バッティング バットの動き

f:id:sakuraiku:20210815113350p:plain



 
                       

 

 

 

 

振り出しからインパクトまでのバットの動き

バットの動きをつくってから振り始める

  • スイング開始でのバットの動きを観察すると、2つのパターンに大別される

 

  • 1つは、振り出しの際に肩の後ろで小さな回転をともなって出てくるパターン

 

  • もう1つは、動き始めるとすぐにバットの重心が下へ動き出すパターンである

 

  • 静止させたままのバットを振り出すことには無理があるため、何らかのきっかけを使ってバットの動きをつくってから振り始める

 

  • 前者では、バットを加速する時間が長くなるのでバットのスピードは出しやすいが、いろいろな投球に対応するのは難しいかもしれない

 

  • 後者のように余分な動きを少なくすればきっかけを得難いので振り始めるためには工夫がなされるだろうともいう

 

  • あるキューバの打者では、振り始める前に一旦ホームベース方向に傾けられたと見られるバットヘッドが元に戻る過程でバットが振り出されていた

 

  • いわゆる「バットのヘッドを入れる」という動きである

 

  • この前後へのわずかなコック(ピクッという動き)もその工夫の1つの例という

 

  • 指導ではバットの振り出しで刻苦するのは悪いとされているが、それは大きくコックすると身体やバットの動きがバラついてしまうためだし、その間に速球に差し込まれてしまうためである

 

  • 動き出しのきっかけをつくるのであれば、わずかなコックは問題ないのだろう

 

曲面を描くようにバットは振り下ろす

  • その後の動きを観察すると、局面を描くようにバットは振り下ろされてくる

 

  • 「インパクトまで最短距離でバットを運べ」とよく指導されるが、最短距離で、つまり直線的にバットは動いていない

 

  • 直線的にバットを動かすと、グリップを引き抜くようになってしまって、ヘッドは走らない

 

  • 引き抜いてからヘッドを走らすために回すのでは時間もかかってしまう

 

  • 指導で言われる「最短距離」とは、「できるだけ短い時間でバットを運べ」という意味である

 

  • その最短時間を与えるバットの軌道は、サイクロイド曲線になる、という

 

  • サイクロイド曲線とは、滑らずに直線上を回転する円の円周上の定点によって描かれる曲線である

 

  • 振り出しの位置とインパクト位置を直線でつなぎ、その上を3次元的に回転する円周上の定点をバットの重心がたどれば良い、ということである

 

  • 「螺旋が徐々にほぐれるように」とイメージしてもそう間違いではないだろう

 

  • その結果は、画像でのバットの動きに似ている

 

f:id:sakuraiku:20210816054728p:plain

日本人選手とキューバ人選手が各方向へ長打を打った際のインパクトまでのスイング起動 (画像引用:科学する野球 バッティング&ベースランニング)  

 

 

  • その振り出しは、ここでのキューバ選手のバットの動きに近いが、キューバ選手は振り出した後にヘッドが下がって遠回りしているように見える

 

  • 一方、日本選手のバットの動きは、ヘッドこそ下がらないが、振り出して少し遠回りしているようにみえる

 

バットは少しアッパースイングにする

  • こうした違いはあるにせよ、遠くに飛ばすためには、インパクト直前で投球されたボールとバットヘッドの軌道が横から見て平行になるようなスイング角度でインパクトすることが重要である

 

  • 投球されたボールは、少し落ちてきているので、バットは少しアッパースイングにしろということである

 

  • 打球に角度を出すためには、ボール中心の2.6㎝下を、上方へ10°のアッパースイングでインパクトすることが計算上では最も打球を遠くに飛ばすことができる

 

  • こうしてみると、「ボールを上から叩け」という指導は、振り出しでバットヘッドが下がることを戒める言葉といえよう

 

ボールと打撃面が直角に当たるように押し手を使う

  • 一方、水平面でみて、投球されたボールをバットでこすると打球はスライスして飛ばない

 

  • 良い当たりだなと思っても外野で打球が失速するのは経験するところである

 

  • こすれてスライスする原因には以下の3つが挙げられる
  1. 投球されたボールの動き
  2. スイングするバットの動き
  3. インパクトでのバットの動き

 

  • 外角へ逃げるボールであればスライスするし、そもそも回転しているバットの動きはスライスを生む

 

  • 円運動しているということは、バットはグリップの向きに加速しているからである

 

  • そして、インパクトでバットヘッドがまだ捕手側に向いていればスライスする

 

  • こうした原因を取り除くには、投球されたボールとバットの打撃面が直角に当たるように押し手(右打者の右手)を使ってスイングすることが必要である

 

  • 指導では、「引っかけるな」とよく言われるが、引っかけるぐらいの意識でスイングしないと打球はスライスしてしまう

 

  • プロ野球をみていると、ホームランを打った時にはバットのグリップよりもヘッドのほうが前に出ているように見えることがある

 

インパクト近くでバットを並進させる利点もある

  • 日本人の大学選手、熟練者と未熟練者でバットの動きを比べてみた

 

f:id:sakuraiku:20210816060540p:plain

スイング中の重心並進速度と回転速度

(画像引用:科学する野球 バッティング&ベースランニング)  

 

 

  • バットの動きは並進運動と回転運動に分けて示す

 

  • 動きが分かりやすくなるし、動きの原因を特定しやすくなるからである

 

  • 横軸は時間で左から右に流れていき、踏み出し脚着地時とインパクト時の上から見た打撃姿勢が描かれている

 

  • 一方、縦軸は水平面内でみたばっとの並進速度と回転速度がとってある

 

  • 熟練者と未熟練者でバットの回転速度に違いはなかったが、並進速度には違いがあった

 

  • 未熟練者は踏み出し脚を着地した後、並進運動を徐々に高めていたが、熟練者は並進運動を急増させてインパクト時には未熟練者の速度を凌いでいた

 

  • こうすれば正確に当てる確率は高くなる

 

  • 押し腕がよく効いていたということである

 

 

参考文献

科学する野球 バッティング&ベースランニング (ベースボールマガジン 2016年12月25日 平野裕一)