腰椎
野球選手のための解剖学シリーズ!
今回は『腰椎』について共有していきます。
腰椎の特徴
- 腰椎の椎体は大きく、上からみると横に広い楕円形を示す
- 左右の太い椎弓は椎体との間に三角形の椎孔を形成し、その後方は融合して厚く扁平な棘突起を伸ばす
腰椎の横突起
- 腰椎の横突起は系統発生学的には肋骨と相同である
- したがって、腰椎の横突起は肋骨突起と呼ぶ方が正確であり、他の椎骨の横突起と相同ではない
- 本来の横突起は厚みのある肋骨突起と融合し、肋骨突起の根元で小さな突起物として認められる(副突起)
腰椎の関節面
- 比較的がっしりとした上・下関節突起はわずかに傾いた関節面をもつ
- 関節面はほぼ垂直で、矢状方向を向いている
- 上関節突起の関節面はやや凹面を成し内側を向いているが、下関節突起はやや凸面を成し外側を向いている
- 上関節突起の外側面にある乳頭突起は固有背筋の起始と停止の場を提供する
野球選手が解剖学を学んでおいた方がよい2つの理由
胸椎
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今回は『胸椎』について共有していきます。
胸椎の特徴
胸椎の関節
- 下関節突起の関節面は前方を向き、上関節突起の関節面は後方を向くので、下関節面と関節して椎間関節を形成する
- 平面関節である
- 肋骨窩はその表面が軟骨に覆われており、相対する肋骨と関節する
- 第1~9胸椎の椎体にはそれぞれに2つの関節窩(上関節窩と下肋骨窩)があり、隣り合う椎骨の上下が合して1本の肋骨と関節する
- つまり、第N番目の肋骨は同じN番目の胸椎と、その1つ上の胸椎とに関節する
- 例外は第1・11・12肋骨で、これらの肋骨では同じ番号の椎体とのみ関節する
- 第10胸椎の椎体は上関節窩のみ有し、第10肋骨は第9・10胸椎と関節する
- 横突起もまた肋骨との関節窩を有する(第11・12胸椎を除く)
野球選手が解剖学を学んでおいた方がよい2つの理由
頚椎
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今回は『頚椎』について共有していきます。
頸椎の特徴
第1・2頚椎
- 7つある頚椎の中で、第1・2頚椎の形態はほかの椎骨と著しく異なっている
- 第1・2頚椎は頭を支え、あらゆる方向に動かすために特殊化しており、球関節と類似している
- 上位3頚椎の横突起上面は広く深い切れ込みがあり(脊髄神経構)、そこをそれぞれの高さの脊髄神経が通る
- 上・下関節突起は広く平坦である
- それらの関節面は平たく、水平面より約45°傾いている
第3~7頚椎
野球選手が解剖学を学んでおいた方がよい2つの理由
椎骨の構造
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今回は『椎骨の構造』について共有していきます。
椎骨を構成する基本要素
- 椎弓
- 棘突起
- 横突起(2つ)
- 関節突起(4つ)
- すべての椎骨は上記の基本的構成要素をもつ(環椎と軸椎を除く)
- 突起は筋や靭帯の付着部を成す
- 胸椎の椎体は肋椎関節を作る
- 椎体と椎弓によってつ椎孔ができ、すべての椎孔が合わさって脊柱管を形成する
副肋骨
a:頸肋骨 b:腰肋骨
- 正常であれば、肋骨は第1~12胸椎に付着している
- 異常な頸肋骨がある場合、斜角筋隙が狭くなり、腕神経叢や鎖骨下動脈を圧迫することがある(斜角筋症候群、頸肋症候群)
- 腰肋骨の存在によって臨床症状を起こすことはない
脊柱のさまざまな部位での肋骨要素
- 椎体の形や輪郭は肋骨、またその瘢痕器官(色付けしてある部位)の発達と密接に関係している
a 頚椎:肋骨の瘢痕は前結節と呼ばれる突起である
b 胸椎:胸椎は肋骨と関節するので、椎体と横突起には軟骨で覆われた関節面がある(横突起には横突肋骨窩、椎体には上・下肋骨窩)
c 腰椎:腰椎の肋骨要素は横突起の形状を示すが、頸椎の肋骨要素よりもはるかに大きい。その大きさのため、肋骨突起とも呼ばれている。
脊柱のそれぞれの部位での典型的椎骨
a・b:第1頚椎 c・d:第2頚椎 e・f:第4頚椎
g・h:第6胸椎 i・j:第4腰椎 k・l:仙骨
- 脊柱のそれぞれの部位における椎骨には、大きさ以外に固有の形態的違いがある
- 椎体は脊柱の上から下に行くにしたがって、重力と体重の負荷が大きくなる
- それに伴って、椎体そのものは大きくなるが、椎孔は脊椎の径の長さに比例して小さくなる
- 椎弓とそこから起こる突起の並び方も脊柱の部位によってさまざまである
野球選手が解剖学を学んでおいた方がよい2つの理由
仙腸関節
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今回は『仙腸関節』について共有していきます。
仙腸関節の関節面
仙腸関節の回転
仙腸関節の靭帯
- 前仙腸靭帯
- 後仙腸靭帯
- 骨間仙腸靭帯
- 仙結節靭帯
- 仙棘靭帯
- 腸腰靭帯
- 仙腸関節は真の関節であるが、その可動域は硬い関節包と強い靭帯によって著しく制限されている(半関節)
- 前仙腸靭帯は骨盤前部で関節を安定させている
- 骨間仙腸靭帯、後仙腸靭帯、腸腰靭帯は背部において関節を安定させるために主要な役割を担う
- 骨間仙腸靭帯は、仙腸関節の後縁内側部で腸骨粗面と仙骨粗面の間を走る強靭な靭帯である
- この靭帯は、後仙腸靭帯に完全に覆われている
- 骨間仙腸靭帯と後仙腸靭帯は起立位で仙骨を骨盤輪に固定させ、骨盤腔に滑り込まないようにしている
- さたに仙結節靭帯と仙棘靭帯は両側の仙腸関節を安定させ、横軸に対する骨盤の後方への傾斜を防ぐ
- 仙腸関節痛は、慢性感染症か退行性変性(強直性脊椎炎、骨関節炎)、あるいは外傷(スポーツに関連する障害)が原因となる
- 仙腸関節の過度な可動性は、全身的な靭帯の脆弱化、妊娠あるいはホルモンに関連する靭帯の緩みが原因となることもある
- 仙腸部の機能障害には関節固定も含まれる
- 関節固定は関節包を引き伸ばすため、多くの全身運動の際に苦痛の原因となる
野球選手が解剖学を学んでおいた方がよい2つの理由
肋間筋
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今回は、『肋間筋』について共有していきます。
起始・停止・神経支配
起始
- 内肋間筋:肋骨の上縁
- 外 〃 :肋骨の下縁
停止
- 内肋間筋:1つ上位の肋骨の下縁
- 外 〃 :1つ下位の肋骨の上縁
神経支配
- 肋間神経(Th1~12)
特徴
- 内肋間筋は斜め前上方に走行する
- 外肋間筋は斜め前下方に走行する
- 内肋間筋は肋骨角から胸骨まで存在する
- 外肋間筋は肋骨結節から肋骨肋軟骨連結部まで存在する
①前斜角筋 ②中斜角筋 ③後斜角筋
④外肋間筋 ⑤内肋間筋
作用
筋機能の特徴
- 外肋間筋:吸気時に肋骨を挙上する
- 内肋間筋:呼気時に肋骨を引き下げる
- ともに肋間壁を支持し、胸郭を安定化する
筋連結
頭板状筋
頸板状筋
胸鎖乳突筋
内肋間筋・外肋間筋
外腹斜筋
大殿筋
大腿筋膜張筋
腸脛靭帯
前腓骨頭靭帯
腓骨筋
外側下腿区画
野球との接点
- 胸郭上方の開口部から肋鎖間隙または小胸筋部において、腕神経叢や鎖骨下動脈・静脈を圧迫することにより神経症状や血管症状を総称して胸郭出口症候群という
- 圧迫型、牽引型、混合型二大別される
- 胸郭出口症候群を見るための徒手検査を以下に紹介する
①アドソンテスト:患者の腕を膝の上に置き、橈骨動脈の拍動を触診する。検査側へ頚部回旋・伸展を行わせ、深呼吸を行わせる。脈拍の減弱が認められ場合、陽性である。
②アレンテスト:患者の一側の肩外転90°・外旋とし、橈骨動脈を触診する。反対側への頚部回旋により橈骨動脈の減弱が認められた場合、陽性である。
③エデンテスト:患者を座位とし、上肢を後方に引いた姿勢への変化にて橈骨動脈の拍動減弱や痛みの誘発が得られた場合、陽性である。
④ライトテスト:患者の両肩外転90°・外旋位とすることで橈骨動脈の拍動減弱や痛みの誘発が得られた場合、陽性である。健常者でも30~50%は陽性になるといわれている。
⑤ルーステスト:ライトテストと同肢位で、手指の掌握運動を3分間持続させる。疲労感や痛みで運動継続が不可能な場合、陽性である。最も信頼性が高い徒手検査とされている。
⑥Inferior stress test:患者の上肢をつかみ、下方牽引を加えることで症状の再現が得られる場合、陽性である。牽引型の症例に認められる。
解剖学を学んでおいた方がよい理由
棘筋
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今回は、『棘筋』について共有していきます。
起始・停止・神経支配
起始
停止
神経支配
- 脊髄神経の後枝
特徴
①頸棘間筋 ②腰棘間筋 ③胸棘筋 ④頸棘筋
作用
筋機能の特徴
- 両側が収縮すると、頚椎と胸椎の伸展に作用する
- 片側が収縮すると、頚椎と胸椎の同側側屈に作用する
筋連結
帽状腱膜
後頭下筋
脊柱起立筋
腰仙筋膜
仙結節靭帯
アキレス腱
足底腱膜
短趾屈筋
野球との接点
慢性腰痛
- 腰部コンパートメント内圧上昇が原因の腰痛がある
- 椎間関節由来の腰痛では、脊髄神経後枝内側枝を介した反射により、同レベルの多裂筋に攣縮が生じる
- 椎間孔を出た腰神経は前枝と後枝に分かれ、後枝はさらに外側枝と内側枝に分かれる。内側枝はその後、椎間関節に分布するとともに多裂筋を支配する。椎間関節における病態は、多裂筋の反射性攣縮を併せて引き起こす可能性が高い。
解剖学を学んでおいた方がよい理由
棘間筋
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今回は、『棘間筋』について共有していきます。
起始・停止・神経支配
起始
- 頸棘間筋:下位の頸椎の棘突起
- 腰 〃 : 〃 腰椎の 〃
停止
- 頸棘間筋:上位の頸椎の棘突起
- 腰 〃 : 〃 腰椎の 〃
神経支配
- 脊髄神経の後枝
特徴
①頸棘間筋 ②腰棘間筋 ③胸棘筋 ④頸棘筋
作用
筋機能の特徴
- 頚椎と腰椎の伸展に作用する
筋連結
帽状腱膜
後頭下筋
脊柱起立筋
腰仙筋膜
仙結節靭帯
アキレス腱
足底腱膜
短趾屈筋
野球との接点
慢性腰痛
- 腰部コンパートメント内圧上昇が原因の腰痛がある
- 椎間関節由来の腰痛では、脊髄神経後枝内側枝を介した反射により、同レベルの多裂筋に攣縮が生じる
- 椎間孔を出た腰神経は前枝と後枝に分かれ、後枝はさらに外側枝と内側枝に分かれる。内側枝はその後、椎間関節に分布するとともに多裂筋を支配する。椎間関節における病態は、多裂筋の反射性攣縮を併せて引き起こす可能性が高い。
解剖学を学んでおいた方がよい理由
半棘筋
野球選手のための解剖学シリーズ!
今回は、『半棘筋』について共有していきます。
起始・停止・神経支配
起始
- 胸半棘筋:第6~12胸椎の横突起
- 頸 〃 :第1~6 〃
- 頭 〃 :第3頚椎~第6胸椎の 〃
停止
- 胸半棘筋:第6頸椎~第4胸椎の棘突起
- 頸 〃 :第2~7頚椎の 〃
- 頭 〃 :後頭骨の上項線と下項線の間
神経支配
- 脊髄神経の後枝
特徴
⑤短回旋筋 ⑥長回旋筋 ⑦多裂筋
⑧胸半棘筋 ⑨頸半棘筋 ⑩頭半棘
作用
筋機能の特徴
- 両側が収縮すると、頚椎・胸椎の伸展に作用する
- 両側が収縮すると、頚椎関節を安定化する
- 片側が収縮すると、頭・頚椎・胸椎の同側側屈と反対側回旋に作用する
筋連結
帽状腱膜
後頭下筋
脊柱起立筋
腰仙筋膜
仙結節靭帯
アキレス腱
足底腱膜
短趾屈筋
野球との接点
慢性腰痛
- 腰部コンパートメント内圧上昇が原因の腰痛がある
- 椎間関節由来の腰痛では、脊髄神経後枝内側枝を介した反射により、同レベルの多裂筋に攣縮が生じる
- 椎間孔を出た腰神経は前枝と後枝に分かれ、後枝はさらに外側枝と内側枝に分かれる。内側枝はその後、椎間関節に分布するとともに多裂筋を支配する。椎間関節における病態は、多裂筋の反射性攣縮を併せて引き起こす可能性が高い。
解剖学を学んでおいた方がよい理由
短・長回旋筋
野球選手のための解剖学シリーズ!
今回は、『短・長回旋筋』について共有していきます。
起始・停止・神経支配
起始
- 短回旋筋:胸椎の横突起
- 長 〃 : 〃
停止
- 短回旋筋:1つ上位の胸椎の棘突起
- 長 〃 :2つ 〃
神経支配
- 脊髄神経の後枝
特徴
⑤短回旋筋 ⑥長回旋筋 ⑦多裂筋
⑧胸半棘筋 ⑨頸半棘筋 ⑩頭半棘
作用
筋機能の特徴
- 両側が収縮すると、胸椎の伸展に作用する
- 片側が収縮すると、胸椎の反対側回旋に作用する
筋連結
帽状腱膜
後頭下筋
脊柱起立筋
腰仙筋膜
仙結節靭帯
アキレス腱
足底腱膜
短趾屈筋
野球との接点
慢性腰痛
- 腰部コンパートメント内圧上昇が原因の腰痛がある
- 椎間関節由来の腰痛では、脊髄神経後枝内側枝を介した反射により、同レベルの多裂筋に攣縮が生じる
- 椎間孔を出た腰神経は前枝と後枝に分かれ、後枝はさらに外側枝と内側枝に分かれる。内側枝はその後、椎間関節に分布するとともに多裂筋を支配する。椎間関節における病態は、多裂筋の反射性攣縮を併せて引き起こす可能性が高い。
解剖学を学んでおいた方がよい理由
肋骨挙筋
野球選手のための解剖学シリーズ!
今回は『肋骨挙筋』について共有していきます。
起始・停止・神経支配
起始
- 長肋骨挙筋:第7頚椎および第1~11胸椎の横突起
- 短 〃 : 〃
停止
- 長肋骨挙筋:2つ下位の肋骨の肋骨角
- 短 〃 :直下の肋骨の肋骨角
神経支配
- 脊髄神経の後枝と前枝
特徴
⑦頸板状筋 ⑧頭板状筋 ⑨腰内側横突間筋 ⑩腰外側横突間筋
⑪頸後横突間筋 ⑫短肋骨挙筋 ⑬長肋骨挙筋
作用
筋機能の特徴
- 両側が収縮すると、胸椎の伸展に作用する
- 片側が収縮すると、胸椎の同側側屈と反対側回旋に作用する
筋連結
帽状腱膜
後頭下筋
脊柱起立筋
腰仙筋膜
仙結節靭帯
アキレス腱
足底腱膜
短趾屈筋
野球との接点
慢性腰痛
- 腰部コンパートメント内圧上昇が原因の腰痛がある
- 椎間関節由来の腰痛では、脊髄神経後枝内側枝を介した反射により、同レベルの多裂筋に攣縮が生じる
- 椎間孔を出た腰神経は前枝と後枝に分かれ、後枝はさらに外側枝と内側枝に分かれる。内側枝はその後、椎間関節に分布するとともに多裂筋を支配する。椎間関節における病態は、多裂筋の反射性攣縮を併せて引き起こす可能性が高い。
解剖学を学んでおいた方がよい理由
横突間筋
野球選手のための解剖学シリーズ!
今回は『横突間筋』について共有していきます。
起始・停止・神経支配
起始
- 腰内側横突間筋:すべての隣接する腰椎上位の副突起
- 腰外側 〃 : 〃 の肋骨突起
- 頸後 〃 :第2~7頚椎の隣接する上位の横突起の後結節
- 頸前 〃 : 〃 の前結節
停止
- 腰内側横突間筋:すべての隣接する腰椎下位の乳頭突起
- 腰外側 〃 : 〃 の肋骨突起
- 頸後 〃 :第2~7頚椎の隣接する下位の横突起の後結節
- 頸前 〃 : 〃 の前結節
神経支配
- 脊髄神経の後枝(腰内側横突間筋、頸後横突間筋)
- 〃 の前枝(腰外側横突間筋、頸前横突間筋)
特徴
⑦頸板状筋 ⑧頭板状筋 ⑨腰内側横突間筋 ⑩腰外側横突間筋
⑪頸後横突間筋 ⑫長肋骨挙筋 ⑬短肋骨挙筋
作用
筋機能の特徴
- 両側が収縮すると、頚椎と腰椎を安定化し、伸展に作用する
- 片側が収縮すると、頚椎と腰椎の同側側屈に作用する
筋連結
帽状腱膜
後頭下筋
脊柱起立筋
腰仙筋膜
仙結節靭帯
アキレス腱
足底腱膜
短趾屈筋
野球との接点
慢性腰痛
- 腰部コンパートメント内圧上昇が原因の腰痛がある
- 椎間関節由来の腰痛では、脊髄神経後枝内側枝を介した反射により、同レベルの多裂筋に攣縮が生じる
- 椎間孔を出た腰神経は前枝と後枝に分かれ、後枝はさらに外側枝と内側枝に分かれる。内側枝はその後、椎間関節に分布するとともに多裂筋を支配する。椎間関節における病態は、多裂筋の反射性攣縮を併せて引き起こす可能性が高い。
解剖学を学んでおいた方がよい理由
板状筋
野球選手のための解剖学シリーズ!
今回は『板状筋』について共有していきます。
起始・停止・神経支配
起始
停止
- 頸板状筋:第1~2頚椎の横突起
- 頭 〃 :上項線の外側部、乳様突起
神経支配
- 第1~6頸神経の各後枝の外側枝
特徴
⑦頸板状筋 ⑧頭板状筋 ⑨腰内側横突間筋 ⑩腰外側横突間筋
⑪頸後横突間筋 ⑫長肋骨挙筋 ⑬短肋骨挙筋
作用
筋機能の特徴
- 両側が収縮すると、頚椎の伸展に作用する
- 片側が収縮すると、頚椎の同側側屈と回旋に作用する
筋連結
帽状腱膜
後頭下筋
脊柱起立筋
腰仙筋膜
仙結節靭帯
アキレス腱
足底腱膜
短趾屈筋
野球との接点
慢性腰痛
- 腰部コンパートメント内圧上昇が原因の腰痛がある
- 椎間関節由来の腰痛では、脊髄神経後枝内側枝を介した反射により、同レベルの多裂筋に攣縮が生じる
- 椎間孔を出た腰神経は前枝と後枝に分かれ、後枝はさらに外側枝と内側枝に分かれる。内側枝はその後、椎間関節に分布するとともに多裂筋を支配する。椎間関節における病態は、多裂筋の反射性攣縮を併せて引き起こす可能性が高い。
解剖学を学んでおいた方がよい理由
胸腰筋膜 起始停止・筋連結・走行・上肢下肢腹部との連続性・腰痛
胸腰筋膜とは?
- 胸腰筋膜は、深筋膜に属する
- 深筋膜は、交織密性結合組織であり、一方向だけではなく多方向からの張力に対して適応性がある
- 上方では前鋸筋前方を通過し、頸背部の深頸筋膜の浅層と連続している
- 胸部では胸腰筋膜は脊柱の伸筋群を覆う薄い線維性膜となっており、脊柱と上肢を結ぶ筋と脊柱の伸筋群を分けている
- 内側では胸椎の棘突起に付着している
- 外側では肋骨角に付着している
- 腰部では3層構造となっている
- 後葉は腰椎と仙椎の棘突起および、棘上靭帯に付着している
- 中葉は腰椎横突起の先端と、横突間靭帯に付着し、下部は腸骨稜に、上部は第12肋骨の下縁と腰肋靭帯に付着している
- 前葉は腰方形筋を包み、内側は大腰筋の外側部の後ろで腰椎横突起の前面に付着し、下部は腸腰靭帯とそれに隣接する腸骨稜に、丈夫では外側弓状靭帯を形成している
- 後葉と中葉は合わさって脊柱起立筋の外側縁で強い縫線を形づくっている
- 腰方形筋の外側縁では前葉と合わさって腹横筋の起始腱膜を形成している
- 仙骨のレベルでは後葉は後上腸骨棘と腸骨稜後部に付着し、その深部の脊柱起立筋の腱膜と融合している
- 腹壁の筋群との連続性と関連し、腹筋群を引き上げるのに重要な役割を担っていると思われる
- 胸腰筋膜の伸張は広背筋、大殿筋、ハムストリングスの作用に影響される
第3腰椎の高さの体幹後壁の横断面
- 胸腰筋膜には浅葉、中葉、深葉があり、腰部では固有背筋の外側で両葉がつながっている
- 頸部の背面では、胸腰筋膜の浅葉が項筋膜深葉に移行し、頸筋膜の椎前葉と連続している
胸腰筋膜の走行
- 頸の背面では、胸腰筋膜が項筋膜の深葉と連続している
- 胸腰筋膜の深葉は、内腹斜筋と腹横筋の起始となっている
胸腰筋膜の三次元的連続性
下肢との連続性
- 後葉は胸腰椎と骨盤および下肢の間を結び付け、力を伝達する役割が強調されている
- 後葉は身体の中でも最も大きな広背筋と大殿筋を結んでいる
- 胸腰筋膜後葉は大殿筋の起始部となっており、大殿筋は下部腰椎の棘突起から仙骨および尾骨の背面、腸骨稜後縁と坐骨結節を結ぶ仙結節靭帯、および後殿筋線より後ろの腸骨外側面を起始としており、大殿筋と中殿筋を覆う深筋膜である殿筋膜と連続する
- 殿筋膜は下方では大腿の筋群を包む大腿筋膜と連続している
- さらに大殿筋は、大腿筋膜外側部の肥厚部である腸脛靭帯に付着を持っている
- 腸脛靭帯は外側筋間中隔を介して、大腿骨の下部と広い範囲で付着を持つとともに、膝関節を超えて脛骨の上端に付着することから、大腿および下腿とも連続性を持つことになる
上肢との連続性
- 胸腰筋膜を起始とする広背筋は、上腕骨の小結節稜に停止を持つことから、後葉は一側の上肢と対側の下肢の動きを調和させる機能を持っている
腹部との連続性
- 中葉は外腹斜筋、腹横筋と内腹斜筋を腰椎横突起に付着させる強靭な構造を持っている
- 隣り合う腰椎間ではアーチ状を呈している
- 外腹斜筋、腹横筋および内腹斜筋は側副壁を形成する筋で、これらの筋の停止腱膜は前方では腹直筋を包む腹直筋鞘となり、前腹壁の正中部で左右が結合し、白線を形成している
- 下端では外腹斜筋腱膜は上前腸骨棘から恥骨結合に張る鼠径靭帯となっている
- 鼠径靭帯は下方では大腿の筋群を包む大腿筋膜に連続している
腰痛との関連
- Langevinらは、慢性的な腰背部痛を有する患者を超音波で検査し、胸腰筋膜の厚みが優位に増していることを見出した
- 胸腰筋膜のせん断ひずみが最大20%低下していることを報告している
- 彼らは、異常な結合組織の構造が腰背部痛の素因を作っているか、あるいは慢性の腰背部痛が原因で起こる運動パターンの変化によって異常な結合組織ができると考えている
- これらの考えは、様々な障害によって起こる胸腰筋膜の重要な変化は線維化や癒着であり、これが隣接する結合組織の動きを制限し、これに引続いて運動が制限されることによる、という考えに基づいている
- 線維化が起こる主要な原因は線維芽細胞の異常な活性化であると考えられている
- 線維芽細胞は細胞外基質を構成するコラーゲンやエラスチンなどのタンパク質を賛成するだけでなく、ラミ人やフィブイロネクチンなどの細胞接着に関するタンパク質を作り出す
- 線維芽細胞の働きはこれだけでなく、細胞外基質の線維、すなわちリモデリングにも関与するため、細胞外基質の分解吸収も行う
- それゆえ、創傷治癒にも関与するし、様々なサイトカインや成長因子を分泌することで炎症や血管新生にも関与する
- 強い力を伴う反復運動過多は、筋膜を含む運動器系を障害するリスクファクターとなるが、適度な運動や機械的な力はリモデリングを促すことで健康な運動奇形を保つことはよく知られている
- 軽い刺激は線維芽細胞に働いて抗炎症作用があるが、強い刺激は反対に炎症を引き起こす
解剖学を学んでおいた方がよい理由
参考文献
腰背部痛における胸腰筋膜の関与 (Journal of Comprehensive Welfare Sciences vol.10 (2019) 由留木裕子ら)