股関節の靭帯
野球選手のための解剖学シリーズ!
今回は『股関節の靭帯』について共有していきます!
股関節の靭帯
股関節の靭帯
- 腸骨大腿靭帯
- 恥骨大腿靭帯
- 坐骨大腿靭帯
- 輪帯込(※1)
- 大腿骨頭靭帯(※2)
(※1)外側からは見えず、大腿骨頭の回りをボタン穴のように取り囲んでいる
(※2)力学的機能はないが、大腿骨頭を養う血管が通る
特徴
- 股関節を包む3つの靭帯のうち、腸骨大腿靭帯は最も強く、下前腸骨棘から起こって股関節の前を扇状に広がり、転子間線に付着する
- 腸骨大腿靭帯は人体で最も力強い靭帯で、350N以上の張力を持つ
- 股関節を固定する構造として重要であり、直立姿勢では筋の作用を必要とせずに、骨盤が後方に傾斜するのを防ぐ
- 股関節を伸展した状態での内転を制限し、歩行時の立脚側の骨盤を安定させ、小殿筋とともに骨盤の遊脚側への傾斜を防いでいる
関節位置の機能としての靭帯の作用
- (a)股関節の関節包靭帯は大腿骨頭の回りを取り囲む輪状の環を形成している。股関節が伸展しているとき、関節包靭帯そのものが螺旋状になり、寛骨臼に対し大腿骨頭をより強固に押すことになる(靭帯の関節安定化機能)
- (b)屈曲の間、靭帯繊維は弛緩し大腿骨頭を寛骨臼にあまり強固に押し付けず、大腿骨の運動性の度合いを大きくする
- (c)関節包靭帯の捻転機構は平行なヒモでつながれた2つの板からなる模型で示すことができる。股関節が伸展した時の靭帯の位置を示している。2つの板のうち1つが回転した時はヒモが捩れ、2つの板は互いに近づく。
- (d)股関節屈曲位の位置をモデル化している。靭帯は全く捻転せず、そのため、2つの板の距離は増大している
股関節の関節包脆弱部
- 線維膜を強化する靭帯の間にある関節包(赤色で示した部位)に脆弱な部位がある
- これらの部位では外傷により、大腿骨頭の寛骨臼からの脱臼を起しうる
- 大きな靭帯の強さと寛骨臼と大腿骨頭との密接な適合が股関節をとても安定したものにし、また、脱臼を比較的まれなものにしている
- 人工股関節置換術後では、股関節の靭帯を少なくとも部分的に分けて人工補填物を挿入することになり、脱臼の危険性が極めて高くなる