大胸筋の伸張テストと圧痛好発部位
この記事は次のような人におススメ!
大胸筋の伸張テストの方法・圧痛部位を知りたい!
機能解剖
- 大胸筋は鎖骨部繊維、胸肋部繊維、腹部線維の3つの線維群から構成される
- 鎖骨部繊維は鎖骨内側前面から起始する
- 胸肋部繊維は胸骨、第2~6肋軟骨から起始する
- 腹部線維は腹直筋鞘の前葉から起始する
- 3つの線維は上腕骨大結節稜に停止する
- 各線維群は停止部の手前で交差し、5㎝幅の大結節稜に4層構造を呈して付着する
- そのため、上腕を挙上するにしたがって大胸筋の筋繊維の捩れは解かれ、筋が発揮する力も増強される
- 大胸筋の各肢位における上腕骨に対する作用は以下の通りである
第1肢位
鎖骨部繊維:肩関節の屈曲・内転・内旋、上腕骨の上方偏位
胸肋部繊維:肩関節の内転・内旋
腹部線維 :ほとんど機能せず
第2肢位
鎖骨部繊維:肩関節の水平屈曲
胸肋部繊維:肩関節の水平屈曲・内転・内旋
腹部線維 :肩関節の水平屈曲・内転・内旋
第3肢位
鎖骨部繊維:肩関節の水平屈曲
胸肋部繊維:肩関節の水平屈曲・伸展・内旋
腹部線維 :肩関節の水平屈曲・伸展・内旋
臨床的特徴
随意性肩関節脱臼では、大胸筋の過剰収縮が上腕骨頭の前方脱臼の重要な要因とされている
圧痛好発部位
- 体幹から上肢に移行する各線維が集中する部位で多い
- 同時に筋の硬度も高くなっているため明瞭である
鎖骨部線維の評価方法
- 肩関節軽度外転位で、上肢を伸展方向に誘導する
- すると鎖骨部線維が緊張するため圧痛を確認する
胸肋部繊線維の評価方法
- 肩関節外転位で水平伸展方向に誘導する
- すると胸肋部線維が緊張するため圧痛を確認する
伸張テスト
鎖骨部線維
- 背臥位で行う
- 肩関節40°外転、内外旋中間位とする
- そこから肩関節を伸展させる
- 伸展20°まで達しない場合、鎖骨部線維の伸張性低下が示唆される
胸肋部繊維
- 背臥位で行う
- 肩関節90°外転、内外旋中間位とする
- そこから肩関節を水平伸展させる
- 水平伸展20°まで達しない場合、胸肋部線維の伸張性低下が示唆される
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