体幹後屈時痛に対するリハビリ

今回は『体幹後屈時痛に対するリハビリ』について共有していきます!

 

 

後屈時痛の要因

  • 後屈時痛の要因として、椎間関節性、脊椎分離性、脊柱管狭窄症、あるいは仙腸関節性など様々な報告がされている

 

椎間関節性の鑑別

  • 後屈時痛群から腰椎椎間関節性疼痛の鑑別方法として、青木らが提唱する腿上げテストがある
  • 腿上げテストの結果から、陽性群、陰性群に分類し、陽性例は椎間関節性疼痛、陰性例は非椎間関節疼痛と仮定し、それぞれ個別の評価・治療を行った

 

対象

  • 羅病期間が3ヶ月以上有する慢性腰痛症32例のうち、体幹自動運動テストにて後屈時痛を主訴とする20例

 

治療方法

  • 腿上げテストを施行し、判定基準は施工前・後で運動時痛の改善が60%以上認められた場合に陽性、60%以下の場合を陰性とした
  • 陽性例には椎間関節の他動運動テストとスプリングテストと大腰筋の圧痛をVASを行った
  • 過少運動症例にはモビライゼーションを行った
  • 過剰運動症例には多裂筋を中心にした脊柱安定化運動を行った
  • 陰性例には骨盤帯ねじれ障害の確認位置テスト、股関節の自動・他動運動テスト、腹臥位での膝関節屈曲テスト、大腰筋の圧痛テストを行った
  • 骨盤帯ねじれ障害には骨盤正中化を目的としたマッスルエナジー手技を行った
  • 股関節過少運動例には股関節モビライゼーションを行った
  • 腹臥位での膝関節屈曲テストで左右差が生じる場合、早期に生じる骨盤帯の前方回旋モビライゼーションを行った
  • 大腰筋の圧痛を呈する場合にはリリースを施行した

 

結果

  • 大腰筋のリリースの結果、後屈時痛が60%以上改善したのは陽性例では8例中7例、陰性群では12例中1例であった
  • 陽性例で椎間関節モビライゼーションを施行したのは5例で、治療直後より運動時痛は有意に改善した
  • 陽性例で安定化運動を施行したのは3例で、治療直後より運動時痛は有意に改善した
  • 陰性例では骨盤正中化を目的としたマッスルエナジーテクニックで改善を呈したのは12例中2例であった
  • 股関節モビライゼーションで改善を呈したのが12例中1例であった
  • 腹臥位での膝関節屈曲テストで骨盤帯モビライゼーションで改善を呈した症例は12例中8例であった

 

参考文献

体幹後屈時痛に対するリハビリ (関節外科 Vol.32 No.3 2013 亀山泰)