肩甲下筋
野球選手のための解剖学シリーズ!
今回は、『肩甲下筋』について共有していきます。
起始・停止・神経支配
起始
- 肩甲骨肋骨面の肩甲下窩
停止
- 上腕骨小結節
神経支配
- 肩甲下神経(C5・C6)
特徴
- 肩甲下筋は腱板を形成する4つの筋群の1つで、前方を支持する唯一の筋肉である
- 肩甲下筋にはいくつかの筋内腱があり、これらを中心に羽状筋の形態をとる
- 肩甲下筋の深層線維は関節包に直接付着している
作用
筋機能の特徴
- 肩関節内旋に作用する
- 肩関節の運動軸を上下にまたぐため、上方線維と下方線維群に分類して機能を考える必要がある
- 肩関節下垂位では上方線維群の筋活動の方が高い
- 肩関節90°外転位での内旋では、下方線維群の筋活動が高い
- 肩関節90°屈曲位では筋が弛緩する位置関係となり、その活動は低下する
筋連結
肩甲下筋 ↔ 棘上筋 ↔ 棘下筋 ↔ 小円筋
野球との接点
反復性肩関節脱臼
- 肩関節不安定症は外傷性と非外傷性に分類される
- 肩関節の外転・外旋強制に伴う前下方への脱臼後、十分な治療が行われず不安定性が生じたものを反復性肩関節脱臼(亜脱臼)とよぶ。
- 通常は前下方部の関節唇損傷(Bankart lesion)、MGHL、AIGHLの弛緩が存在する
- 肩関節の外転・外旋を強制すると強い脱臼感を訴える、Apprehension testが陽性となる
- 非外傷性の不安定症は習慣性肩関節脱臼(亜脱臼)とよばれ、非随意性と随意性に分けられる
腱板損傷・断裂
- 外旋制限を呈する場合、肩甲下筋は重要な制限因子の一つとなる
肩甲下筋の筋力評価:lift off test
- 手の甲を腰椎の後ろにあてる。手の甲を背骨から離すように持ち上げる。離すことができない場合、肩甲下筋の損傷を疑う