尺側手根屈筋
野球選手のための解剖学シリーズ!
今回は『尺側手根屈筋』について共有していきます!
起始・停止・神経支配
起始
- 上腕骨内側上顆
- 肘頭の内側面から尺骨の後面近位2/3
停止
- 豆状骨を介し、小趾の中手骨底掌側
- 有鉤骨鉤
神経支配
- 尺骨神経(C8~Th1)
特徴
- 手関節掌側では最も尺側に位置する腱で、浅指屈筋腱の尺側に位置する
- 尺側手根屈筋腱のすぐ撓側を尺骨動脈と尺骨神経が走行している
- 尺側手根屈筋は前腕の屈筋群のなかで、唯一尺骨神経単独で支配される
①円回内筋 ②浅指屈筋 ③撓側手根屈筋
④尺側手根屈筋 ⑤長掌筋
作用
筋機能の特徴
- 手関節の掌屈と尺屈に作用する
- 肘関節の屈曲に補助的に作用する
- 豆状骨より起始する小指外転筋の固定筋としても作用する(豆状骨は支持組織がルーズで静的安定性に欠ける。そのため、小指外転筋はその収縮力を有効に作用させるためには土台である豆状骨の安定化が不可欠である。尺側手根屈筋はこの豆状骨の安定化に寄与し、小指外転筋の機能を高めている)
筋連結
大胸筋・広背筋 ↔ 内側筋間中隔 ↔ 前腕屈筋群 ↔ 手掌面の筋群
野球との接点
内側型投球障害肘
- 投球障害肘でもっと多い内側型は、加速期における過度な外反負荷が原因で生じる
- 内側型投球障害肘では尺側手根屈筋に痙攣や圧痛を呈することは比較的少ない
- 重症例では尺側手根屈筋に強い症状を呈する場合がある
- このような症例では小指に痺れを訴えるケースも散見される
肘部管症候群
- 尺側手根屈筋は肘部管を構成するひとつの要素であり、同部での尺骨神経の絞扼の原因となる場合がある
- 肘部管症候群では尺側手根屈筋は麻痺する