下腿・足部の疲労骨折

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疲労骨折の概要

  • 疲労骨折はどのような競技でもオーバーユースにより生じ得る

 

  • 脛骨が一番多く約50%を占め、次いで大腿骨と中足骨が多く、この3部位で約85%を占める

  • 発症年齢は男女とも12〜13歳であり、16〜17歳にピークを迎える

  • 疲労骨折はX線分類で骨形成型、骨吸収型、骨硬化型の3型に分類される

 

骨形成型

  • 全体の82%を占め、皮質骨の亀裂骨折に対する骨膜反応像がみられ、旺盛な仮骨形成により治癒する

 

  • 脛骨疾走型、腓骨・中足骨・大腿骨の疲労骨折が骨形成型にあたる

 

骨吸収型

  • 全体の15%を占める

 

  • 伸張ストレスにより骨吸収が生じるため仮骨形成が力強さに欠け、病理学的には治癒に対する生体反応が乏しいとされている

 

  • そのため、難治性であり、早期競技復帰のためには手術適応も考慮する必要がある

 

  • 脛骨跳躍型、Jones骨折、舟状骨骨折、足関節内かや第2・4中足骨基部などの疲労骨折が骨吸収型にあたる


骨硬化型

  • 全体の3%を占め、海面骨の治癒反応による骨硬化像が特徴的である

 

  • 脛骨内顆、踵骨、仙骨の骨折が骨硬化型にあたる

 

下腿・足部の疲労骨折のメカニズム

  • 荷重負荷やトレーニング刺激は骨の成長には本来不可欠な要素であり、骨に対する刺激が骨の自己修復能力(リモデリリング能力)範囲内であれば、むしろ骨には好影響である
 
  • しかし、骨の微細損傷がリモデリング能力を超えて蓄積されると疲労骨折に至る

 

  • 蓄積する機序には、微細損傷の発生増加か修復能力低下のいずれか、あるいは双方が関与し、蓄積量は負荷の大きさと回数に依存する

 

  • 力学的負荷への骨の耐性については、圧縮には強いとされている

 

  • 一方で、捻りに対して最も弱く、次いで剪断、伸張、曲げの順になる
 
  • 疲労骨折の発生要因のうち、骨にかかる負荷を変化させる要因として、バイオメカニカル要因、トレーニング要因、骨格筋要因、路面要因、靴やインソール形態の要因がある
 
  • バイオメカニカル要因には、床反力の量や割合の増大、体節の衝撃や加速量、マルアライメント、不適切な動作が含まれる
 
  • トレーニング要因には、トレーニングの持続時間や頻度、ランニング強度やスピードが含まれる
 
  • 骨格筋要因には筋力や筋持久力が含まれる

 

脛骨疲労骨折

  • 脛骨疲労骨折は、脛骨前面から発生する跳躍型、後方および後内方から発生する疾走型に分類される
 
  • 骨吸収型の跳躍型は難治性であり、治療経過が長く、再発も多いため、早期復帰を望むアスリートには髄内釘固定術を行うことがある
 
  • 脛骨疲労骨折既往者のマルアライメントの特徴として、扁平足、脚長差、65°以上の股関節外旋可動域、膝関節外反アライメントなどが挙げられる
 
  • 脛骨疲労骨折既往の女子長距離選手のランニング動作について、立脚期間中の股関節内転角度、膝関節内旋角度、後足部外反角度の各最大値が、既往のない選手に比べて大きい
 
  • 後足部外反角度の増加は、拮抗筋である後脛骨筋の早期の疲労を来す
 
  • 後脛骨筋は脛骨内側にかかる伸張ストレスを軽減させる作用を有するため、後脛骨筋の機能低下は結果的に脛骨後内側部の伸張ストレス増大につながる
 
  • 跳躍型の発生には脛骨前面中央部の軽度凸形態も関与しており、ランニングのストップ動作やジャンプ動作により脛骨前面に伸張ストレスが生じると考えられる

 

腓骨疲労骨折

  • 腓骨疲労骨折は近位1/3と遠位1/3が好発部位である
 
  • 腓骨には脛骨の約1/6しか荷重がかからないため、骨折は荷重負荷によるものでなく、筋収縮による撓みの影響が大きいと考えられる
 
  • 腓骨近位1/3は骨間膜上端であり、かつ足趾屈筋や下腿屈筋の起始部であることから、特にヒラメ筋が着地やランニング接地時に強く収縮することが同部位への応力集中の一因と考えられる
 
  • 遠位1/3については形態的に近位の厚い骨皮質が遠位にかけて薄くなり、紡錘状に広がるため、強度の変化が生じやすい部位とされている

 

Jones骨折

  • 第5中足骨骨折は骨幹端に発生する横骨折である

 

  • 外傷で発生することは少なく、足部外側荷重のスポーツ動作の繰り返しにより発症すると考えられている

 

  • Jones骨折では第5中足骨の外側、底側に疲労骨折が起こるため、内転・背屈方向へのストレスが生じていると考えられる

 

  • 第5中足骨は、第4中足骨や立方骨との間に底側中間靭帯や底側足根中足靭帯によって強固に結合されており、ジャンプ動作やステップ動作の反復ストレスによる応力を受けやすい

 

  • 第5中足骨は血液供給に乏しい

 

  • 基部は短腓骨筋腱や第3腓骨筋腱の付着部が近く、常に牽引力が働く

 

  • 内側は第4中足骨と関節面を形成しているため、一度骨折すると骨癒合が得られにくい

 

  • したがって、普段の生活でもストレスを受け、保存療法では骨癒合が得られにくく、早期に復帰を目指すアスリートの場合は手術療法を選択することが多い

 

参考文献

下腿・足部の疲労骨折の理学療法における臨床推論(理学療法 33巻9号 2016年9月 田村耕一郎)