カラダが固くなる7つの理由 運動不足・不良姿勢・繰り返しの作業・長時間の練習・怪我・ストレスと生活リズム・暴飲暴食
『準備運動やストレッチを毎日していたけど怪我をしてしまった…』
『ストレッチをした後は柔らかくなるけど、すぐ固さが戻ってしまう…』
今回は、 このような疑問を解決できるヒントを共有していきたいと思います!
- なぜ体は固くなったり動きにくくなるのか
- まずは自分の状態を知ることから始めよう
- 関節可動域制限発生のメカニズム
- 関節可動域制限とは?
- 2種類の結合組織
- 関節可動域制限の主な原因
- 筋による関節可動域制限
- 評価の手順
なぜ体は固くなったり動きにくくなるのか
練習前のウォーミングアップ、練習後のクールダウンやストレッチはほとんどのスポーツ選手がしていると思います。
また、競技以外では食事や睡眠などの生活面にも工夫をこらしている選手もいると思います。
では、ストレッチをした後は柔らかくなるけど、なぜすぐに固さが戻ってしまうのでしょう?
まず最初に、なぜ体が固くなるのか考えていきます。
体が固くなる、動きにくいなど変化が出るには何かしら理由があります。
その理由を考えずに、ボディケアだけに没頭してしまうのは決して効率が良いとは言えません。
肩が凝ってるからマッサージしてもらうとその時は楽だけど、明日にはもとに戻っているのと同じことです。
マッサージなど対処療法だけでなく、肩が凝る原因を考える必要があります(対処療法を否定しているわけではありませんので悪しからず)。
根本と思われる原因にも対処できることで、よりカラダの不調を改善しやすくなります。
良い状態をキープしやすくなります。
その方が練習などのトレーニングに多くの時間を使うことできます。
体が硬くなる原因をいくつか挙げていきます。
- 運動不足や長時間の同じ姿勢
- 不良姿勢
- 繰り返しの作業
- 長時間の練習
- 怪我・手術後
- ストレス・生活リズムの乱れ
- 暴飲暴食
1.運動不足や長時間の同じ姿勢
運動不足や長時間の同じ姿勢では、動かさないことで筋肉が固くなります。
部活動などでは、テスト期間中に運動不足があると練習再開の時に体が固くなっている実感がありますよね。
2.不良姿勢
不良姿勢では、固くなりやすい筋肉と柔らかい筋肉があります。
例えば腰が曲がっている姿勢では腹筋が短くなって固くなり、背筋が伸ばされて固くなります。
3.繰り返しの作業
同じ動作を繰り返すことで固くなりやすい場所に偏りがで出やすくなります。
例えば、野球のように右投げ右打ちの選手の場合、体を左に回転させる動作が多くなるため、同じ筋肉を酷使することで固くなる箇所があります。
カラダの左右のバランスを保つため、反対方向の素振りを行っている選手もいます。
4.長時間の練習
長時間の練習では、体の疲労や筋肉の微細損傷により筋肉が固くなります。
疲労により筋肉が正しく働かなることで関節や筋肉にダメージが加わります。
長時間の練習に耐えうる身体ができていないと怪我のもとになりかねません。
5.怪我・手術後
怪我・手術後では、筋肉の損傷や手術痕が治癒する過程で固さが残ることが多いです。
特に皮膚や皮下脂肪、筋膜の間が癒着することで動きが固くなります。
見た目では治っているため、固さが残っていることを自覚できずにプレーをしていると、その固さが原因で違和感が残ったり怪我につながる可能性があります。
6.ストレス・生活リズムの乱れ
ストレス・生活リズムの乱れでは、胸椎を主に固さがでることが多いです。
ストレスや睡眠時間が少ないことは自律神経に影響を及ぼします。
交感神経や副交感神経のリズムが崩れることで、胸椎に固さが出ることがあります。
7.暴飲暴食
暴飲暴食では、胃や腸など腹部の周辺に固さが残ることが多いです。
内臓の固さがでれば、その周囲にある筋肉に影響が出ることが予測されます。
また、内臓の動きが出にくくなることで呼吸が浅くなり横隔膜の動きも固くなります。
まずは自分の状態を知ることから始めよう
色々な原因からどの部位が固くなるのか、ザックリと説明させていただきました。
今回紹介したこと以外でも、身体に影響を与えることはたくさんあると思います。
そのため、まずは自分自身の状態を知ることから始めましょう。
身体面のチェック
- どのような立ち姿勢、座り姿勢をとっているか
- どこが柔らかく、どこが固くなりやすいか
- どこが疲れやすいか
- どのような歩き方をしているか
- 長時間同じ姿勢をとることはあるか
生活面のチェック
- 食事の量や内容、早食いしていないか
- 睡眠時間や質
- 普段ストレスを感じることがあるか
- ストレス発散を上手くできているか
このようなことを振り返り、もし身体に負担をかけていそうなことがあれば、それは改善するチャンスがあるということです。
ご自身のできる範囲で少しずつ見直していくことで、身体の良い変化を感じられるようになると思います。
逆に、負担をかけていることがあまりなければ、身体の状態に自信を持って練習を思う存分やるのみです。
関節可動域制限発生のメカニズム
関節可動域制限とは?
強直
- 関節構成体である骨・軟骨・補強靭帯などの変化に基づいておこる運動障害である
- リハビリの手技ではほとんど治療困難なもの
短縮
- 皮膚・筋・腱・神経・血管などの変化に基づいておこる運動障害である
- 完全に、またはある程度改善される余地のあるもの
2種類の結合組織
- 創傷部が治癒していく過程で、その部の運動が保たれていれば「粗」な結合組織ができてくる
- 運動が制限されると、「密」な結合組織が繁殖し、その部の運動性は著しく妨げられ、拘縮が発生する
粗
- 関節包・筋内結合組織層・皮下組織など
- いずれも常に動きのある場所
密
- 筋被膜・腱膜など
- 密な目の詰んだ網状をなしている
- 瘢痕などを作る
関節可動域制限の主な原因
- 筋 :43%
- 関節包:30%
- 皮膚 :19%
- 靭帯 :8%
筋による関節可動域制限
攣縮
攣縮による伸張性低下
- 圧痛所見 :(+)
- 伸張位筋緊張:(⇧)
- 短縮位筋緊張:(⇧)
- 脊髄腱反射 :(⇧)
リラクセーション(筋エネルギーテクニック)が適応
短縮
短縮による伸張性低下
- 圧痛所見 :(-)
- 伸張位筋緊張:(⇧)
- 短縮位筋緊張:(⇩)
- 脊髄腱反射 :(正常)
ストレッチが適応
評価の手順
次の3ステップにより評価を行う
- 自動運動
- 関節終端感覚
- 反復運動
1.自動運動
- 自動運動により、大まかに組織破壊や脆弱性の有無を見分ける
- 終端時痛(+):機能障害である可能性が高い ⇒ 関節終端感覚の評価へ
- 運動時痛(+):直接法は禁忌 ⇒ 以下の評価へ
- 3方向以上の動きで同じ部位が痛む:強い炎症の可能性あり ⇒ 手技療法は禁忌、隣接部位の評価とアプローチ
- 1方向のみ同一部位が痛む:弱い炎症の可能性あり ⇒ 関節法、もしくは隣接部位の評価とアプローチ
2.関節終端感覚
- 関節終端感覚により組織破壊や脆弱性の有無を分節的に見分ける
- 骨性の硬さ:重度の変形・癒合 ⇒ 手技療法は禁忌
- 硬い弾性力:機能障害の可能性 ⇒ 反復運動の評価へ
- 軟らかい弾性力:正常もしくは過剰運動・不安定性 ⇒ アプローチの必要性なし
3.反復運動
- 組織の緊張、短縮かスパズム、損傷かを10~20回の反復運動によって鑑別する
- 疼痛の軽減もしくは領域の減少、可動域の拡大:体性機能障害(緊張・短縮) ⇒ 直接的アプローチの適応
- 疼痛の悪化もしくは領域の拡大、可動域の減少:組織損傷やスパズム ⇒ 直接的アプローチは禁忌、関節法もしくは隣接部位の評価