仙腸関節の運動

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骨盤の運動

基本的に、骨盤帯には3つの主要な運動がある

 

  1. 寛骨上での仙骨の運動からなる仙腸運動
  2. 仙骨上での寛骨の運動からなる腸仙運動
  3. 対側の恥骨に対する一側恥骨の運動である恥骨結合運動

 

仙腸運動

  • 仙腸運動には、2つの主要な運動様式がある

 

  1. ニューテーション(仙骨屈曲)
  2. カウンターニューテーション(仙骨伸展)

 

  • この仙骨の双方向性の運動は、体幹の前屈・後屈とともに生じる

 

  • 仙骨の片側性運動は、歩行初期および歩行周期などに、股関節と下肢の屈曲・伸展とともに生じる

 

ニューテーション
  • ニューテーションは、仙骨底(仙骨の上面)は前下方に向き、同時に仙骨尖(仙骨の下部)および尾骨は寛骨に対して後上方へ動く

 

  • ニューテーション中において、仙骨はL字型の関節面の短腕を下方へ、長腕に沿って後方に滑ると考えられている

 

  • 仙骨の楔型の形状は、関節面の稜や溝と同様に、ニューテーションを制限している

 

  • さらに、骨間仙腸靭帯や仙結節靭帯、仙棘靭帯はニューテーションの位置で緊張が高まると同時にこの動きを制限するが、この位置は最も安定した位置と考えられる

 

  • ニューテーションは仙腸関節靭帯の大部分、そのなかでも広い骨間仙腸靭帯や後仙腸靭帯(長後仙腸靭帯を除く)を緊張させる代表的な運動であり、これは骨盤に生じる強い負荷を準備していると考えられる

 

カウンターニューテーション
  • カウンターニューテーションでは仙骨底は後上方へ移動し、同時に仙骨尖および尾骨は寛骨に対して前下方へ働く

 

  • この運動が生じる間、仙骨はL字型の関節面の長腕に沿って前方へ、短腕を上方へ滑らせると考えられる

 

  • 長後仙腸靭帯は、カウンターニューテーションのこの特有の運動を制限する

 

  • カウンターニューテーションでは、骨間仙腸靭帯と仙結節靭帯が弛緩するため、仙骨は不安定になると考えられる

 

腸仙運動

  • 腸仙運動には、2つの主要な運動様式がある

 

  1. 前方回旋
  2. 後方回旋

 

  • 両側の寛骨に生じる運動は、体幹の前屈・後屈とともに生じる
  • 一方で、寛骨の片側の運動は、歩行周期など股関節と下肢の屈曲・伸展とともに生じる(仙骨の片側の運動と類似している)

 

前方回旋運動
  • 股関節や下肢が伸展されると、寛骨はL字型の関節面の短腕を下方へ、長腕に沿って後方へ滑りながら、同時に前方へ回旋する

 

  • この前方回旋運動は、仙骨のカウンターニューテーションと関連する

 

後方回旋運動
  • 股関節と下肢の屈曲されると、寛骨はL字型の関節面の長腕に沿って後方へ、短腕を上方へ滑られながらあ、同時に後方へ回旋する

 

  • この後方回旋の動きは、仙骨のニューテーションを誘導する

 

恥骨結合運動

  • 前方では2つの寛骨が結合し、恥骨結合として知られる連結を形成する

 

  • 正常歩行時、恥骨結合関節は2つの寛骨による運動のための回旋軸として機能する

 

  • 恥骨結合における運動は可能だが、通常は上下の強靭な靭帯により制限されている

 

  • この恥骨結合運動は主に歩行周期中で生じるが、片脚立位でバランスを保持しているときにも、この関節でも運動が起こる

 

  • 恥骨結合異常 (SPD:Symphysis Pubis Dysfunction) は上部の恥骨結合、あるいは下部の恥骨結合のどちらが固定されているか、その位置により分類される

 

仙腸運動と腸仙運動の組み合わせ

  • 骨盤帯、つまり2つの寛骨および仙骨が、股関節においてひとつのユニットとして回旋する場合、この運動は骨盤の前傾、あるいは後傾として知られている

 

両側の運動 前屈

  • 体幹の屈曲の初期においては、バランスを保つために重心をコントロールする目的で、骨盤帯は後方へシフトする

 

  • 仙骨はニューテーションの位置にあり、前関節可動域を通してそこに留まる

 

  • 左右の寛骨は大腿骨上を左右対称に前方回旋(骨盤前傾)し、第5腰椎が仙骨上で屈曲するにつれて、上後腸骨棘は頭側(上方)へ対照的に動いていく

 

  • 体幹が前屈するにつれ、仙結節靭帯、大腿二頭筋、胸腰筋膜の緊張が高まるポイントに到達し、仙骨のニューテーションが終了する

 

  • この時点で寛骨は前方回旋を続けるが、たとえ仙骨がニューテーションの位置にあるように見えたとしても、体幹の最終屈曲位では、軟部組織、とくにハムストリングスの緊張の増大により、仙骨は相対的カウンターニューテーションの位置にあると考えられる

 

両側の運動 後屈

  • 後屈の初期において骨盤帯は前方へシフトするが、同時に寛骨は大腿骨上で左右対称的に後方へ回旋(骨盤後傾)し、第5腰椎が仙骨上で伸展するまで胸腰椎の伸展が続く一方で、同時に上後腸骨棘が尾骨方向(下方)へ回旋していく

 

  • 仙骨は後屈を通じてニューテーションの位置で留まり、この位置は仙腸関節の圧迫により最も安定すると考えられる

 

仙骨の片側(一側)の運動

  • 歩行・歩行周期において、仙骨は両側性の運動ではなく、特異的な片側性の運動様式となる

 

  • つまり、歩行する場合、仙骨の片側をニューテーション方向へ前方に運動させる必要があり、一方で同時期に対側はカウンターニューテーション方向へ後方に運動させるのである

 

  • 仙骨が回旋する場合、側屈とともに複合運動が生じる

 

  • 仙骨の左側がニューテーションに向かって前方へ動くと、仙骨は右側へ回旋し、左側へ側屈する

 

  • 仙骨の右側は、同様に右側へ回旋するが、仙骨底はカウンターニューテーションの位置にある

 

  • 一側への回旋と対側への側屈は仙骨捻転として知られており、この特異的な仙骨の運動は、傾斜軸上で生じると考えられる

 

参考文献

骨盤と仙腸関節の機能解剖 骨盤帯を整えるリアラインアプローチ(医道の日本社 John Gibbons)