烏口腕筋の伸張テストと圧痛好発部位
この記事は次のような人におススメ!
烏口腕筋の伸張テストの方法・圧痛部位を知りたい!
機能解剖
- 烏口腕筋と肩甲下筋との間には烏口下滑液包が存在し、両者の摩擦を軽減している
- 肩関節前方部痛を訴える症例では、烏口下滑液包を念頭に置いておく必要がある
- 肩関節伸展位や第2肢位では烏口腕筋が肩甲下筋を前方から抑え込む位置関係となるため、補助的に上腕骨頭の安定化に寄与すると考えられる
- 烏口腕筋の上腕骨に対する作用は以下の通りである
第1肢位
肩関節の屈曲
第2肢位
肩関節の水平屈曲
第3肢位
わずかに肩関節の水平屈曲
臨床的特徴
烏口突起炎
- 烏口突起付近での痛みが骨傷でない場合、烏口突起における付着部炎が考えられる
- 痛みを誘発している組織が、上方に付着する靭帯が関与しているのか、下方に付着する筋肉が関与するのか鑑別が必要である
反復性肩関節脱臼再建術後
圧痛好発部位
- 烏口突起付着部と筋腹中央部の筋皮神経が貫通する付近で確認できることが多い
- 烏口突起下での圧痛も比較的多い
評価方法
- 上腕二頭筋短頭との共同腱の内側部を触診する
- 肩関節を外転位で内旋方向に誘導する
- すると烏口腕筋が緊張するため圧痛を確認する
伸張テスト
- 背臥位で行う
- 肩関節を外転80°、内旋45°とする
- 肩甲骨を固定する
- そこから肩関節を水平伸展させる
- 水平伸展30°まで達しない場合、伸張性低下が示唆される
運動療法
リラクセーション
- 背臥位とする
- 肩関節を外転位から水平伸展と内旋を他動的に加える
- 烏口腕筋の伸張を触診で確認する
- 肩関節の内転・水平屈曲と外旋方向に自動介助運動(5~10%程度の強度)を行う
- 烏口腕筋が収縮するのを触診で確認する
- その筋が動かせる可動範囲にわたり誘導する
- この一連の動作をリズミカルに反復し、筋緊張と圧痛が改善するまで行う
ストレッチング
- 背臥位とする
- 肩関節を外転位から水平伸展と内旋を他動的に加える
- 烏口腕筋がある程度伸張されるのを触診で確認する
- 肩関節の内転・水平屈曲と外旋方向に等尺性収縮(10~20%程度の強度)を行い、筋腱移行部に伸張刺激を加える
- 自動介助運動に切り替えて、その筋が動かせる可動範囲にわたり筋収縮を誘導する
- この一連の動作をリズミカルに反復し、筋緊張と圧痛が改善するまで行う
治療法を選択する基準は?
まずは筋攣縮なのか、筋短縮を評価して見分けます。
筋攣縮と筋短縮の評価法について復習したい方はこちら
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