腰椎椎間板と椎間関節

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椎間板

髄核

 

  • 髄核は粘液物質からなる半流動体であり、組織学的にはいくつかの軟骨細胞と、不規則に並ぶコラーゲン線維からなる

 

  • 髄核に圧が加わると変形するが、容積は変化しない

 

  • 髄核は主として体重支持に関与し、負荷を伝達し、線維輪を支持する働きがある 

 

線維輪

  • 線維輪は規則正しく配列されたコラーゲン線維からなる

 

  • コラーゲン線維は層板を形成し、10~20枚の層板が髄核を包むように同心円状に配置されている

 

  • コラーゲン線維の方向は層板毎に異なり、各層板のコラーゲン線維は網目状に交差するように配列されている

 

  • 線維輪は靭帯のように作用し、運動を制限し、関節を安定させる働きがある

 

線維輪の線維方向と運動

  • 各層板を形成するコラーゲン線維は垂直線に対して約65°の角度をなす

 

  • この角度は、あらゆる方向の動きに抵抗できるように計算されている

 

  • この角度が65°よりも大きい場合は、理解や屈曲に対する制限力は増加するが、滑走や回旋に対する抵抗力は低下する

 

離開
  • 腰椎牽引のように椎間板に長軸方向の負荷(離開)が加わると、線維輪のコラーゲン線維の付着部が離れ、すべてのコラーゲン線維が等しく緊張し、離開を制限する

 

滑走
  • 上位椎骨が下位椎骨上を平行移動する椎体間関節の滑走運動では、線維輪のコラーゲン線維の走行および位置により作用が異なる

 

  • 前方滑走を例によると、側方に位置するコラーゲン線維のうち、滑走方向と同じ方向に走行するコラーゲン線維は緊張し、滑走方向とは異なる方向に走行するコラーゲン線維は弛緩する

 

  • コラーゲン線維の方向が層板毎に逆方向となるため、側方に位置するコラーゲン線維の1/2が緊張し、運動を制限する

 

転がり運動
  • 屈曲のような転がり運動では、椎体の一端が低くなり、他端が高くなる

 

  • その結果、低くなった方の線維輪が圧迫され、高くなった方の線維輪が伸張される

 

  • 同時に、椎体が傾斜した側の髄核が圧迫される

 

  • 例えば、屈曲運動に伴う椎体の傾斜により、主として髄核の前方部分が圧迫される

 

  • 髄核はこの圧迫から逃れるために後方に移動する

 

  • この時、椎間板に負荷が加わると椎間板圧が上昇し、この圧が椎体の後方離開によりすでに伸張された後方の線維輪に作用する

 

  • このような伸張と圧迫の組み合わせに抵抗できない場合は、髄核の圧により、残存している層板が断裂し、髄核の膨隆やヘルニアが起こる

 

回旋
  • 線維輪のコラーゲン線維の方向が交互に異なるため、運動方向と同じ方向の線維のみの付着部が離れ、運動方向とは逆方向に走行する線維の付着部は近づく

 

  • したがって、一側の回旋に対して、前コラーゲン線維の1/2の線維が抵抗し、残りの1/2の線維は弛緩する

 

腰椎椎間関節

  • 脊柱の椎間関節は、上位椎骨の下関節突起と下位椎骨の上関節突起で形成される滑膜関節である

 

  • 四肢の滑膜関節のように、関節面は関節軟骨(硝子軟骨)で覆われ、関節軟骨の縁に滑膜が付着している

 

  • 滑膜は関節包に覆われている

 

  • 関節包は関節軟骨から離れた関節突起に付着する

 

  • 腰椎椎間関節の関節面を後方から見ると、矢状面に位置し、その平坦な形状から平面関節に分類される

 

  • 腰椎椎間関節の横断面の形状はさまざまであり、関節面がカーブしているのもや、上関節面がC形やJ形をしているものがある

 

  • 横断面における腰椎椎間関節の関節面の形状は、L1-2、L4-5、L5-S1間は比較的平坦である

 

  • L2-3、L3-4間はカーブしている関節が多い

 

横断面における関節面の形状と機能

  • 腰椎椎間関節の横断面の形状は、椎間関節の前方変位や回旋の可動性に影響を与える

 

  • 椎間関節の関節面の方向は、平坦な関節では関節面に平行な線が矢状面となす角度で表し、関節面がカーブしている関節では関節腔の前内側端と後外側端を通る線が矢状面となす角度で表す

 

  • 上関節面が前額面に位置する関節では、関節面が後方を向くため、前方変位に対する制限力が最大となるが、回旋時に対する制限力は最小となる

 

  • これに対して、上関節面が矢状面に位置する関節では、回旋に対する制限力が最大となるが、前方変位に対する制限力は最小となる

 

  • 上関節面が前額面と矢状面の中間に位置する関節では、上関節面が後内側を向き、前方変位と回旋の両者を制限することができる

 

  • 上位椎骨が前方へ動こうとすると、その椎骨の下関節突起が下位椎骨の上関節面に衝突し、前方への動きが制限される

 

  • また、上位椎骨が半時計方向に回旋しようとすると、上位椎骨の右側の下関節突起が椎骨の右側の上関節面と衝突し、それ以上の回旋が制限される

 

  • 関節面がカーブしている関節では、後方を向いている上関節面の内側端が前方変位を制限する

 

  • 上位椎骨が前方に動こうとすると、上位椎骨の下関節面が下位椎骨の上関節面の前内側部に衝突する

 

  • 後方に向く関節面の面積が大きいC形関節面は、後方を向く関節面の面積が小さいJ形関節面よりも制限力が大きい

 

  • 回旋に対しては、関節面全体が接触するため、C形とJ形の両者が回旋を制限する

 

  • 横断面における関節面の角度は、上位腰椎よりも下位腰椎の方が大きく、下位腰椎では前方への変位に対する制限力が大きくなっている

 

  • また、L3-4、L4-5、L5-S1椎間関節では45°の角度をなす関節が多く、前方滑走と回旋の両者を制限している

 

関節軟骨

  • 上下の関節突起を覆っている関節軟骨は、四肢関節の関節軟骨と全く同じである

 

  • 正常な関節では、関節面の中心部が最も厚く、約2㎜程度である

 

  • 組織学的には4層(表層、中間層、放射層、石灰化層)からなる

 

関節包

  • 腰椎椎間関節の関節包は、上位椎骨の下関節突起から、下位椎骨の上関節突起に向かって横断方向に走行するコラーゲン線維からなる

 

  • 関節包は2層からなる

 

  • 外側層は、密性の平行に配列するコラーゲン線維からなり、内側層は不規則性に走行する弾性線維からなる

 

  • 関節包は背側で厚く、多裂筋の深部線維により補強されている

 

  • 関節の上部と下部では、骨軟骨移行部から離れたところに関節包が付着し、上下の関節突起の上端と下端に、関節包下ポケットという空間を形成する

 

  • 関節包の上部と下部には小さな孔があり、脂肪が関節包内から関節包外へ移動できる

 

  • 腰椎椎間関節の上方、下方、後方はこのような線維性の関節包で包まれるが、前方は黄色靭帯に置換される

 

  • 関節包の最外側の線維は関節軟骨の縁から2㎜のところに付着するが、いくつかの最深部の線維は関節軟骨の縁に付着する

 

滑膜

  • 四肢の滑膜関節にみられる滑膜と同様であり、特別な特徴はない

 

  • 椎間関節の滑膜は関節軟骨の遠位全縁に付着し、関節を横断し、対側の関節軟骨の縁に付着する

 

  • 滑膜は線維性の関節包と黄色靭帯の深層を覆うが、一部は反転して、椎間関節の種々の関節内組織を包む

 

関節内組織

脂肪
  • 脂肪は主として関節の上部と下部の関節包の下に位置し、関節包内の空間を満たす

 

  • 脂肪の外側は関節包に覆われ、内側は滑膜で覆われる

 

  • 脂肪は、関節包にある孔を通って関節内外を移動することができる

 

  • 関節包外に出た脂肪は、上方では椎間板の外側で椎間孔の背側に位置し、下方では椎弓上端の背側に位置し、骨とその上方の多裂筋の間に位置する

 

半月様組織

1.結合組織縁

  • 単純かつ最小の組織であり、関節包の内面が楔状に肥厚したものであり、空間を埋める役割をしているものと考えられる

 

  • 関節が衝突する時の接触面積を大きくし、荷重を伝達する役割を果たす

 

 

2.脂肪組織パッド

  • 主として関節の上腹側と下背側にあり、血管と脂肪を取り囲む滑膜ヒダからなる

 

  • 2㎜ほど関節内に突き出ている

 

 

3.半月組織

  • 最も大きな半月組織であり、上下の関節包の内面から突き出す線維脂肪性半月である

 

  • これらは滑膜のヒダで構成され、血管、コラーゲン、脂肪を囲んでいる

 

  • 脂肪は主にその構造の底部にあり、ここで関節内脂肪に続き、関節包の上下の孔を通って、関節外の脂肪と交通する

 

 

参考文献

腰椎椎間板および腰椎椎間関節の機能解剖学的理解の要点 (理学療法 28巻5号 2011年5月 村田伸)