不良姿勢による身体への影響

今回は『不良姿勢による体への影響』について共有していきます!

 

 

機械的ストレス

椎間円板の特徴

  • 膠原繊維と線維軟骨からなる外層の線維輪と、中央のゼリー状の髄核からなる
  • 線維輪の膠原繊維の走行は層ごとに交互パターンをなし、剪断力や捻力の方向に対応する膠原繊維のみが緊張し、他の線維は弛緩する

 

 

椎間円板へのストレス

  • 姿勢の変化により腰椎椎間板にかかる負荷は正常な立位姿勢に比べると、体幹を前屈するほど下部腰椎に加わる負荷が増大する
  • これは、前方へ加わる体幹重量を、腰部脊柱起立筋で保持する負荷が増え、両者による荷重が椎間板に加わるためである
  • 体重70~80㎏の人の第3/4腰椎椎間板内圧の変化は、立位を100%とすると、背臥位で25%、立位体幹前傾位で150%、椅子座位体幹前傾位で185%、背臥位からの膝屈曲位からの起き上がりで210%、と体位によって変化する
  • これは胸椎においても同様である
  • 胸椎後弯が増大するほど胸部脊柱起立筋で保持する負荷が増え、中部胸椎に加わる負荷は増大する

 

姿勢矯正をする際の注意点

  • 腰椎屈曲時の変化は5つある
  1. 神経組織圧迫方向への髄核の後方移動
  2. 椎間孔の拡大
  3. 椎間関節から椎間板への負担
  4. 黄色・棘間・棘上・後縦靭帯、椎間関節包と線維輪後縁の張力増大
  5. 線維輪前方部の圧迫

 

  • 腰椎伸展時の変化は5つある
  1. 神経組織から離れる方向への髄核の前方移動
  2. 椎間孔の径の縮小
  3. 椎間板から椎間関節への負担
  4. 後方結合組織と線維輪後縁の張力減少
  5. 線維輪前方部の伸張

 

  • よって、椎間板ヘルニアの場合、腹筋群の強化のため、背臥位からの腰椎屈曲による起き上がり運動は髄核の後方移動を防止できないため実施すべきではない
  • 一方、脊柱管狭窄症の場合、椎間孔径が縮小する腰椎伸展運動は実施すべきではない

 

筋膜の影響

  • 筋のインバランスに加え、静止張力下における筋膜配列に伴うインバランスや、筋の硬さが慢性化した場合の筋膜の高密度化も考慮するならば、筋膜に焦点を絞ったアプローチも必要である

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筋膜の特徴

  • 筋膜とは、筋膜区画で筋を囲み、筋間中隔でそれらを分離し、関節を超えて連続する筋膜配列でそれらを連結して、支帯によってそれらを同期させる線維性結合組織膜である
  • 筋膜は次の5つからなる
  1. 浅筋膜
  2. 深筋膜
  3. 筋外膜
  4. 筋周膜
  5. 筋内膜

 

  • 筋膜は基質の中に波状コラーゲン線維とわずかなエラスチン線維とが存在する
  • ただし、筋内膜だけはコラーゲン線維のみである
  • 筋膜組織は、局所的な緊張の要求によってその組織の配列と密度を適応させる1つの相互接続したネットワークといえる

 

 

姿勢の調整と筋膜の張力

  • 静的姿勢は筋膜配列による筋膜の基底張力によって保持されている
  • 静的立位姿勢では意識的な姿勢制御は要求されず、筋膜の張力が立位での身体の保持に役立つ


  • 姿勢のアライメント不良で動揺が増加し、立位の基底面の周辺に重心が偏位すると、筋膜の張力が筋膜単位の筋紡錘の刺激を引き起こし、適切な筋収縮が引き起こされる

 

過用による筋膜の変化

  • 正常な筋外膜であれば、筋膜と筋の間のインターフェース構造はヒアルロン酸内張りの保持を含めて保存されている
  • しかし、筋外膜が破壊されると、インターフェース構造は消し去られてしまう
  • 過用などでヒアルロン酸が凝集すると、筋膜の粘弾性が増大し、筋膜の高密度化の原因になる
  • 手術の際の筋外膜への侵襲が、術後の筋の機能に与える影響は大きい
  • 不良姿勢や異常運動パターンによって、深筋膜が高密度化をきたして疼痛を生じると、静的姿勢あるいは動的活動において疼痛を回避するために姿勢の代償が生じる
  • 例えば、大腿筋膜張筋がその牽引力を増加させた場合、同じ配列の遠位の長趾伸筋で反対方向の牽引力が誘導される

 

  • 以上のことより、筋のインバランスだけでなく、筋膜の視点からも姿勢を評価する必要がある
  • 痛みを伴う運動と既往歴を踏まえて、前額面・矢状面・水平面それぞれの面で運動を検証し、筋まkの異常をきたした協調中心を触診検証し、筋膜の関与を評価する 

 

筋膜への治療

  • 治療としては痛みの起源の協調中心に対して行う
  • 筋膜リリースや筋膜マニピュレーションを行う
  • これらは、基質に異常な流動性を回復し、筋膜の順応性を活用することによってコラーゲン線維の間の癒着を除去する 

 

参考文献

姿勢の評価と治療アプローチ (脊髄外科 Vol.27 No.2 2013年8月 竹井仁)