足外側側副靭帯
野球選手のための解剖学シリーズ!
今回は『足外側側副靭帯』について共有していきます!
起始・停止
起始
- 前距腓靭帯:外果の前方
- 踵腓靭帯 :外果の遠位
- 後距腓靭帯:外果の後方
停止
- 前距腓靭帯:距骨頸の外側部
- 踵腓靭帯 :踵骨の外側面
- 後距腓靭帯:距骨後突起の外側結節
特徴
- 足関節外側側副靭帯は距腿関節および距骨下関節の外側を補強する靭帯である
- 外側側副靭帯は外果より起こり、前方・下方・後方と放射状に分けられる
- 三角靭帯により安定性が保たれている内側に比べ、外果による安定化が図られる割合が多い外側は、靭帯構造の面で三角靭帯に劣る
- 足関節の背屈により前距腓靭帯は弛緩し、後距腓靭帯は緊張する
- 足関節の底屈により前距腓靭帯は緊張し、後距腓靭帯は弛緩する
- 踵腓靭帯は背屈時、底屈時とも一定の緊張を保ち、距骨下関節の内返しを制動するprimary stabilizerとなる
野球との接点
外側側副靭帯損傷
- 内返し強制に伴う外側側副靭帯損傷は、スポーツ活動時を筆頭に非常に多い外傷の一つである
- 前距腓靭帯の損傷はほぼ前例に認め、その中の半数以上に踵距腓靭帯損傷が合併する
- 新鮮外側側副靭帯損傷例では、足関節外側の腫脹とともに出血班を認めることが多い
- 外側側副靭帯損傷後は、腓骨筋群の強化と共に固有受容器反射のトレーニングを行い、筋性防御機構を高めることで再発を予防する
前方引き出しテスト
- 前距腓靭帯の証明するテスト
- 足関節を軽度底屈位にて、一方の手で下腿の下部を把持し、他方の手で踵部を把持し前方に引き出す
- 不安定性の程度は個人差が大きく、必ず左右差の比較が必要である
- 左右差で2mm以上の差がある場合を不安定性ありと判断する
内返しテスト
- 前距腓靭帯および踵腓靭帯の断裂を証明するテスト
- 足関節を底屈位で足部に内返しストレスを加える
- 疼痛により腓骨筋の緊張が高い場合には陰性化することがあるので注意が必要である
- 一般にtalar tiltが15°以上では踵距腓靭帯損傷が合併しているとされる