ピッチング ボールリリース

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指の反動動作

手首のスピードが最大の時に指を曲げて長く保つ

 

  • 指の関節には、根元から中手指節関節(MP)、近位指節関節(PIP)、遠位指節関節(DIP)がある

 

 

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手指の関節  (画像引用:科学する野球 ピッチング&フィールディング)   

 

 

  • 投球動作におけるこれら関節の動きとボールスピードとの関係を分析した報告がある

 

  •  手首のスピードが最大になってからリリースまでボールスピードは増加した

 

  • その間のMP関節のスピードが最大になって以降、その増加には個人差がみられた

 

  • 増加が大きかった投手は、手首のスピードが最大の時にPIP関節がより曲がっていてリリースに向かって伸びるが、最後に再び曲がったという

 

  • つまり、ボールによって伸ばされてから自分で曲げるという反動動作をPIP関節で使っていた、ということである

 

  • さらに、そうした投手はMP関節のスピードが最大になるまではボールを直角に押す力が大きかった

 

  • しかし、それ以降はその力が急に減ってボールの進む方向へ押す力が増加したという

 

  • ボールスピードが増加するとは、投げる方向にボールを押しているということなので、MP関節のスピードが最大になるまでは手指と直角の方向が投げる方向になっていて、それが最後にはボールの進む方向が投げる方向になっていた、ということである

 

  • 以上から、手首のスピードが最大の時に指を曲げて、それを長く保つことがボールスピードの増加には重要とまとめられている

 

スピンを速くしてマグナス力を大きくする

スピン量の違いとボールの軌道
  • 手や指はボールスピードを最終的に増加させる役割を持つが、もうひとつにはボールスピンを変える役割が考えられる

 

  • 普段のフリーバッティングでは野手が投げることが多く、打者はそのボールスピンに慣れている

 

  • スピンを変えるのは、慣れていないボール軌道にして打者を討ち取るためである

 

  •  直球の場合、スピンを増やして「伸びるボール」、「浮き上がるボール」にしたい

 

  • 実際には伸びたり、浮き上がったりはしないのだが、バックスピンを多くすることで空気からの浮き上がる力(揚力)をより大きくボールに作用させて、野手が投げるボールより落ち方を少なくする

 

  • 野手の投げるボールスピンに慣れている打者は、落ち方が少ないのでボールの下を振ってポップフライや空振りになる

 

  • 一方、バックスピンを減らすためには人差し指と中指の間を広げてスプリットボール、さらに広げてフォークボールにすることで、直球よりも落ち方が大きくなる

 

  • 直球と思ってスイングするとボールの上を振ってボテボテのゴロや空振りになる

 

マグナス力
  • 揚力は画像に示した原理で生じる

 

  • 右から左にボールが進んでいき、バックスピンがかかっていると、ボールの上側ではボールの動きによる空気の流れとスピンによって引きずられるボール表面近くの空気の流れとが同じ右向きになるので、空気の圧力は低くなる

 

  • 一方、下側では両者の空気の流れが逆向きでぶつかるので圧力は高くなる

 

  • このボールの上下での圧力差で、高い方から低い方へ押す力が生じる

 

  • この力を『マグナス力』、ボール軌道のずれを『マグナス効果』と呼ぶ

 

  • バックスピンの場合には、揚力が生じる

 

  • そして、揚力はスピンの速さに比例するので、スピンを速くして揚力を大きくすることでボールの落下を少なくしたい

 

 

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空中を進むスピンボールのまわりの空気の流れ

(画像引用:科学する野球 ピッチング&フィールディング)   

 

ボールスピンを利用して抵抗力を変える

伸びるボールとは?
  • ボールには揚力だけでなく、抵抗力も空気から受ける

 

  • ボールのすぐ近くを通り過ぎた空気がボールの後ろで乱れた流れになり、その結果として、前に比べるとボールの後ろの圧力が低くなるから生じる

 

  • そのおかげで減速するので、初速はどのぐらいで、終速はどのくらいという話になる

 

  • アトランタオリンピックで投球の分析を調査した結果によると、初速の5%を失うという

 

  • また、大学生の投手が直球を投げた場合、終速は初速の92.8%になるという

 

  • 空気の密度が高ければ、空気の流れを妨げるような形であれば、進む向きの面積が大きければ、そしてスピードがあれば抵抗力は大きくなる

 

  • ただし、スピードが速くなると急に抵抗力が半分以下になる領域があって、トップクラスの投手はその領域を使っているはず、という

 

  • 抵抗力によるスピードの減り方が少ない、終速が初速に近くなるということである

 

  • 「伸びるボール」と言われるのは、この領域のボールということになるだろう

 

ジャイロボール
  • 加えて、ボールが回転して空気の流れを妨げたり促したりすれば抵抗力は変化する

 

  • ジャイロボールは弾丸あるいはスクリューのような回転なので、空気を蹴散らすように進んで抵抗力が減る

 

  • つまり、初速と終速の差が小さくなる

 

  • 縦スライダーはこの向きの回転になる

 

  • そして、時速145㎞以上であれば4シーム回転、それ以下であれば2シーム回転のほうが抵抗力は小さい、つまりスピードの落ちが小さいという

 

ボールの握り方を変えてスピン量を増やす

  • スピンを減らすための握りのことを考えれば、スピンを増やすためには人差し指と中指の間を狭くすれば良いことになる

 

  • 狭くすると握りが安定しなくなるのでボールコントロールは難しくなるかもしれないが、掌から指先までの距離は長くなるので、ボールを押す力を長い距離・長い時間加えられる

 

  • ボールを深く握ればボールは手首に近づくので、スナップが良く効かなくなる

 

  • 指でボールを押し難くなるということである

 

  • 浅く握ることでスナップが効いて、スピンを多くするために貢献するはずである

 

  • ただし、スナップを利かすための前腕の筋肉は小さいので、その筋肉による貢献は少ない

 

  • 手指のエネルギーは体幹や肩回りの筋肉で生み出されたエネルギーが転移されてくるのであった

 

  • また、その筋肉による回転力のピークが現れるのは、肘が後ろにしなった頃(肩最大外旋位)で、ボールリリースに向けてはそのトルクが減っていく

 

  • したがって、前腕にある筋肉によるトルクというより、手首の骨と骨の間に働く力(関節力)に由来するものと考えられる

 

 

 

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参考文献

科学する野球 ピッチング&フィールディング (ベースボールマガジン 2016年10月25日 平野裕一)