を恐れないよう、指導者がサポートして導いていく必要もあります。

 

練習の難易度は頑張れば成功できそうな程度で、成功を積み重ねることで揺るぎない自信をつけ、本番でいい結果が出るようになります。

 

自信がある程度ついてきた頃には自分の型が定まり、一人でも目標に向かって進んでいく力が備わっています。

 

また、厳しいよりは楽しい雰囲気の練習環境の方が性に合っているでしょう。

 

チームスポーツでは、チーム内で自分の役割が見いだせないことがあるかもしれません。

 

保全性の特徴は、チームメートの状況を観察してどうしたらいいか考えることが得意です。

 

落ち込んでいる仲間がいるとき、放っておくことができません。

 

みんなが楽しめるように間を取り持つような役割が向いているでしょう。

 

誰かのために自分を犠牲にすることがあります。

 

自分自身のために、というよりは誰かのために何かをすることが原動力になります。

 

誰かの面倒をみることで、自らの存在を確認しています。

 

カリスマ的なリーダーというよりは、皆の話を聞き、同じ方向に向かせることができるスタイルのリーダーです。

 

また、面倒見がいい方のため、後輩の指導にも向いているでしょう。

 

 

 

アキレス腱断裂 受傷メカニズム・リスクファクター・診断・治癒過程・ケーラー脂肪体・怪我の予防・日頃のケア・体の使い方

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今回は、アキレス腱断裂について解説していきます。

 

野球選手ではそれほど多くありませんが、過去には前田智則選手(カープ)、西岡剛選手(ロッテ)、最近では野上亮磨選手(ジャイアンツ)がアキレス腱断裂の怪我をしています。

 

怪我をしてしまった場合、復帰まで長期間を要するうえ、復帰後のパフォーマンスが戻らないと選手生命をも左右する大怪我です。

 

アキレス腱にまつわる知識を深めケガを予防できるよう役立ててもらえると幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

アキレス腱断裂の病態

アキレス腱の受傷メカニズム

  •  足関節背屈しながら、下腿三頭筋が急激に収縮した時や伸張された時が多いとされています。

 

  • 具体的には全力ダッシュで踏ん張った時や、ジャンプの着地で受傷することがあります。

 

 

リスクファクター

  • 30~40歳台でアキレス腱の退行変性がある場合、リスクが高くなります。

 

  • スポーツ選手でアキレス腱に対して繰り返されるメカニカルストレスがある場合、腱が肥厚しリスクが高くなります。

 

  • 既往歴に糖尿病・痛風・腎不全・リウマチがある、カルシウム拮抗薬・ニューロキノロン系拮抗薬・ステロイドの内服歴がある場合、受傷の頻度が多くなる傾向があります。

 

  • 男女比は、5~6:1。

 

 

 

アキレス腱断裂の診断

アキレス腱部の陥没

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好発部位

  1. アキレス腱付着部から2~6㎝上方 この部位はアキレス腱への血流部位が少ないため、損傷が起こりやすいとされています。怪我全体の70~80%に当たります。
  2. 筋腱移行部
  3. 踵骨付着部 踵骨剥離骨折を伴う場合があります。

 

 

トンプソンテスト

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  • 膝を直角に曲げた状態で腓腹筋をつまみます

 

  • 正常であれば足関節が底屈します。断裂している場合は底屈しません。

 

 

レントゲン

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  •  K:Kager's triangl アキレス腱の前縁、踵骨の上縁および足趾屈筋県の後縁で結ばれた脂肪組織で満たされている三角形の部分。

 

  • K(+):Kager's sign 陽性 シャープな輪郭が焼失し範囲が狭くなり不明瞭となる。

 

  • T:Toygar's angle 後方の皮膚表面のカーブが150°以下で異常

 

  • A:Arner's sign 陽性 アキレス腱踵骨付着部周囲は断裂した腱が踵骨より遠ざかるカーブを描き、その近位では前方へと移動し、腱と皮膚線とが平行に見えない状態。

 

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MRI

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片足ヒールレイズ

  • 断裂している場合、片足での爪先立ちができません。

 

 

アキレス腱の治癒過程

  • 約3週:繊維組織の形成

 

  • 約4~5週:瘢痕組織の再形成(リモデリング)、筋収縮に耐えうる強度の獲得

 

  • 約6~7週:見かけ上の腱癒合と腱鞘様組織の再生

 

  • 膠原組織を中心とした結合組織の増殖反応で、あくまでも瘢痕組織による治癒のため、本来の強度を取り戻すためには相当な期間が必要となります。

 

  • 陥没部の消失は、受傷後平均3週±1.3週。

 

  • 受傷後6ヶ月で左右差が残存するものが29%、8ヶ月で7%。

 

  • 断端部にアキレス腱下脂肪体や主張したパラテノンなど介在物が存在しない場合にはアキレス腱修復率は6週で平均75%、10週で85%。

 

 

 

予後として…

  1. 足関節の可動域異常が保存例に多い(受傷1年後)
  2. 腓腹筋の萎縮が保存例に多い(1年後)
  3. 最終筋力は健側の89%(手術群、保存群ともに)
  4. 走行異常が保存例に多い

 

 

 

アキレス腱の解剖学

  • 腓腹筋とヒラメ筋の合同腱

 

  • 腱鞘はなく、パラテノン(アキレス腱周囲膜)で覆われる

 

  • Kager's fat pad(ケーラー脂肪体)がアキレス腱へ血液供給を行う

 

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ケーラー脂肪体の解剖学

部位

  1. アキレス腱深部
  2. 長母指屈筋の表層
  3. 踵骨近位部の隙間

 

 

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役割

  • アキレス腱、長母指屈筋の滑走性維持

 

  • アキレス腱下、アキレス腱付着部の圧縮力軽減

 

  • 後踵骨滑液包の摩擦軽減と内圧調整

 

  • 後脛骨動静脈と脛骨神経の保護

 

 

 

脂肪体が硬くなる原因

  • 足関節捻挫

 

  • 外傷後のギプス固定

 

  • アキレス腱炎

 

 

 

硬くなることで生じる影響

  • アキレス腱、下腿三頭筋、長母指屈筋の滑走性低下

 

  • アキレス腱付着部へのストレス増大

 

  • アキレス腱の痛み

 

  • 後踵骨滑液包の炎症

 

 

 

怪我の予防

  • アキレス腱断裂は、トレーニングによるメカニカルストレスが繰り返されることで腱が肥厚し、その状態に瞬間的な力が加わることで発症します

 

  • 怪我を予防するためには2つのポイントがあります。

 

 

 

日頃のケア

  • アキレス腱や脂肪体、アキレス腱と連結している腓腹筋・ヒラメ筋、その周囲の腓骨筋や後脛骨筋の柔軟性を保つことが重要になります

 

  • トレーニングをして体が疲労することで筋肉や腱は柔軟性を失います

 

  • 何も対処せず放置してしまうと、その硬さはどんどん強くなってしまう可能性があります

 

  • 練習後、特にアキレス腱やふくらはぎに疲労感や違和感を感じるのであれば、ケアが必要です

 

  • 温めたりストレッチ・マッサージなどを行い、柔軟性の改善に努めましょう。

 

 

 

アキレス腱に負荷をかけ過ぎない体の使い方

  • トレーニング後、アキレス腱やふくらはぎに疲労感や違和感を感じる頻度が多い選手は、体の使い方を工夫する余地があります

 

  • 動作の中で、腓腹筋やヒラメ筋を酷使している使い方になっています

 

  • 逆に、ハムストリングスや大殿筋を使えていない状態だと思われます

 

  • ハムストリングや大殿筋の筋力はありますか?股関節の柔軟性はありますか?

 

  • 体全体の筋肉をバランスよく使えるようになることで、1ヵ所に負担がかかることが少なくなります。

 

 

 

具体と抽象 問題解決の3パターン

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『野球が上手くなるための練習メニューをどのように考えたらいいか…?』

 

今回は、そのような疑問を解決に導いてくれる思考法を解説していきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

具体と抽象

その思考法とは、ズバリ、『具体と抽象』です。

 

細谷功氏の著書から得られた考え方を、スポーツに応用していきたいと思います。

 

 

 

具体と抽象

 

      

 

 

練習メニューは、昔からあるオーソドックスなものや、YouTubeで紹介されているものなど、世の中にたくさん出回っています。

 

その中で、自分に合ったメニューはどれなのか?

 

とりあえずこの練習をしてみたら、パフォーマンスがアップした。

 

あの練習をしてみたけどあまり効果がなかった、など、良し悪しが分かれることは多々あると思います。

 

限られた時間の中で体力や技術を高めていくには、自分に合った練習メニューを取り入れていく必要があります。

 

そのための思考法が、『具体と抽象』です。

 

問題となっている具体例やデータなどに対して解決方法を考えていくことが『具体化』です。

 

目先の問題だけしか見えていない状態で、いわば、対処療法みたいなものです。

 

一時的に良い結果が得られるかもしれませんが、時間が経つと、結局もとに戻ってしまう可能性があります。

 

具体例やデータなど目先のことだけでなく、問題点を分析し、その背景や共通項は何なのか、物事の本質を捉えていくことが『抽象化』です。

 

抽象化することで、目先に見えていた問題だけでなく、その他に解決しなければならない新たなことがみえてきます。

 

こうして具体と抽象の行き来をすることで、根本的な問題解決につながり、大きなパフォーマンスアップの可能性を高めることができます。

 

 

具体とは?抽象とは?

一応、言葉の意味も確認しておきます。

 

具体とは…

物事が直接に知覚され、認識されうる形や内容を備えていること(goo辞書)

 

 

簡潔に表現すると、

  • 個別性、特殊性がある
  • 五感で感じられる実態
  • 個々の属性(形、色、大きさなど)
  • 正解がある
  • 優劣が明確
  • 答えが重要

 

 

 

抽象とは…

事物または表象からある要素・側面・性質をぬきだして把握すること(goo辞書)

 

 

簡潔に表現すると、

  • 集合、一般的なもの
  • 五感で感じられない概念
  • 2者以上の関係性、構造
  • 正解はない
  • 優劣がわかりにくい
  • 問いが重要

 

 

 

図で表すとこのようになります。

 

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問題解決の3パターン

 

問題の解決は、抽象から具体へ向かっていくことです。

 

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問題解決の3パターン

  1. 具体 → 具体         表面的な問題解決
  2. 抽象 → 抽象         机上の問題解決
  3. 具体 → 抽象 → 具体    根本的な問題解決

 

 繰り返しになりますが、具体と抽象の行き来が、根本的な問題解決につながっていきます。

 

 

打者の練習メニューを考える

打者の練習メニューを考えていきます。

 

自分の目標は何なのか(抽象化)、その目標を達成するための練習メニューは何なのか(具体化)、を意識しながら考えます。

 

まずは、目標を設定します。

 

ここでは、ヒットをもっと打てるようになりたい、という目標を立てて話を進めていきます。

 

 『ヒットをもっと打ちたい』を具体化していきます。

 

 

「安定したスイング、ボールとバットのコンタクト」

         

「構えの姿勢の安定性、四肢の脱力」

         

「体幹回旋・股関節回旋筋力、肩甲骨安定」 

 

 

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抽象度の高いことを具体化していくことで、解決できるヒントがたくさん出てきます。

 

その中から、自分が出来ていることと出来ていないことを把握します。

 

課題が明確になれば、あとは練習するのみです。

 

 

筋力トレーニングの原則 特異性の原則・過負荷の原則

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『筋トレしてるんだけど、結果があまり出てなくて停滞してる…』

 

『筋トレするときに、何を意識したらいいかよくわからない…』

 

今回は、筋肉を効率的につけていく、筋トレを競技に活かしていくためのポイントを解説していきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

筋力トレーニングの原則

 

筋力トレーニングを行う時に重要な原則が2つあります。

 

  1. 過負荷の原則
  2. 特異性の原則

 

ここでは、特異性の原則について解説していきます。

 

 

 

特異性の原則

 

特異性の原則とは、ある種の能力は、同様の運動を用いたトレーニングによって効果的に高められるというものです。

 

特異性の原則を細かく分類すると、以下の3つがあります。

 

 1.筋の収縮様式からみた特異性

 2.負荷様式からみた特異性

 3.動作様式からみた特異性

 

 

この原則を理解して、競技の動作分析や自身の動作分析に利用してほしいと思います。

 

ただ単に練習をするだけでは、決して効率的とはいえません。

 

筋の収縮様式や動作様式などをヒントに競技動作を分析して、どのような筋肉をどのように動かすと良い動きになるのか理解します。

 

自身の動作分析もして、照らし合わせます。

 

何が自分に足りないか発見することができ、自ずとやるべきことがみえてきます。

 

 

 

筋の収縮様式からみた特異性

 

目的とする動作に限りなく近い収縮様式でトレーニングをした方が効率的になります。

 

収縮様式には、等尺性・遠心性・求心性・等速性収縮などがあります。

 

上腕二頭筋で説明します。

 

手にダンベルを持った状態で…

 

肘を曲げて体に近づける動きを求心性収縮といいます。

 

 

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肘を伸ばして体から遠ざかる動きを遠心性収縮といいます。

 

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走るとき、地面を蹴る動作では、大殿筋・ハムストリングス・下腿三頭筋の求心性収縮の力を利用します。

 

求心性収縮のトレーニングをすれば、地面を蹴る動作が強化され、走るスピードが改善する可能性が高くなっていく、ということですね。

 

 

 

負荷様式からみた特異性

 

最大筋力を増加させたいときは、負荷を100%でトレーニングした方が最も効果が大きくなります。

 

逆に、最大速度を増加させたいときは、負荷を少なくして最大速度でトレーニングした方が効果が大きくなります。

 

下図は、トレーニングの負荷を変えて行うとどの要素が変化するのかを表しています。

 

 

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動作様式からみた特異性

 

主動作筋が同一であっても、動作様式の違いにより筋力の増加率に差異が生じます。

 

また、トレーニング動作における発揮筋力の増加率に比較して、他の動作様式での増加率は低いとされています。

 

下図は、スクワットトレーニングを8週間行った時の筋力の増加率を示したものです。

 

 

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スクワットは、大腿四頭筋・大殿筋・ハムストリングスを強化するトレーニングです。

 

垂直跳や立幅跳にも必要な筋力ですが、1番変化率が高かったのはスクワット1RMになり、動作様式からみた特異性が証明されています。 

 

 

 

過負荷の原則

 

過負荷の原則とは、筋肥大・筋力向上を目的としたとき、日常生活でかかる負荷よりも強い負荷をかけると効果が期待できるというものです。

 

例えば、スイングの最速ヘッドスピードが120キロあったとします。

 

もっと早くしたいときは、120キロ以上のスピードで練習をすれば効果が期待できるということです。

 

具体的には、以下の条件を満たすことが必須となります。

 

 1.運動の強度

 2.運動の持続時間

 3.運動の頻度

 

 

 

運動の強度

 

筋力アップのためには、最低でも70%1RM以上の強度が必要になります。

 

さらに効果的にするためには、90%1RM以上の強度が必要なります。

 

 

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RM(Repetition Maximum)とは、『反復最大負荷』ことで、繰り返すことが可能な限界の回数を指しています。

 

%1RMとは、1RMに対する割合のことです。

 

70%1RMは、12~15回を繰り返すことが可能な強度にあたります。

 

 筋力がついてきてフォームを固めるためには軽い負荷で繰り返し練習ることが必要です。

 

 

 

運動の持続時間

 

負荷をかける時間を長くすることで、結果として 、短い時間の負荷より効率的に筋肥大を促すことができます

 

具体的には、同負荷でレッグエクステンション(膝伸展)を行うとき、片方の足だけ、約8倍長い筋緊張持続時間をかけました。

 

トレーニング後、筋タンパク質合成レベル(筋肥大レベル)の差異を測定しました。

 

その結果、筋タンパク質合成レベルは、114%上昇しました。

 

短い負荷時間の足は、わずか77%の上昇に留まりました。

 

さらに、トレーニング終了24時間後も、筋タンパク質合成レベルは高いレベルを維持していることがわかりました。

 

運動を継続した方がいい期間についてはトレーニングを開始して20週目までに神経系の要因により、さらに、10週目以降筋肥大の要因も加わり、筋力が強くなります。

 

神経系の要因は20週目以降では頭打ちになりますが、逆に言えば、何かしらトレーニングをすれば20週目までは必ず筋力は強くなる、ということですね。

 

それ以降で筋力を強くできるかどうかは、どれだけ筋肥大を起こせるかにかかっているということです。

 

 

運動を継続した方がいい期間については、以下も参照してください。

sakuraiku.hatenablog.com

 

 

 

運動の頻度

 

トレーニングの間隔は、36時間開けた方がよいといわれています。

 

その理由として、筋タンパク質合成レベルやピークトルクが元の状態に戻るために必要な時間だからです。

 

 

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筋力がしっかりと発揮できない状態で毎日同じ部位をトレーニングをしても、決して効率がよいとはいえません。

 

同一部位は2日置きにして、鍛える部位を変えるなどして、トレーニングを計画的に組めば時間を有効に使えますね。

 

 

 

まとめ

目的とする動作に限りなく近い収縮様式でトレーニングした方が効率的である

 

負荷100%でトレーニングしたときは最大筋力に、負荷0%・最大速度でトレーニングしたときは最大速度がに効果が出やすい

 

主動作筋が同一であっても、動作様式の違いにより筋力の増加率位に差異がある

 

最低でも12~15回繰り返すことが可能な強度で行うと、筋力は強くなる

 

筋への負荷時間が長いほど、筋肥大を効率的に促すことができる

 

同部位のトレーニング後は、36時間間隔を開けて行う方がよい

 

 

 

参考文献

筋力トレーニングの基礎知識 -筋力に影響する要因と筋力増加のメカニズム-

(京都大学医療技術短期大学紀要別冊 健康人間学 第9号 市橋則明)

 
筋力トレーニングについて
(運動生理 1994 9:131‐138 幸田利敬)
 
 

筋力トレーニングの基礎知識⑥ 心理的な要因 筋力と心理的要因の関係・生理的限界と心理的限界・かけ声

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『筋トレをしているんだけど、なかなか筋力がついてこない…』

 

『ある程度の筋肉はついてきたけど、そこから先がなかなか筋力がついてこない…』

ってことありませんか?

 

そこで、今回は筋力をつけるためのヒントを紹介していきます!

 

 

 

 

 

 

 

 

筋力を決定する要素

 

筋力を決定する要素には以下の6つがあります。

 

  1. 筋断面積
  2. 神経系の要因
  3. 筋繊維の組成
  4. 筋繊維の解剖学的な要因
  5. 関節の角度
  6. 心理的な要因

 

今回は、『6.心理的な要因について解説していきます。

 

 

 

筋力と心理的要因の関係

 

筋力は心理的な影響により最大随意収縮より20~30%強くなることがわかっています。

 

具体的には、筋力の向上筋パワーの向上反応時間の短縮運動パフォーマンスの向上などに変化が表れます。

 

では、なぜ心理的な要因が筋力に影響を与えるのか考えていきましょう。

 

 

 

生理的限界と心理的限界

 

筋力には、生理的限界心理的限界があります。

 

生理的限界とは、解剖学的構造とこれに由来する生理的条件に規定される能力のことをいいます。

 

わかりやすくいうと、肉体の限界能力を表しています。 

 

 

心理的限界とは、『大脳皮質や中枢神経系の興奮水準の程度による心理適条件に規定される能力』のことをいいます。

 

最大努力で筋力を発揮したつもりでも、常に予備力を残している状態です。

 

常に肉体の限界能力で筋力を発揮していると、ケガのリスクが非常に高まります。

 

そういう理由もあり、普段では筋力にリミッターがかかった状態になっています。

 

 

しかし、時には普段以上の力が出てほしい場面があります。

 

スポーツで例えると、ここ一番での勝負所や、窮地に追い込まれた時などです。

 

ここぞという場面で筋力を最大限に発揮するためには、どうしたらいいのでしょうか?

 

 

 

自発的なかけ声

答えは、かけ声です。

 

スポーツ選手のかけ声で印象的なのは、陸上の室伏広治選手や、テニスのマリア・シャラポア選手ですね。

 

室伏選手は、ハンマーを投げ終わった後に叫ぶ姿が印象的です。 

 

 

  
【陸上】スポーツマンなら知らなきゃ損なシャウト効果【空耳】投擲種目の叫び声集

 

 

 

シャラポア選手は、ストロークするごとに声を出すプレーが印象的です。

 

ただ、叫び声が大き過ぎて、対戦相手からクレームを出されたこともありますが…(笑)

 

 

  

  【速報】全豪オープン セリーナ・ウィリアムズ vsシャラポワに勝利 2016

 

 

 

かけ声により筋力が強くなる理由

 

かけ声によって筋力が強くなるメカニズムは、大脳内に生じた旧皮質の賦活作用が、間接的に大脳皮質の興奮性を高め、大脳に生じた内制止を制止すること、つまり脱制止することで心理的限界から一時的に生理的限界へ高められるとしています。

 

自発的なかけ声を伴う筋力発揮は、中枢神経系を興奮させ、主動作筋および共同筋の運動ニューロンの動員数が増加し、最大随意筋力を増大させます。 

 

 

具体的にどれぐらい能力が変化するのか、例をあげていきます。

 

 瞬発力を必要とするパワー系のスポーツにおいて、無発声に対しシャウトでは…

 

   筋パワー    14.6%アップ

   最大筋収縮速度 9%アップ

 

 

さらには、通常時よりも、疲労している時の方が、シャウトの効果が優位に大きくなることがわかっています。 

 

約2秒に1回の割合で50回全力でシャウトなしの握力を、51回目にシャウトありの握力を測定しました。その結果…

 

   シャウトにより、51回目の握力は優位に向上しました。

 

 

 

   f:id:sakuraiku:20200727103817p:plain

引用:http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/hue/file/12429/20190819101435/kenkyu2019420103.pdf

 

 

 

疲労には、中枢神経系の要因が関与し、筋力発揮の継続によって生じうる障害などを防ぐために、筋力発揮にかかわる中枢からの運動指令の出力が非随意的に抑制されている可能性があると考えられています。

 

このように、疲労に伴う筋の発揮力の低下は、末梢性疲労のみならず、中枢性疲労が関与していると考えられ、通常時と同じメカニズムでシャウトにより筋力は増加すると考えられます。

 

 

 

まとめ

筋力は、心理的な影響により、最大随意収縮より20~30%強くなる

 

筋力には、生理的限界と心理的限界がある

 

自発的なかけ声を伴う筋力発揮は、中枢神経系を興奮させ、主動作筋および共同筋の

 運動ニューロンの動員数が増加し、最大随意筋力を増大させる

 

疲労している時の方が、シャウトの効果が優位に大きくなる

 

 

 

参考文献

筋力トレーニングの基礎知識 -筋力に影響する要因と筋力増強のメカニズム-

(京都大学医療技術短期大学紀要別冊 健康人間学 第9号 市橋則明)

 

筋力トレーニングについて

(運動生理 1994 9:131-138 幸田利敬) 

 

シャウトによる筋力増強効果 -疲労時の有無に着目して-

(広島経済大学研究論集 第42巻第1号 柳川和優・磨井祥夫)

 

 

筋力トレーニングの基礎知識⑤ 関節の角度 筋力と関節角度の関係

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 『筋トレをしているんだけど、なかなか筋力がついてこない…』

 

『ある程度の筋肉はついてきたけど、そこから先が筋力が強くならない…』

 

ってことありませんか?

 

そこで、今回は筋力をつけるためのヒントを紹介していきます!

 

 

 

 

 

 

 

 

筋力を決定する要素

 

筋力を決定する要素には以下の6つがあります。

 

  1. 筋断面積
  2. 神経系の要因
  3. 筋繊維の組成
  4. 筋繊維の解剖学的な要因
  5. 関節の角度
  6. 心理的な要因

 

今回は、『5.関節の角度』について解説していきます。

 

 

 

筋力と関節の角度の関係

 

今までは、筋肉や神経系など解剖学的な面から筋力を解説してきました。

 

今回は、関節など運動学的な面にも目を向けていきます。

 

例えば…

 

股関節が屈曲する時、作用する筋肉は、腸腰筋・大腿直筋・縫工筋・大腿筋膜張筋・内転筋群・中殿筋前部があります。

 

また、屈曲筋が働く可動域は110°(屈曲90°~伸展20°の合計)あります。

 

それぞれの筋は、どの角度でどれくらい筋力を発揮するかわかりますか? 

 

 

関節角度が変化することで、筋の作用線と関節中心の位置関係も変化しモーメントアームが変化していきます。

 

それにより、筋の作用が変化し、極端な場合は作用が逆転する場合もあります。

 

例えば…

 

 

内転筋群は伸展位では屈曲トルクを発揮しますが屈曲位では伸展トルクを発揮します。

 

また、関節角度の変化により、筋繊維長も変化することで、筋力も変化します。

 

筋繊維長は至適筋長に近いほど1番強い力を発揮します。

 

逆に、筋長が短すぎる、もしくは、長すぎると筋力が弱くなります。

 

 

 

  f:id:sakuraiku:20200713090319p:plain

引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf/-char/ja#page=3

 

 

 

 

股関節屈曲筋と発揮トルク

 

主動作筋腸腰筋       補助筋大腿直筋

                   縫工筋

                   大腿筋膜張筋

                   内転筋群

 

 

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引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf/-char/ja#page=4

 

 

腸腰筋は、全可動域で1番強い屈曲トルクを発揮していています。

 

大腿直筋は、屈曲約20°でピークに達しその前後の可動域では弱くなります。

 

 

 

股関節伸展筋と発揮トルク

 

主動作筋大殿筋        補助筋ハムストリングス

                    大内転筋

                    中殿筋

 

 

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引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf/-char/ja#page=4

 

 

伸展位では、大殿筋下部1番強い筋力を発揮しています。

 

ハムストリングス(特に内側)は、屈曲位で強い筋力を発揮しています。

 

さらに、屈曲角度が大きくなるほど筋力も強くなります。

 

 

 

股関節内転筋と発揮トルク

 

主動作筋大内転筋        補助筋恥骨筋

     短内転筋            薄筋

     長内転筋            外閉鎖筋

                       大殿筋

 

 

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引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf/-char/ja#page=4

 

 

長内転筋は、伸展位・屈曲位ともに屈曲トルクを発揮しています。

 

大内転筋後部は、屈曲位では1番強い伸展トルクを、伸展位でも1番強い屈曲トルクを発揮し、相反する作用を持ち合わせています。

 

その他の内転筋群は、同じような傾向になっています。

 

 

 

股関節外転筋と発揮トルク 

 

主動作筋中殿筋         補助筋小殿筋

                     大腿筋膜張筋

                     縫工筋

 

 

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引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf/-char/ja#page=5

 

 

中殿筋後部は、屈曲・伸展可動域ともに唯一伸展トルクを発揮しています。

 

他の筋は、同じような程度で屈曲トルクを発揮していますが、大腿筋膜張筋屈曲約35°で1番強くなっています。

 

 

 

全屈曲トルクと全伸展トルク

 

屈曲、伸展、内転、外転筋それぞれの屈曲・伸展トルクを合わせたものが下の図になります。

 

 

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引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/2/38_KJ00007176631/_pdf/-char/ja#page=5

 

 

屈曲トルク約20°前後で最大の力を発揮しています。

 

伸展トルク屈曲角度が強くなればなるほど力が強くなっています。

 

 

 

まとめ

 

関節角度が変化することで、筋の作用線と関節中心の位置関係も変化し、モーメント

 アームが変化する

 

筋繊維は至適筋長に近いほど、1番強い力を発揮する

 

屈曲トルクは、約20°前後で最大の力を発揮している

 

伸展トルクは、屈曲角度が強くなればなるほど力が強くなる

 

 

 

参考文献

筋力トレーニングの基礎知識 -筋力に影響する要因と筋力増加のメカニズム-

(京都大学医療技術短期大学部紀要別冊 県人間学 第9号 市橋則明) 

 

筋力トレーニングについて

(運動生理 1994 9:131‐138 幸田利敬) 

 

関節角度の違いによる股関節周囲筋の発揮筋力の変化 -数学的モデルを用いた解析-

(理学療法学 第38巻第2号 97~104項 2011年 小栢進也ら)

 

 

筋力トレーニングの基礎知識④ 筋線維の解剖学的な要因 平行筋と羽状筋・力学的特徴・筋線維長と筋線維数・生理学的断面積と解剖学的断面積

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『筋トレをしているんだけど、なかなか筋力がついてこない…』

 

『ある程度の筋肉はついてきたんだけど、そこから先が筋力が強くならない…』

 

ってことありませんか?

 

そこで、今回は筋力をつけるためのヒントを紹介していきます!

 

 

 

 

 

 

 

 筋力を決定する要素

 

筋力を決定する要素には以下の6つがあります。

 

 

  1. 筋断面積
  2. 神経系の要因
  3. 筋繊維の組成
  4. 筋繊維の解剖学的な要因
  5. 関節の角度
  6. 心理的な要因

 

今回は、『4.筋繊維の解剖学的な要因』について解説していきます。

 

 

 

 筋力と筋繊維の解剖学的な要因の関係

 

結論から言うと…

 

羽状筋は筋力が強く平行筋は筋力が弱い、ということです。

 

 

 

 平行筋と羽状筋

 

まずは筋繊維の解剖学的な特徴を説明していきます。

筋構築についてです。

 

筋構築とは、力の作用軸に対する筋繊維の配列として定義されています。

 

その配列より、2つに分類されます。 

 

 

平行筋

  • 力の作用軸と筋繊維の走行が平行
  • 屈筋に多い 

 

 

羽状筋

  • 力の作用軸と筋繊維の走行が異なる
  • 伸筋に多い

 

 

        f:id:sakuraiku:20200709114457p:plain

引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/18/1/18_1_49/_pdf/-char/en#page=4

 

 

 

 力学的特徴

 

次に力学的な特徴についてみていきます。

 

平行筋は、力の作用軸と筋繊維走行が一緒のため、筋力が全て腱に伝わります。

 

羽状筋は、筋力が全て腱に伝わるわけでなく、その一部のみが伝わります。

 

 

 

      f:id:sakuraiku:20200709115053p:plain

引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/18/1/18_1_49/_pdf/-char/en#page=4

 

 

 

力の作用軸と筋繊維の走行のなす角度(羽状角)が30°だったとします。

 

その場合、cos30°≒0.86 のため、筋力の86%が腱に伝わります。

 

残りの14%はエネルギーロスしていることになりますね…。

 

では、ロスしているにも関わらず、羽状筋の方が筋力が強いのはなぜでしょう?

 

 

 

筋線維長と筋線維数

 

体積と長さの同じ筋肉を比較した場合、

 

平行筋では、筋繊維長が長く、筋繊維数が少なくなります。

 

羽状筋では、筋繊維長が、筋繊維数が多くなります。

 

 

 

          f:id:sakuraiku:20200709115750p:plain

引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/18/1/18_1_49/_pdf/-char/en#page=4

 

 

 

 

筋繊維の中にある筋節に注目していきます。

 

1個の筋節がエンジンだと思ってください。 

 

 

       f:id:sakuraiku:20200709120022p:plain

引用:https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/49548/1/9_33.pdf#page=4

 

 

 

平行筋の場合、エンジンが直列に連結されているため、結果的に1個のエンジンの力と変わりません

 

羽状筋の場合、エンジンが並列に連結されているため、個々のエンジンの力が加算され、1個のエンジンの力よりも大きくなります。 

 

 

 

      f:id:sakuraiku:20200709120055p:plain

引用:https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/49548/1/9_33.pdf#page=4

 

 

 

そのため、羽状筋の方が筋力が強くなります。

 

次に、筋肉が収縮する速度で考えてみます。

 

平行筋では筋節が全て直列に配列しているため、全体の短縮量が加算され、速い速度で筋肉を縮めることに優れています

 

 

 

生理学的断面積と解剖学的断面積

 

羽状筋は平行筋と比べ、生理学的断面積が大きくなるため、筋力も強くなります。

 

生理学的断面積(Physiologic Cross Sectional Area 以下、PCSA)とは、

1つの筋肉に存在する全ても筋繊維の断面積の総和のことをいいます。

 

PCSAは機能的な断面積であり、筋出力と比例するといわれています。

 

また、解剖学的断面積(Anatomical Cross Sectional Area 以下、ACSA)とは、

力の作用軸に対して垂直な断面積のことをいいます。

 

 

 

         f:id:sakuraiku:20200709120108p:plain

引用:https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/49548/1/9_33.pdf#page=3

 

 

 

平行筋では、PCSA = ACSA となりますが、

 

羽状筋では、PCSA > ACSA となります。

 

以下の図は、下肢筋のPCSAと筋繊維を表しています。

 

 

 

      f:id:sakuraiku:20200709120128p:plain

引用:https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/49548/1/9_33.pdf#page=5

 

 

 

大腿四頭筋は、PCSAが大きく、筋力に優れた筋肉ですね。

 

逆に、縫工筋や薄筋は収縮速度に優れた筋肉ですね。

 

ということは、トレーニングでは、

 

平行筋は、低重量・高回数で、

 

羽状筋は、高重量・低回数で行うことが、

 

筋肉の特徴を最大限に生かすことができます。

 

 

 

まとめ

 

平行筋は収縮速度に優れた筋肉である

 

羽状筋は筋力に優れた筋肉である

 

トレーニングでは、平行筋は低重量・高回数で、羽状筋は高重量・低回数で行うと

 効率が良い

 

 

 

参考文献

筋力トレーニングの基礎知識-筋力に影響する要因と筋力増加のメカニズム-

(京都大学医療技術短期大学紀要別冊 健康人間学 第9号 市橋則明)

 

筋力トレーニングについて

(運動生理 1994 9:131‐138 幸田利敬)

 

骨格筋の構造

(理学療法科学 18(1):49‐53,2003 斎藤明彦)

 

 

筋力トレーニングの基礎知識③ 筋線維の組成 遅筋線維・速筋線維・運動強度とエネルギー回路・運動強度と栄養素・筋肉を動かすエネルギー

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『筋トレをしているんだけど、なかなか筋力がついてこない…』

 

『ある程度の筋肉はついてきたんだけど、そこから先が筋力が強くならない…』

 

ってことありませんか?

 

そこで、今回は筋力をつけるためのヒントを紹介していきます!

 

 

 

 

 

 

 

 

筋力を決定する要素

 

筋力を決定する要素には以下の6つがあります。

 

  1. 筋断面積
  2. 神経系の要因
  3. 筋繊維の組成
  4. 筋繊維の解剖学的な要因
  5. 関節の角度
  6. 心理的な要因

 

今回は、『3.筋繊維の組成』について解説していきます。

 

 

 

筋力と筋繊維の組成の関係

 

速筋繊維は、強い筋力速い収縮速度を兼ね備えています。

 

遅筋繊維は、ある一定の筋力長時間持続して発揮することができます。

 

まずは、筋繊維の組成の特徴から種類分けをしていきましょう。

 

筋肉は筋繊維の単収縮の性質と、代謝の相違によって大まかに3つに分類することができます。 

 

 

①Type Ⅰ

 遅筋繊維(Slow twitch oxidative fiber、以下S型) 

 

②Type Ⅱa

 速筋繊維(Fast twitch Oxidative Glycolytic fiber、以下FOG型)

 

③Type Ⅱb

 速筋繊維(Fast twitch Glycolytic fiber、以下FG型)

 

 

 

筋線維の分類と特徴

 

それぞれの特徴を以下にまとめます。

 

 

筋繊維の分類と特徴
 
Type Ⅰ(S型)
Type Ⅱa(FOG型)
Type Ⅱb(FG型)
収縮速度
疲労 中間
筋張力 小さい 中間 大きい
筋繊維径 小さい 中間 大きい
色調
ミトコンドリア量
ミオグロビン量
グリコーゲン含有量 中間
解糖系酵素活性 中間
毛細管
ATP供給 酸化的リン酸化 酸化的リン酸化 解糖
ミオシンATPase活性
活動参加順序

 

 

 

速筋繊維の中でもType Ⅱbグリコーゲン含有量が多く解糖系酵素活性が高いため、瞬発的に大きな筋力を出すことに長けています。

 

遅筋繊維はミトコンドリア量が多く酸化的リン酸化によりATPを供給するため、中等度の負荷で持久的な運動に長けています。

 

では、それらの代謝の違いは、どのように筋力に影響するのでしょうか?

 

 

 

筋力を動かすエネルギー

 

筋肉を動かすためにはエネルギーが必要です。

 

そのエネルギーの元となるものは、ATP(アデノシン三リン酸)です。ATPを分解する過程でできるエネルギーを利用します。 

 

    ATP + H₂O + = ADP + H₃PO₄ + エネルギー

 

 

ADP(アデノシン二リン酸)を更に分解することで再びエネルギーを得ることができます。

    ADP + H₂O + = AMP + H₃PO₄ + エネルギー

 

 

 

 では、エネルギーの元となるものは体内にどのくらい蓄えられているのでしょうか?

 

 

エネルギーを熱量として換算すると、体内には、約180,000kcalのエネルギーが蓄えられています。

 

蓄えられているエネルギーを栄養素で分類すると、脂質77%蛋白質22%糖質1%、になります。

 

 

 

運動強度と栄養素

 

運動強度により、使われる栄養素が変化していきます。

 

弱い運動強度では、多くは脂質を利用します。

 

中等度からやや強い運動強度では、主に糖質を利用します。

 

強い運動強度では、ほぼ糖質だけになります。

 

糖質はすぐに分解されるため、エネルギーになる効率が速いです。

 

一方で、蛋白質は体を作ることが主な役割のため、エネルギーになる効率が遅いです。

 

脂質は糖質ほどエネルギーになる効率が速いわけではありません

 

よって、すぐさま多くのエネルギーを必要とする強い運動強度では、糖質が利用されますよね。

 

弱い運動強度では、脂質を利用するのが向いているということですね。

 

この特徴より、グリコーゲン(糖質が体内で合成されたもの)含有量が多い速筋繊維は、強度の強い運動に向いているということですね。

 

次に、運動強度によってエネルギー回路がどのように変わるのかを解説していきます。

 

 

 

運動強度とエネルギー回路

 

運動強度によって、適切なエネルギー回路が使われる仕組みになっています。

 

嫌気的条件下では、解糖系が使われ、好気的条件下では、クエン酸回路電子伝達系が使われます。

 

ちなみに、嫌気的条件下は、酸素がない状態のことで、運動強度の強い無酸素運動のことをいいます。

 

好気的条件下とは、酸素がある状態のことで、運動強度の緩やかな有酸素運動のことをいいます。

 

 

 解糖系の特徴

  1.  原料は糖質
  2. 代謝開始が速い
  3. 副産物は乳酸
  4. 代謝の場所は細胞質基質 

 

 

クエン酸回路・電子伝達系の特徴

  1. 原料は脂質・ピルビン酸(糖代謝物)
  2. 代謝開始が遅い
  3. 副産物は水素
  4. 代謝の場所はミトコンドリア内

 

 

 

      f:id:sakuraiku:20200709101001p:plain

 引用:https://sgs.liranet.jp/download/pdf/sample/text_kisoeiyougaku.pdf#page=1

 

 

 

 以上より、解糖系酵素活性が高い速筋は、強い筋力を出すことができます。 

 

また、ミトコンドリア量が多く酸化的リン酸(水素イオンの濃度勾配を利用し、ADPをリン酸に結合させATPを生成すること)によりATP供給を行う遅筋は、中等度の負荷で持久的な運動に向いているということになります。

 

 

 

まとめ

速筋は、力強い筋力と速い収縮速度を兼ね備えている

 

遅筋は、一定の筋力を長時間持続して発揮することができる

 

速筋は、グリコーゲン含有量が多く、解糖系酵素活性が強い

 

遅筋は、ミトコンドリア量が多く、酸化的リン酸化によりATPを供給する

 

弱い運動強度では脂質を、強い運動強度では糖質を利用する

 

弱い運動強度ではクエン酸回路・電子伝達系が使われ、強い運動強度では解糖系が使われる

 

 

参考文献

 

筋力トレーニングの基礎知識 -筋力に影響する要因と筋力増強のメカニズム- (京都大学医療技術短期大学部紀要別冊 健康人間学 第9号 市橋則明)

 

筋力トレーニングについて (運動生理 1994 9:131‐138 幸田利敬)

 

基礎運動学 (医歯薬出版株式会社 2003 200‐201項 中村隆一)

 

 

筋力トレーニングの基礎知識② 神経系の要因 リクルートメント・レートコーディング・シンクロナイゼーション

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『筋トレをしているんだけど、なかなか筋力がついてこない…』

 

『ある程度の筋力はついてきたけど、そこから先が筋力が強くならない…』

 

ってことありませんか?

 

そこで、今回は筋力をつけるためのヒントを紹介していきます! 

 

 

 

 

 

 

 

 

筋力を決定する要因

 

筋力を決定する要素には以下の6つがあります。

 

  1. 筋断面積
  2. 神経系の要因
  3. 筋繊維の組成
  4. 筋繊維の解剖学的な要因
  5. 関節の角度
  6. 心理的な要因

 

今回は、「2.神経系の要因」について解説していきます。

 

 

 

筋力と神経系の要因の関係

 

筋力トレーニングをするとなぜ筋力が強くなるのか?

 

それには、神経系筋肥大の二つが関係しています。 

 

 

    f:id:sakuraiku:20200706095259p:plain

引用:http://www.ipec-pub.co.jp/ipec/pdf/spts-rin-sample.pdf#page=23

 

 

 

 筋力トレーニングを始めてから、筋力が強くなるまでを時系列で表すと…

 

 

  f:id:sakuraiku:20200706095626p:plain

引用:https://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/contents/osakacu/kiyo/DB00011372.pdf#page=1

 

 

 

トレーニングを開始して20週目までに神経系の要因により、

さらに、10週目以降筋肥大の要因も加わり、筋力が強くなります。

 

神経系の要因は20週目以降では頭打ちになりますが、逆に言えば、

何かしらトレーニングをすれば20週目までは必ず筋力は強くなる、

ということですね。

 

それ以降で筋力を強くできるかどうかは、どれだけ筋肥大を起こせるか

にかかっているということですね。

 

では、神経系の要因とは具体的にどういうことでしょうか?

 

 

 

リクルートメント

 

リクルートメントについて解説していきます。

 

リクルートメントとは、

動員する運動単位の種類と総数による調節のことです。

 

まずは、言葉の説明から。

 

運動単位とは、

1個の運動ニューロンとそれに支配される筋繊維群

ことです。

 

1個の運動ニューロンが支配する筋繊維は約20~1000本といわれています。

 

手など滑らかな動きが要求される筋肉は支配される神経の数が多くなります。

 

下肢・体幹など力強さを要求される筋肉は支配される神経の数が少ないです。

 

 

 

神経支配比
筋繊維数 運動単位数 運動単位当り筋繊維数
広頚筋 27,100 1,096 25
第一背側骨間筋 40,500 119 340
第一虫様筋 10,038 93 108
前脛骨筋 250,200 445 562
腓腹筋(内側) 11,200,000 579 19343
(Goodgold J et al,1977)
 
 
 
 
 この運動単位がどれぐらい動員されているかで筋力が
変わってくるということです。
 
 

    f:id:sakuraiku:20200706101706p:plain

引用: https://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/contents/osakacu/kiyo/DB00011372.pdf#page=1

 

 

 

 また、運動単位にはいくつかの種類があります。

 

    f:id:sakuraiku:20200706101746p:plain

    引用:http://www.ipec-pub.co.jp/ipec/pdf/spts-rin-sample.pdf#page=4
 
 
①S型(Slow twitch)
②FOG型(Fast twitch Oxidative Glycolytic fiber)
③FG型(Fast twitch Glycolytic fiber)
 
 
 
※それぞれの特徴については、以下を参照してください
⇩⇩⇩

sakuraiku.hatenablog.com

 

 

 

つまり、筋収縮を繰り返すことで、動員される運動単位の総数が増え、
さらに、筋収縮のスピードや収縮時間を変えることで
それぞれの種類の単位が賦活され、結果的に筋力が強くなるということですね。
 
 

レートコーディング

レートコーディングとは、α運動神経発火頻度による調節
ことです。
 
運動神経が発火し、活動電位により起こる1回だ化粧汁速い経過の筋収縮を、
単収縮(twitch)といいます。
 
中枢神経から筋肉への信号は脊髄前角の運動ニューロンの発火頻度で調整されます。
 
発火の頻度が多くなり、単収縮が加重、融合して生じる大きな張力を強縮
いいます。
 
遅筋では、発火頻度が多くなると、加重による融合が生じます。
 
速筋では、発火頻度が多少多くなっても加重は生じません。
 
しかし、より高い頻度で続けて発火すると疲労(張力の低下)が生じます。 
 
 
 
 
 つまり、発火頻度が高くなればなるほど筋力は強くなる
いうことですね!
 
しかし、上の図から分かるように筋力は一定の水準よりも強くなることはありません。
 
  

シンクロナイゼーション

シンクロナイゼーションとは、運動単位の活動時相による調整
ことです。
 
簡単に言うと、1つの筋肉にあるすべての運動単位が
どの瞬間に活動しているか、ということです。
 
例えば、10個ある運動単位がバラバラのタイミングで活動すると…
滑らかな動きや力の弱い動きになります(非同期)。
 
逆に、10個ある運動単位が全て同時のタイミングで活動すると…
瞬間的な力強い動きになります(同期)。
  
 

まとめ

筋力が強くなるには『神経系』、『筋肥大』の2つが関係している。
 
トレーニングを開始して20週目までは神経系の要因により筋力が強くなる。
 
筋収縮を繰り返すこと、収縮スピードや収縮時間を変えることで運動単位の総数や
 種類が増え、筋力が強くなる。
 
運動神経の発火頻度が多くなればなるほど筋力も強くなる。
 
運動単位が全て同時に活動することで強い力が、バラバラに活動することで滑らかな
 動きになる。
 
 

参考文献

筋力トレーニングの基礎知識 -筋力に影響する要因と筋力増加のメカニズム-
(京都大学医療技術短期大学紀要別冊 健康人間学 第9号 市橋則明)
 
筋力トレーニングについて
(運動生理 1994 9:131‐138 幸田利敬)
 
トレーニングと筋の肥大を考えよう
(体育学研究室 松永智)
 
 

筋力トレーニングの基礎知識① 筋断面積 筋断面積と筋力の関係・筋肉の体積・

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『筋トレをしているんだけど、なかなか筋力がついてこない…』
 
『ある程度の筋肉はついてきたけど、そこから先が筋力が強くならない…』
 
  ってことありませんか?
 
 そこで、今回は筋力をつけるためのヒントを紹介していきます! 
 
 
 

筋力を決定する要素

 

筋力を決める要素には以下の6つがあります。

 

  1. 筋断面積
  2. 神経系の要因
  3. 筋繊維の組成
  4. 筋繊維の解剖学的な要因
  5. 関節の角度
  6. 心理的な要因

 

今回は、「1.筋断面積」 について解説していきます。

 

 

 

筋断面積と筋力の関係

 

筋断面積と筋力は高い相関を示す研究が数多くあります。

 

 

         f:id:sakuraiku:20200702091631p:plain

引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/sobim/12/3/12_KJ00000971268/_pdf#page=1

 

 

 

すなわち、大きい筋肉ほど筋力も強いということですね。

 

それでは、筋肉が大きくなる仕組みはどのようになっているのでしょうか?

 

 

 

大きい筋肉とは

 

筋肉の大きさは筋原線維数 × 筋繊維断面積で表すことができます。

 

繊維の数が多く、繊維1本当たりの面積が大きければ、大きい筋肉ということですね。

 

 

 

 f:id:sakuraiku:20200702093814p:plain

引用:https://changebodycomposition.blogspot.com/2019/09/blog-post.html

 

 

 

トレーニングにより、筋原線維は最大で直径1.1μmまで太くなります。

 

 

      f:id:sakuraiku:20200702095645p:plain

 引用:

https://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/contents/osakacu/kiyo/DB00011372.pdf#page=1

 

 

 

そして、ある一定の太さを超えると繊維は分裂して数が増えると考えられています!

 

 

      f:id:sakuraiku:20200702100846p:plain

引用:

https://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/contents/osakacu/kiyo/DB00011372.pdf#page=1

 

 

 

分裂の機序として、アクチンフィラメントがZ膜に対して、90度の角度で、斜め方向に強い張力が加わることでZ膜を引き裂き、分裂を起こすとされています。

 

そのため、ずっと同じ負荷でのトレーニングでは、筋力はそれ以上強くなる可能性が低くなります。

 

強い負荷をかけていくことが筋肉を大きくしていくポイントになります。

 

また、大きな筋肉にターゲットを絞ることで、さらなる筋力アップにつなげることができますね。

 

では、からだの中で1番大きな筋肉はどれかわかりますか?

  

 

 

大きい筋肉ランキング

 

1位 大腿四頭筋    1900㎤

2位  下腿三頭筋    900㎤

3位  ハムストリングス 880㎤

  4位    大殿筋          860㎤

  5位    三角筋          800㎤

  6位    大胸筋          680㎤

  7位    上腕三頭筋        620㎤

  8位    広背筋          550㎤

  9位    僧帽筋          460㎤

10位    上腕二頭筋        370㎤

11位    腹直筋          170㎤

 

 

 

下肢の役割は体重を支えることなので、体積が多くなるのも納得ですね。

 

逆に、上肢の役割は物を操作するなど繊細に動くことなので、下肢と比べて体積が大きい必要はありません。

 

個人的に意外なのは下腿三頭筋の体積がハムストリングスや大殿筋よりも大きいこと。

 

見た目はお尻の筋肉の方が大きく見えますが…また、三角筋や上腕三頭筋の体積が、背中の筋肉より大きいこと。

 

ここで大事なことは、体積に見合った筋力がしっかり出せているかどうか。

 

体積と筋力のバランスが崩れていると、それが姿勢の崩れ動作のアンバランにつながり、結果としてパフォーマンスの低下や痛みの原因になる可能性があります。

 

 

 

まとめ

筋断面積と筋力は高い相関があり、大きい筋肉ほど筋力が強い

 

筋肉に強い負荷を加えることで筋原線維が太くなり、分裂を引き起こし、

 筋肉が大きくなる 

 

からだの中で1番大きな筋肉は大腿四頭筋

 

 

参考文献

 

筋力トレーニングの基礎知識 -筋力に影響する要因と筋力増加のメカニズム- (京都大学医療技術短期大学部紀要別冊 健康人間学 第9号 市橋則明)

 

筋力トレーイングについて (運動生理 1994 9:131-138 幸田利敬)

 

トレーニングと筋の肥大を考えよう (体育学研究室 松永智)