筋力トレーニングの原則 特異性の原則・過負荷の原則

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『筋トレしてるんだけど、結果があまり出てなくて停滞してる…』

 

『筋トレするときに、何を意識したらいいかよくわからない…』

 

今回は、筋肉を効率的につけていく、筋トレを競技に活かしていくためのポイントを解説していきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

筋力トレーニングの原則

 

筋力トレーニングを行う時に重要な原則が2つあります。

 

  1. 過負荷の原則
  2. 特異性の原則

 

ここでは、特異性の原則について解説していきます。

 

 

 

特異性の原則

 

特異性の原則とは、ある種の能力は、同様の運動を用いたトレーニングによって効果的に高められるというものです。

 

特異性の原則を細かく分類すると、以下の3つがあります。

 

 1.筋の収縮様式からみた特異性

 2.負荷様式からみた特異性

 3.動作様式からみた特異性

 

 

この原則を理解して、競技の動作分析や自身の動作分析に利用してほしいと思います。

 

ただ単に練習をするだけでは、決して効率的とはいえません。

 

筋の収縮様式や動作様式などをヒントに競技動作を分析して、どのような筋肉をどのように動かすと良い動きになるのか理解します。

 

自身の動作分析もして、照らし合わせます。

 

何が自分に足りないか発見することができ、自ずとやるべきことがみえてきます。

 

 

 

筋の収縮様式からみた特異性

 

目的とする動作に限りなく近い収縮様式でトレーニングをした方が効率的になります。

 

収縮様式には、等尺性・遠心性・求心性・等速性収縮などがあります。

 

上腕二頭筋で説明します。

 

手にダンベルを持った状態で…

 

肘を曲げて体に近づける動きを求心性収縮といいます。

 

 

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肘を伸ばして体から遠ざかる動きを遠心性収縮といいます。

 

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走るとき、地面を蹴る動作では、大殿筋・ハムストリングス・下腿三頭筋の求心性収縮の力を利用します。

 

求心性収縮のトレーニングをすれば、地面を蹴る動作が強化され、走るスピードが改善する可能性が高くなっていく、ということですね。

 

 

 

負荷様式からみた特異性

 

最大筋力を増加させたいときは、負荷を100%でトレーニングした方が最も効果が大きくなります。

 

逆に、最大速度を増加させたいときは、負荷を少なくして最大速度でトレーニングした方が効果が大きくなります。

 

下図は、トレーニングの負荷を変えて行うとどの要素が変化するのかを表しています。

 

 

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動作様式からみた特異性

 

主動作筋が同一であっても、動作様式の違いにより筋力の増加率に差異が生じます。

 

また、トレーニング動作における発揮筋力の増加率に比較して、他の動作様式での増加率は低いとされています。

 

下図は、スクワットトレーニングを8週間行った時の筋力の増加率を示したものです。

 

 

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スクワットは、大腿四頭筋・大殿筋・ハムストリングスを強化するトレーニングです。

 

垂直跳や立幅跳にも必要な筋力ですが、1番変化率が高かったのはスクワット1RMになり、動作様式からみた特異性が証明されています。 

 

 

 

過負荷の原則

 

過負荷の原則とは、筋肥大・筋力向上を目的としたとき、日常生活でかかる負荷よりも強い負荷をかけると効果が期待できるというものです。

 

例えば、スイングの最速ヘッドスピードが120キロあったとします。

 

もっと早くしたいときは、120キロ以上のスピードで練習をすれば効果が期待できるということです。

 

具体的には、以下の条件を満たすことが必須となります。

 

 1.運動の強度

 2.運動の持続時間

 3.運動の頻度

 

 

 

運動の強度

 

筋力アップのためには、最低でも70%1RM以上の強度が必要になります。

 

さらに効果的にするためには、90%1RM以上の強度が必要なります。

 

 

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RM(Repetition Maximum)とは、『反復最大負荷』ことで、繰り返すことが可能な限界の回数を指しています。

 

%1RMとは、1RMに対する割合のことです。

 

70%1RMは、12~15回を繰り返すことが可能な強度にあたります。

 

 筋力がついてきてフォームを固めるためには軽い負荷で繰り返し練習ることが必要です。

 

 

 

運動の持続時間

 

負荷をかける時間を長くすることで、結果として 、短い時間の負荷より効率的に筋肥大を促すことができます

 

具体的には、同負荷でレッグエクステンション(膝伸展)を行うとき、片方の足だけ、約8倍長い筋緊張持続時間をかけました。

 

トレーニング後、筋タンパク質合成レベル(筋肥大レベル)の差異を測定しました。

 

その結果、筋タンパク質合成レベルは、114%上昇しました。

 

短い負荷時間の足は、わずか77%の上昇に留まりました。

 

さらに、トレーニング終了24時間後も、筋タンパク質合成レベルは高いレベルを維持していることがわかりました。

 

運動を継続した方がいい期間についてはトレーニングを開始して20週目までに神経系の要因により、さらに、10週目以降筋肥大の要因も加わり、筋力が強くなります。

 

神経系の要因は20週目以降では頭打ちになりますが、逆に言えば、何かしらトレーニングをすれば20週目までは必ず筋力は強くなる、ということですね。

 

それ以降で筋力を強くできるかどうかは、どれだけ筋肥大を起こせるかにかかっているということです。

 

 

運動を継続した方がいい期間については、以下も参照してください。

sakuraiku.hatenablog.com

 

 

 

運動の頻度

 

トレーニングの間隔は、36時間開けた方がよいといわれています。

 

その理由として、筋タンパク質合成レベルやピークトルクが元の状態に戻るために必要な時間だからです。

 

 

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筋力がしっかりと発揮できない状態で毎日同じ部位をトレーニングをしても、決して効率がよいとはいえません。

 

同一部位は2日置きにして、鍛える部位を変えるなどして、トレーニングを計画的に組めば時間を有効に使えますね。

 

 

 

まとめ

目的とする動作に限りなく近い収縮様式でトレーニングした方が効率的である

 

負荷100%でトレーニングしたときは最大筋力に、負荷0%・最大速度でトレーニングしたときは最大速度がに効果が出やすい

 

主動作筋が同一であっても、動作様式の違いにより筋力の増加率位に差異がある

 

最低でも12~15回繰り返すことが可能な強度で行うと、筋力は強くなる

 

筋への負荷時間が長いほど、筋肥大を効率的に促すことができる

 

同部位のトレーニング後は、36時間間隔を開けて行う方がよい

 

 

 

参考文献

筋力トレーニングの基礎知識 -筋力に影響する要因と筋力増加のメカニズム-

(京都大学医療技術短期大学紀要別冊 健康人間学 第9号 市橋則明)

 
筋力トレーニングについて
(運動生理 1994 9:131‐138 幸田利敬)