腰椎椎間板ヘルニア
野球選手のための解剖学シリーズ!
今回は『腰椎椎間板ヘルニア』について共有していきます。
脊柱下部の正中矢状断面
- 脊髄の下端は脊髄円錐と呼ばれ、第1あるいは第2腰椎の高さで終わる
- 脊髄と脊柱管は胎生期12週までほぼ同じ高さのため、左右それぞれの脊髄神経は脊髄から分岐した高さと同じ高さで椎間孔から現れる
- しかし、成長すると脊柱管は脊髄よりも早く成長するため、脊髄円錐の位置はより頭側へと変移する
- 出生時、脊髄円錐はすでに第3腰椎の高さにまで達している
- さらに10歳前後まで脊髄円錐は頭側へ変移し続ける
- このような脊柱管と脊髄の異なった成長率によって、脊髄神経根は分岐部位から該当する椎間孔まで斜め下方に降りる
- 脊髄下端よりも下部を降りる脊髄神経根はひとまとめに馬尾と呼ばれる
- 脊髄を包む膜(髄膜)は仙骨管内まで達しているので、脳脊髄液の検査の際、脊髄円錐よりも下部では脊髄を傷つけることなく、クモ膜下腔まで安全に針を入れることができる(腰椎穿刺)
腰椎における椎間円板の後方ヘルニア
- 腰椎、正中矢状面でのT2強調MRI
- 画像は、第3・4腰椎の高さでの椎間円板の背側への顕著なヘルニアを示す
- ヘルニアは硬膜に深く貫入している
腰部の椎間板ヘルニア
a:後外側ヘルニア
b:後ヘルニア
c:後外側ヘルニア
- 加齢とともに椎間円板は退行性変性を起し、円板内の水分は減少し、円板は扁平化する
- その結果、円板が薄くなり、しばしば運動領域における安定性の低下を招く
- 線維輪の圧抵抗力も加齢とともに減少し、圧がかかった際、中心部にある髄核組織が抵抗力の低下した部分から外に漏れだすことが起こりうる
- この変性過程の第1段階は円板がはみ出すことである
- 最終的に線維輪の輪が断裂すると、その断裂部分を通って髄核が漏出し、ヘルニアあるいははみ出し円板となる
- ヘルニアを起こした組織は椎間孔にあるもの(神経根と血管)を圧迫する
- 後外側ヘルニアは一般にその下にある神経根を圧迫する
- その圧迫された神経が支配する皮膚分節と筋に痛みと麻痺をもたらす
野球選手が解剖学を学んでおいた方がよい2つの理由