二分靭帯

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野球選手のための解剖学シリーズ!

今回は『二分靭帯』について共有していきます!

 

 

起始・停止

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起始

  • 踵舟靭帯 :踵骨前方突起
  • 踵立方靭帯:  〃

停止

  • 踵舟靭帯 :舟状骨
  • 踵立方靭帯:立方骨

特徴

  • 二分靭帯は踵骨前方突起から舟状骨、立方骨へと2つに分かれて走行する靭帯で、前者を踵舟靭帯、後者を踵立方靭帯とよぶ
  • ショパール関節に加わる内転強制に対し抵抗する靭帯である

 

野球との接点

 二分靭帯損傷

  • 足関節靭帯損傷のなかで、外側側副靭帯損傷に次いで多いのが二分靭帯損傷である
  • ジャンプ後の着地の際に、足関節底屈位でショパール関節に強い内転強制が作用した時に損傷する例が多い
  • 足関節捻挫の既往を持つケースの40.5%に二分靭帯損傷を認めるとしている
  • 二分靭帯損傷は4つに分類される
  1. 踵骨前方突起が剥離骨折を起す場合
  2. 立方骨の付着部で剥離骨折を起こす場合
  3. 舟状骨の付着部で剥離骨折を起こす場合
  4. 靭帯自体が損傷する場合

 

解剖学を学んでおいた方がよい理由

足外側側副靭帯

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野球選手のための解剖学シリーズ!

今回は『足外側側副靭帯』について共有していきます!

 

 

起始・停止

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起始

  • 前距腓靭帯:外果の前方
  • 踵腓靭帯 :外果の遠位
  • 後距腓靭帯:外果の後方

停止

  • 前距腓靭帯:距骨頸の外側部
  • 踵腓靭帯 :踵骨の外側面
  • 後距腓靭帯:距骨後突起の外側結節

特徴

  • 足関節外側側副靭帯は距腿関節および距骨下関節の外側を補強する靭帯である
  • 外側側副靭帯は外果より起こり、前方・下方・後方と放射状に分けられる
  • 三角靭帯により安定性が保たれている内側に比べ、外果による安定化が図られる割合が多い外側は、靭帯構造の面で三角靭帯に劣る
  • 足関節の背屈により前距腓靭帯は弛緩し、後距腓靭帯は緊張する
  • 足関節の底屈により前距腓靭帯は緊張し、後距腓靭帯は弛緩する
  • 踵腓靭帯は背屈時、底屈時とも一定の緊張を保ち、距骨下関節の内返しを制動するprimary stabilizerとなる

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野球との接点

 外側側副靭帯損傷

  • 内返し強制に伴う外側側副靭帯損傷は、スポーツ活動時を筆頭に非常に多い外傷の一つである
  • 前距腓靭帯の損傷はほぼ前例に認め、その中の半数以上に踵距腓靭帯損傷が合併する
  • 新鮮外側側副靭帯損傷例では、足関節外側の腫脹とともに出血班を認めることが多い
  • 外側側副靭帯損傷後は、腓骨筋群の強化と共に固有受容器反射のトレーニングを行い、筋性防御機構を高めることで再発を予防する

 

前方引き出しテスト

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  • 前距腓靭帯の証明するテスト
  • 足関節を軽度底屈位にて、一方の手で下腿の下部を把持し、他方の手で踵部を把持し前方に引き出す
  • 不安定性の程度は個人差が大きく、必ず左右差の比較が必要である
  • 左右差で2mm以上の差がある場合を不安定性ありと判断する

 

内返しテスト

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  • 前距腓靭帯および踵腓靭帯の断裂を証明するテスト
  • 足関節を底屈位で足部に内返しストレスを加える
  • 疼痛により腓骨筋の緊張が高い場合には陰性化することがあるので注意が必要である
  • 一般にtalar tiltが15°以上では踵距腓靭帯損傷が合併しているとされる

 

解剖学を学んでおいた方がよい理由

三角靭帯

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野球選手のための解剖学シリーズ!

今回は『三角靭帯』について共有していきます!

 

 

起始・停止

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起始

  • 脛舟部:内果の前方
  • 脛踵部:内果の遠位
  • 後脛距部:内果の後方
  • 前脛距部:内果の前方

停止

  • 脛舟部:舟状骨粗面のやや上方
  • 脛踵部:載距突起
  • 後脛距部:距骨後突起の内側結節
  • 前脛距部:距骨頸の内側

特徴

  • 三角靭帯は距腿関節および距骨下関節の内側を補強する靭帯である
  • 三角靭帯は内果から起こり、下方へ三角形に分散する
  • 三角靭帯はその付着部によって4つの繊維束に分けられる
  • 三角靭帯の中でも脛踵部が最も強靭であり、荷重による踵骨の外反強制に抵抗する重要な靭帯である
  • 足関節の背屈により脛舟部・前脛距部は弛緩し、後脛距部は緊張する
  • 足関節の底屈により脛舟部・前脛距部は緊張し、後脛距部は弛緩する
  • 脛踵部は背屈時、底屈時とも一定の緊張を保ち、距骨下関節の回内を制動するprimary stabilizerとなる

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野球との接点

三角靭帯損傷・内果剥離骨折

  • 三角靭帯損傷は足部の回内強制(外返し強制)により発症するが、靭帯の強靭さゆえ単独損傷は非常に稀で、内果の剥離骨折の形態をとることが多い
  • 内果骨折の場合には骨傷のみに目を奪われることなく、三角靭帯損傷も念頭に置いて加療することが必要である

 

扁平足障害

  • 脛踵部の損傷後は靭帯の伸張により外反扁平足が続発することがあり、足底挿板の作成を含めた対応が必要である

 

内反尖足

  • 内反尖足の原因として後脛骨筋などの筋性要素の他に、三角靭帯の拘縮(特に後脛距部、脛踵部)も要因である

 

解剖学を学んでおいた方がよい理由

腸脛靭帯

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野球選手のための解剖学シリーズ!

今回は『腸脛靭帯』について共有していきます!

 

 

起始・停止

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起始

  • 大殿筋と大腿筋膜張筋

停止

  • 脛骨上端の前外側面(Gerdy結節)

特徴

  • 腸脛靭帯とは大腿筋膜の外側部が腱膜様に著しく厚くなった部分をいう
  • 腸脛靭帯の近位は大腿筋膜張筋と大殿筋へとつながり、遠位は脛骨上端の前外側面(Gerdy結節)に付着する


  • 腸脛靭帯の後方はそのまま外側大腿筋間中隔となり、外側広筋と大腿二頭筋とを区別している
  • 腸脛靭帯の脛骨付着部付近では、その繊維の一部が外側膝蓋支帯へと進入し、膝蓋骨の安定化にも寄与している
  • 腸脛靭帯は股関節の内転位より緊張し、外転により弛緩する
  • 腸脛靭帯は膝関節の伸展により後方部が緊張し、屈曲により前方部が緊張するが、90~100°を超えて屈曲すると全体として弛緩する
  • 腸脛靭帯からは外側広筋の一部の線維が起始する

 

野球との接点

腸脛靭帯炎

  • 膝関節屈曲40~50°あたりの屈伸動作で、大腿骨外側上顆の膨隆を腸脛靭帯が乗り越えることによって生じる反復性の摩擦障害である
  • 予防には大腿筋膜張筋の十分なストレッチングが重要である
  • Oberテスト:腸脛靭帯の拘縮の評価。腸脛靭帯自体は伸張性のない組織であるため、結局は大腿筋膜張筋の伸張性を評価している。被検者を側臥位とし、股関節を伸展・外転、膝関節屈曲90°にて股関節を内転させる。内転が制限されれば陽性となる。

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腸脛靭帯拘縮

  • 腸脛靭帯の拘縮は二次的に外側広筋の緊張に影響を与え、膝関節拘縮の原因となる

 

解剖学を学んでおいた方がよい理由

膝蓋靭帯

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野球選手のための解剖学シリーズ!

今回は『膝蓋靭帯』について共有していきます!

 

 

起始・停止

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起始

停止

  • 脛骨粗面

特徴

  • 膝蓋靭帯は大腿四頭筋の続きであり、膝蓋骨の下部から起こって脛骨粗面に付く強靭な繊維束をいう
  • 膝蓋靭帯は膝蓋骨に付く上端は幅広く、脛骨粗面に付く下端に向けて細くなる
  • 大腿四頭筋の収縮力を膝蓋骨を介し脛骨へと伝える張力伝達装置である
  • 膝蓋骨および膝蓋靭帯の両側には内・外側広筋へと続く膜様の縦走繊維束を内側膝蓋支帯および外側膝蓋支帯とよぶ
  • 内側膝蓋支帯の起始は内側広筋であり、膝蓋骨を介さず脛骨の内側上端に広く付着する
  • 内側膝蓋支帯の前方は膝蓋骨の内縁から膝蓋靭帯、後方は内側側副靭帯へとつながる
  • 外側膝蓋支帯の起始は外側広筋であり、膝蓋骨を介さず脛骨の外側上端に広く付着する
  • 外側膝蓋支帯の前方は膝蓋骨の外縁から膝蓋靭帯、後方は腸脛靭帯へとつながる

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野球との接点

膝蓋骨高位症・低位症

  • 成人における膝蓋骨の高さの基準は、膝関節側面のX線写真を利用した膝蓋腱長/膝蓋骨長径比(Insall-Salvati index)が一般に多く用いられている
  • 正常範囲は1.2~0.8であり、1.2以上は膝蓋骨高位、0.8以下は膝蓋骨低位と判断する
  • 膝蓋骨低位の症例では、膝蓋靭帯や膝蓋支帯の拘縮が原因の一つとなる

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 膝蓋靭帯炎

  • 膝蓋靭帯炎は日常診療で多く経験されるスポーツ障害であるが、跳躍競技に多いことからジャンパーズニー(jumper’s knee)ともよばれる

 

解剖学を学んでおいた方がよい理由


ファベラ腓骨靭帯

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野球選手のための解剖学シリーズ!

今回は『ファベラ腓骨靭帯』について共有していきます!

 

 

起始・停止

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起始

  • ファベラ

停止

  • 腓骨頭の後方

特徴

  • ファベラ腓骨靭帯は膝関節の後外側支持機構の一つである
  • ファベラ腓骨靭帯は膝関節後外側にある種子骨であるファベラから腓骨頭の後縁に走行している
  • その形態はしっかりとした繊維束である
  • 内側からファベラに向かって斜膝窩人体がある
  • ファベラ腓骨靭帯の深層には弓状膝窩靭帯がある

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  • ファベラ腓骨靭帯は膝関節の伸展により緊張し、屈曲により弛緩する
  • 下腿の外旋により緊張し、内旋により弛緩する
  • このときの外旋に伴う靭帯の緊張は、膝関節の中心を軸とした外旋ではなく、腓骨頭が後方へ偏位する運動と捉えるとよい
  • 外側側副靭帯とファベラ腓骨靭帯の触診上の区別は、腓骨頭の外側に付着するのか、後方に付着するのかがポイントとなる

 

野球との接点

膝関節後外側回旋不安定症・膝関節後外側角部痛・膝関節屈曲拘縮

  • 軽度の膝関節屈曲拘縮があり、歩行時下腿の外旋不安定性がある症例ではファベラ腓骨靭帯が関係した膝関節後外側角部痛を呈することが多い
  • ファベラ腓骨靭帯を含めた後外側支持機構が緩んだ場合、下腿の外側が後方へ落ち込む後外側回旋不安定性が問題となる

 

解剖学を学んでおいた方がよい理由


膝外側側副靭帯

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野球選手のための解剖学シリーズ!

今回は『膝外側側副靭帯』について共有していきます!

 

 

起始・停止

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起始

  • 大腿骨外側上顆

停止

  • 腓骨頭

特徴

  • 外側側副靭帯は膝関節の外側を補強し、大腿骨の外側上顆から斜め後方へと走行し、腓骨頭に停止する
  • 外側側副靭帯は円筒状の靭帯で、太さは5~7mm程度である
  • 外側側副靭帯は外側半月板には線維性の結合はない
  • 外側側副靭帯は前方から後方へ走行し、かつ屈伸軸の後方に位置することから内反・外旋・伸展で緊張し、後方引き出しについては補助的に制動する

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野球との接点

外側側副靭帯損傷・複合靭帯損傷

  • 外側側副靭帯損傷は膝関節の強力な内反強制力が作用し発症する
  • 通常、内反動揺性の検査は0°と30°屈曲位で行い、0°においても動揺性を認める場合、外側側副靭帯のみならず腸脛靭帯や後外側支持機構を含め複合靭帯損傷が疑われる

 

変形性膝関節症

  • 著明な内側型変形性膝関節では、外側側副靭帯が新著している例が多い

 

内反ストレステスト

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 内反ストレステスト

  • 外側側副靭帯損傷を調べるテスト
  • 右膝を調べる場合、左手で足関節を持ち、右手は膝関節の内側より当て、内反ストレスを加える
  • 通常は膝関節0°と30°屈曲位の両方を調べる

 

解剖学を学んでおいた方がよい理由


膝内側側副靭帯

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野球選手のための解剖学シリーズ!

今回は『膝内側側副靭帯』について共有していきます!

 

 

起始・停止

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起始

  • 大腿骨内側上顆

停止

  • 脛骨内側部

特徴

  • 内側側副靭帯は膝関節の内側を補強し、大腿骨の内側上顆から斜め前方へと走行し、脛骨内側顆の内側縁と後縁に幅広く停止する
  • 内側側副靭帯は浅層と深層に分けられ、深層は内側半月の中節に強く結合している
  • 内側側副靭帯は下腿の外反と外旋を強力に制動し、その走行上、前方引き出しにも補助的に拮抗する

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野球との接点

内側側副靭帯損傷・複合靭帯損傷

  • 膝関節の靭帯損傷のなかで最も頻度が高く、膝関節に強力な外反強制力が作用し、発症する
  • 損傷の程度は、圧痛のみで動揺性を示さない1度、軽度の動揺性を示す2度、著明な動揺性を示す3度に分類される
  • 通常、外反動揺性の検査は0°と30°屈曲位で行い、0°においても動揺性を認める場合、内側側副靭帯のみならず前十字靭帯などの複合靭帯損傷が疑われる
  • 内側側副靭帯、前十字靭帯、内側半月板の3者が同時に損傷したものは一般にunhappy triad とよばれている
  • 内側側副靭帯の損傷部位のほとんどは内側上顆の付着部付近で発症し、これには解剖学的な付着部位が関与している

 

外反ストレステスト

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 外反ストレステスト

  • 内側側副靭帯損傷を調べるテスト
  • 右膝を調べる場合、右手で足関節を持ち、左手は膝関節の外側より当て、外反ストレスを加える
  • 通常は膝関節0°と30°屈曲位の両方を調べる
  • 損傷の程度を以下の3型に分類して、治療方針に活用する
  • 1度:動揺性はなく、靭帯部の圧痛が主である
  • 2度:0°での動揺性(-)、30°屈曲位での動揺性(+)
  • 3度:0°での動揺性(+)、30°屈曲位での動揺性(+)

 

解剖学を学んでおいた方がよい理由


股関節の靭帯

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野球選手のための解剖学シリーズ!

今回は『股関節の靭帯』について共有していきます!

 

 

股関節の靭帯

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股関節の靭帯

  1. 腸骨大腿靭帯
  2. 恥骨大腿靭帯
  3. 坐骨大腿靭帯
  4. 輪帯込(※1)
  5. 大腿骨頭靭帯(※2)

(※1)外側からは見えず、大腿骨頭の回りをボタン穴のように取り囲んでいる

(※2)力学的機能はないが、大腿骨頭を養う血管が通る

 

特徴

  • 股関節を包む3つの靭帯のうち、腸骨大腿靭帯は最も強く、下前腸骨棘から起こって股関節の前を扇状に広がり、転子間線に付着する
  • 腸骨大腿靭帯は人体で最も力強い靭帯で、350N以上の張力を持つ
  • 股関節を固定する構造として重要であり、直立姿勢では筋の作用を必要とせずに、骨盤が後方に傾斜するのを防ぐ
  • 股関節を伸展した状態での内転を制限し、歩行時の立脚側の骨盤を安定させ、小殿筋とともに骨盤の遊脚側への傾斜を防いでいる

 

関節位置の機能としての靭帯の作用

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  • (a)股関節の関節包靭帯は大腿骨頭の回りを取り囲む輪状の環を形成している。股関節が伸展しているとき、関節包靭帯そのものが螺旋状になり、寛骨臼に対し大腿骨頭をより強固に押すことになる(靭帯の関節安定化機能)
  • (b)屈曲の間、靭帯繊維は弛緩し大腿骨頭を寛骨臼にあまり強固に押し付けず、大腿骨の運動性の度合いを大きくする
  • (c)関節包靭帯の捻転機構は平行なヒモでつながれた2つの板からなる模型で示すことができる。股関節が伸展した時の靭帯の位置を示している。2つの板のうち1つが回転した時はヒモが捩れ、2つの板は互いに近づく。
  • (d)股関節屈曲位の位置をモデル化している。靭帯は全く捻転せず、そのため、2つの板の距離は増大している

 

股関節の関節包脆弱部

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  • 線維膜を強化する靭帯の間にある関節包(赤色で示した部位)に脆弱な部位がある
  • これらの部位では外傷により、大腿骨頭の寛骨臼からの脱臼を起しうる
  • 大きな靭帯の強さと寛骨臼と大腿骨頭との密接な適合が股関節をとても安定したものにし、また、脱臼を比較的まれなものにしている
  • 人工股関節置換術後では、股関節の靭帯を少なくとも部分的に分けて人工補填物を挿入することになり、脱臼の危険性が極めて高くなる 

 

解剖学を学んでおいた方がよい理由

母趾内転筋

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野球選手のための解剖学シリーズ!

今回は『母趾内転筋』について共有していきます!

 

 

起始・停止・神経支配

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起始

  • 横頭:第3~5趾の中足趾節関節の関節包靭帯
  • 斜頭:第2~4中足骨底、外側楔状骨、立方骨長足底靭帯

停止

  • 外側種子骨を介して母趾基節骨底

神経支配

  • 外側足底神経(S1~2)

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①母趾外転筋 ②短母趾屈筋 ③母趾内転筋

④小趾外転筋 ⑤短小趾屈筋 ⑥小趾対立筋

 

作用

筋機能の特徴

  • 横頭は母趾の中足指趾節の内転に作用する
  • 斜頭は母趾の中足指趾節の内転および屈曲に作用する
  • 母趾中足骨の内転と回外を制動し、前足部横アーチを保持する

 

野球との接点

外反母趾

  • 外反母趾の症例では、母指球筋の筋力低下に伴う母趾中足骨の過内転が外反母趾角の進展に関与している
  • 母指球筋の3筋は、中足骨頭部を中心に互いにバランスを保ち、母指列の安定に関与している
  • 母指中足骨の内転不安定性は種子骨の外方偏位を生じる
  • 母趾外転筋は底側へ滑ることで外転作用を失い、短母趾屈筋、母趾内転筋は基節骨を内旋・外反させる力が生じる

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 開張足

  • 前足部横アーチが低下し、第2・3中足骨頭部に圧の集積がみられる症例では、母趾外転筋をはじめとする母指球筋群の筋力低下を認める
  • 母指球筋への筋力トレーニングは、足関節を底屈位で行うと長母指屈筋の関与を排除でき、効果的である

 

解剖学を学んでおいた方がよい理由

短母趾屈筋

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野球選手のための解剖学シリーズ!

今回は『短母趾屈筋』について共有していきます!

 

 

起始・停止・神経支配

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起始

  • 内側楔状骨
  • 中間楔状骨
  • 長足底靭帯

停止

  • 内側頭:内側種子骨を介して母趾基節骨底
  • 外側頭:外側種子骨を介して母趾基節骨底

神経支配

  • 内側足底神経(L5~S1)

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①母趾外転筋 ②短母趾屈筋 ③母趾内転筋

④小趾外転筋 ⑤短小趾屈筋 ⑥小趾対立筋

 

作用

筋機能の特徴

  • 母趾の中足指趾節の屈曲に作用する
  • 母趾中足骨の内転と回外を制動し、前足部横アーチを保持する

 

野球との接点

外反母趾

  • 外反母趾の症例では、母指球筋の筋力低下に伴う母趾中足骨の過内転が外反母趾角の進展に関与している
  • 母指球筋の3筋は、中足骨頭部を中心に互いにバランスを保ち、母指列の安定に関与している
  • 母指中足骨の内転不安定性は種子骨の外方偏位を生じる
  • 母趾外転筋は底側へ滑ることで外転作用を失い、短母趾屈筋、母趾内転筋は基節骨を内旋・外反させる力が生じる

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 開張足

  • 前足部横アーチが低下し、第2・3中足骨頭部に圧の集積がみられる症例では、母趾外転筋をはじめとする母指球筋群の筋力低下を認める
  • 母指球筋への筋力トレーニングは、足関節を底屈位で行うと長母指屈筋の関与を排除でき、効果的である

 

解剖学を学んでおいた方がよい理由

 

母趾外転筋

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野球選手のための解剖学シリーズ!

今回は『母趾外転筋』について共有していきます!

 

 

起始・停止・神経支配

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起始

  • 踵骨隆起内側
  • 舟状骨粗面
  • 足底腱膜

停止

  • 内側種子骨を介して母趾基節骨底

神経支配

  • 内側足底神経(L5~S1)

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①母趾外転筋 ②短母趾屈筋 ③母趾内転筋

④小趾外転筋 ⑤短小趾屈筋 ⑥小趾対立筋

 

作用

筋機能の特徴

  • 母趾の中足指趾節の屈曲と外転に作用する
  • 母指球の内側の膨らみを形成するに作用する
  • 母趾中足骨の内転と回外を制動し、前足部横アーチを保持する

 

野球との接点

外反母趾

  • 外反母趾の症例では、母指球筋の筋力低下に伴う母趾中足骨の過内転が外反母趾角の進展に関与している
  • 母指球筋の3筋は、中足骨頭部を中心に互いにバランスを保ち、母指列の安定に関与している
  • 母指中足骨の内転不安定性は種子骨の外方偏位を生じる
  • 母趾外転筋は底側へ滑ることで外転作用を失い、短母趾屈筋、母趾内転筋は基節骨を内旋・外反させる力が生じる

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 開張足

  • 前足部横アーチが低下し、第2・3中足骨頭部に圧の集積がみられる症例では、母趾外転筋をはじめとする母指球筋群の筋力低下を認める
  • 母指球筋への筋力トレーニングは、足関節を底屈位で行うと長母指屈筋の関与を排除でき、効果的である

 

解剖学を学んでおいた方がよい理由

短腓骨筋

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野球選手のための解剖学シリーズ!

今回は『短腓骨筋』について共有していきます!

 

 

起始・停止・神経支配

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起始

  • 腓骨外側面の下半

停止

  • 第5中足骨粗面

神経支配

  • 脛骨神経(L5~S2)

特徴

  • 短腓骨筋は外果を滑車として利用し、自身の走行を変換する
  • 外果のレベルでは、短腓骨筋腱が長腓骨筋腱の前方に位置する

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①長腓骨筋 ②短腓骨筋 ③第3腓骨筋(長趾伸筋の一部)

 

作用

筋機能の特徴

  • 足関節の底屈に作用する
  • 足部の外転に作用する
  • 足部を固定した場合、下腿を後傾させる

 

筋連結

 

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頭板状筋・頚板状筋 ↔ 菱形筋(反対側の) ↔ 前鋸筋 ↔ 外腹斜筋 ↔ 内腹斜筋(反対側の) ↔ 大腿筋膜張筋 ↔ 腸脛靭帯 ↔ 前脛骨筋・長腓骨筋

 


野球との接点

腓骨筋腱脱臼

  • 腓骨筋支帯の断裂・弛緩により外果から腓骨筋腱が前方に滑脱する現象を腓骨筋腱脱臼とよぶ
  • 繰り返しの滑脱により、有痛性腱鞘炎を呈する

 

踵骨骨折後

  • 踵骨骨折後の骨体部横径の増大は二次的に腓骨筋腱を刺激し、足後外側部痛の原因となる

 

内返し捻挫後

  • 内返し捻挫の際に、短腓骨筋腱を介した第5中足骨粗面剥離骨折を合併することがある
  • 内返し捻挫後の足関節の動的安定化には、長・短腓骨筋に対するトレーニングは必須の運動療法である

 

解剖学を学んでおいた方がよい理由

 

長腓骨筋

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野球選手のための解剖学シリーズ!

今回は『長腓骨筋』について共有していきます!

 

 

起始・停止・神経支配

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起始

  • 腓骨頭および腓骨外側面の上半

停止

  • 内側楔状骨の底面
  • 第1~2中足骨底

神経支配

  • 脛骨神経(L5~S2)

特徴

  • 長腓骨筋は外果を滑車として利用し、自身の走行を変換する
  • 外果のレベルでは、短腓骨筋腱が長腓骨筋腱の前方に位置する

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  • 長腓骨筋腱は踵骨外側の長腓骨筋腱構を下り、足底面へと入る

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①長腓骨筋 ②短腓骨筋 ③第3腓骨筋(長趾伸筋の一部)

 

作用

筋機能の特徴

  • 足関節の底屈に作用する
  • 足部の回内に作用する
  • 母趾列の内転を制動し、足部横アーチを保持する

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  • 足部を固定した場合、下腿を後傾させる

 

筋連結

 

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頭板状筋・頚板状筋 ↔ 菱形筋(反対側の) ↔ 前鋸筋 ↔ 外腹斜筋 ↔ 内腹斜筋(反対側の) ↔ 大腿筋膜張筋 ↔ 腸脛靭帯 ↔ 前脛骨筋・長腓骨筋

 


野球との接点

腓骨筋腱脱臼

  • 腓骨筋支帯の断裂・弛緩により外果から腓骨筋腱が前方に滑脱する現象を腓骨筋腱脱臼とよぶ
  • 繰り返しの滑脱により、有痛性腱鞘炎を呈する

 

踵骨骨折後

  • 踵骨骨折後の骨体部横径の増大は二次的に腓骨筋腱を刺激し、足後外側部痛の原因となる

 

内返し捻挫後

  • 内返し捻挫の際に、短腓骨筋腱を介した第5中足骨粗面剥離骨折を合併することがある
  • 内返し捻挫後の足関節の動的安定化には、長・短腓骨筋に対するトレーニングは必須の運動療法である

 

解剖学を学んでおいた方がよい理由