肋椎関節と胸郭の運動
野球選手のための解剖学シリーズ!今回は『肋椎関節と胸郭の運動』について共有していきます。
肋椎関節と肋骨の運動軸
a:上位肋骨の運動軸 b:下位肋骨の運動軸
- 肋骨運動の軸は肋骨頸と平行である
- 上位肋骨の運動軸は冠状面(前頭面)に近いが、下位肋骨では矢状面に近くなる
- このため、肋骨運動は胸郭上部の主に胸郭矢状径を増大させ、胸郭下部では横径を増大させる
肋骨呼吸あるいは胸式呼吸における胸郭の運動
- 呼吸は胸郭内の体積変化に依存する
- 胸郭の体積が増えると吸気が必要であるが、それは次の2つの方法による
- 横隔膜を下げることによる(肋横隔膜呼吸あるいは腹式呼吸)
- 肋骨を下げることによる(肋骨呼吸あるいは胸式呼吸)
- 安静時の呼吸はその大部分が腹式呼吸である
- 努力性呼吸の場合は肋間筋やそのほかの呼吸補助筋による胸式呼吸量が増大する
- 胸郭量の増減は冠状面と矢状面の双方における体積の増減による
肋椎関節の靭帯
a:第1肋骨 b:第2肋骨 c:第5肋骨 d:第11肋骨
- 肋椎関節は肋骨と椎間骨の関節であり、2つの関節がある
- すなわち肋骨頭関節と肋横突関節である
- これらの2つの関節は形態学的には明瞭に区別されるが、機能的には相互に関係し合っている
肋骨頭関節
- この関節は2つの関節面をもつ
- 肋骨頭の関節面
- 椎体の肋骨窩
- 第2~10肋骨頭の関節面は隣り合う上下の椎体の上肋骨窩、下肋骨窩によってできる窩とその間の椎間円板に関節する
- 関節内靭帯は肋骨頭稜と椎間円板の間に張られていて、第2~10肋骨頭の関節腔を2つの部分に分ける
- これとは対照的に、第1、11、12肋骨の肋骨頭はそれぞれ1個の胸椎体と関節を作る
- すべての肋骨頭関節では、関節包は放線状の靭帯によって補強されている
肋横突関節
- 第1~10肋骨の肋横突関節では、肋骨結節の関節面は対応する胸椎横突起の横突肋骨窩と関節する
- 第11、12肋骨は対応する胸椎横突起に関節窩がないため、肋横突関節を作らない
- 肋横突関節は次の3つの靭帯によって安定し、その関節包は補強される
- 外側肋横突靭帯(横突起の先端から起こり肋骨結節に付着する)
- 肋横突靭帯(肋骨頸と横突起の間)
- 上肋横突靭帯(肋骨頸と1つ上位の椎骨横突間の間)