ピッチング ステップ編②

f:id:sakuraiku:20210705184840p:plain

 

                                

 

 

 

 

脚の踏み出し時の体幹の捩り

肩は開かず体幹の捩りを保ち、その後一気に腰を回す

前額面での動きの特徴
  • 日本人の投手には軸足でDrop and Drive するタイプが多いと思われる

 

  • そして、Drive による体幹の移動を踏み出し脚でしっかり支え、このような脚の働きによって多くの体幹の動きは生み出される

 

  • 時速150㎞台のボールを投げる投手と130㎞台の投手の肩、腰、体幹の捩りを比べてみると、ハイレベルの投手であっても動きが違う

 

 

f:id:sakuraiku:20210706054211p:plain

投手の捻転動作

(画像引用:科学する野球 ピッチング&フィールディング)

 

 

  • 軸脚側を実線、踏み出し脚側を点線で描き、保守側から見た線画で比べる

 

  • 150㎞台のボールを投げる投手は踏み出し脚の着地地点(SFC)では、まだ若干2塁方向に肩が回転している

 

  • 肩を開かずに体幹の捩りが保たれている

 

  • そして、その後一気に腰を回しているのがよくわかる

 

  • ステップする足の位置を調整したり、投げる向きにグラブハンドを保っておいたりするように指導されるのは、この姿勢を保つためである

 

  • 一方、130㎞台ボールを投げる投手はそうなっておらず、少し体幹が後ろに傾きながらオープンステップ気味で肩が開いている

 

  • この後傾と開きは小学生の投手によくみられ、スピードを速くできないどころか、腕に頼ることになるので肩や肘への負担が大きい

 

水平面での動きの特徴
  • 単純に水平面での腰と肩の回転をみると、先に腰が回転し始めて、肩がその腰を追い越す

 

 

f:id:sakuraiku:20210706054339p:plain

投球時の腰と肩の回転

(画像引用:科学する野球 ピッチング&フィールディング) 

 

 

  • 横軸にはボールリリースまでの時間がとってあって、0でリリースである

 

  • 縦軸には投げる方向に対する腰と肩の角度がとってあり、0度が横向き、90度で投げる向き、つまり打者と正対する

 

  • 踏み出し脚の局面から描かれていて、その時にも肩も腰も横向きだが、腰よりも肩を少し後ろ向きに回している

 

  • この投手の場合、30度までしか行かない程度である

 

肩が腰を追い越してボールを前で放す

ボールを身体の前で放す
  • 近鉄バッファローズからメジャーリーグにへ行って活躍した野茂投手は打者に背を向けるほどに腰と肩を回していた

 

  • もちろん脚で回していたがのだが、そこまで回すと捩りを戻すのが難しいし、戻すことと腕の振りとのタイミングを合わせるのも難しくなる

 

  • 野茂投手はうまくできたので、体幹を回す勢いを投球スピードに活かせた

 

  • しかし、本人が語っていたように、難しい技術なので、特に子供には勧められない

 

  • その後、踏み出し脚から腰を回していくので捩りは大きくなって、踏み出した後に最大に捩られる

 

  • 踏み出し脚を着地しているので、腰の回転は遅くなって60度ぐらいの向きで頭打ちになる

 

  • その腰を支えにして肩を急激にスピードアップ、腰を追い越して反対向きに捩られてボールリリースとなる

 

  • 腰は打者に正対していないが、肩は生体の位置よりももっと回して120度ぐらいでリリースである

 

  • 「ボールを前で放せ」と指導されるが、それは両肩を結ぶラインよりも手を前に出せということでなく、この角度を大きくして手を前に出せ、ということである

 

SSC(ストレッチ・ショートニング・サイクル)
  • 捩りによって下胴(腰を含む)から上胴(肩を含む)へ回転させる力を加える準備ができる

 

  • そして、捩りを戻すことでトルクが上胴に働いて、肩はスピードアップする

 

  • これは、筋肉を一度伸ばしてから素早く短くすると大きな力を生むという伸張-短縮(SSC)運動を利用している

 

  • 下胴を回すことで体幹にある筋肉を伸ばし、素早く短くして上胴を回す

 

  • こうして、上胴は大きなエネルギーをもつことになるが、下胴や両脚がそもそも持っていたものではなく、いずれかの関節まわりの仕事によって生じたものであると考えられる

 

  • 軸脚を伸ばす筋肉の下胴への仕事、踏み出し脚で踏ん張る筋肉の下胴への仕事、さらに上胴と下胴とをつなぐ筋肉の上胴への仕事である

 

コアスタビリティー・トレーニングで体幹の安定性向上を図る

投げ方による体幹回転の違い
  • 捻った後、体幹は水平に回転するだけではない

 

  • 前にも倒すので、併せて斜めになる

 

  • 「柔道の背負い投げのように体幹を使え」と指導されることがあるのは、この斜めの意識を植え付けるためである

 

  • 打撃動作の場合はボールがほぼ水平に来るので体幹もほぼ水平に回転させるが、投球動作の場合には自分主体なので、動きにもう少しバラエティが許される

 

  • オーバースロー、サイドスロー、アンダースロー、どれでも脇の角度は90度くらいで違いがなく、体幹の傾きが違う

 

  • 脇の角度は同じでも腕を振る向きは空間的に違うので、この違いに応じた体幹のSSC運動が求められることになる

 

コアスタビリティトレーニング
  • 腰が痛いという野球選手は多く、年代とともにその割合は高くなる

 

  • 踏み出し脚側の腰がつまって痛いとはよく聞く話である

 

  • 投げるでも打つでも、ひとつの向きに軸脚で体幹を移動して踏み出し脚でそれを支ながら回す

 

  • この勢いを受け止めることがひとつの原因であろう

 

  • 逆向きに回すエクササイズを入れることは当然であるが、姿勢を維持する、動きを良くするエクササイズを練習にも組み込みたい

 

  • 体幹の安定性を向上させるためのコアスタビリティートレーニングは、腰部障害の有無に関わらず、今やどのスポーツにも取り入れられている

 

  • 背筋を伸ばして骨盤を前傾させるエクササイズ

 

  • 体幹の深部にある筋肉を活動させて姿勢を安定させるエクササイズ

 

  • 上胴のみを十分に回すエクササイズ

 

  • 脚を使うことで骨盤を含めた体幹を両方向にスイングするエクササイズ

 

 

 

ピッチング ステップ編① を復習したい方はこちら

 

 

 

参考文献

科学する野球 ピッチング&フィールディング (ベースボールマガジン 2016年10月25日 平野裕一)